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社会が不要としたものに価値を吹き込んでいく

長崎ワーケーション、結びは「出会い」。
(っていうシリーズだったんだ……)

「のはら農研塾」
コメを育て、野菜を育て、
豚を養い、鶏を養う。

そのための肥料や飼料、
豚小屋や孵卵室も「だれかが捨てたもの」を使っている。

焼酎や醤油の製造過程ででるコメや大豆の搾りかすは堆肥に、
古米は鶏のエサにし、
野菜を育てるときに使うマルチは、回収したブラスチックゴミからリサイクルしたもの。

社会が「不要」としたものから「価値」をつくりだす。

代表の野原健史さんは、産業廃棄物の処理場を経営する一家に生まれ、
若いころはヤンチャの限りをつくしながら、
父親の無言の指導と躾を受けて産廃業にしっかりと従事し、
後継ぎを兄弟に任せて、農の道に入った。

今でも「アニキ」と呼ばれる。

アニキは、地元熊本の大雨、地震、大雨で被災した地域にユンボを運んでボランティアした。
ここでも「不要」とされたものをどかし、
コミュニティの価値を復活させる。

アニキのもとには、ミュージシャンやアーティスト、
経営者や得体の知れない若者たちが、
たくさん集まってくる。

だからアニキは、
描いた未来はやってくる、
と目論んでいる。

石木ダム建設反対の座り込みにも、
電話一本で飛んできてくれた。

未来はきっとやってくる。

「monne legui mooks」
ムック、と呼ばれるカフェ。
波佐見、という焼き物の街にある。

店内に足を踏み入れると、
建物とスタッフとお客さんが醸し出すあたたかさが
すーっと身体を包んでくる感覚がした。

東京赤坂でフレンチを学んだオーナーが、
フランスでカフェをじっくり見てきて、
日本に戻っていろんな場所を歩いているときに、
ここを見つけた。
製陶所の跡地。
いくつか廃屋があり、
そこをリノベーションしてカフェにした。

カフェは繁盛し、
いつくかの廃屋に仲間がやってきて、
雑貨屋、おにぎり屋、コーヒー豆、焼き物屋、
などを開業した。

「西之原」を呼ばれるコミュニティになり、
いろんなところからクルマに乗って、
そのコミュニティに参加したいお客さんがやってくる。

オーナーは若くして亡くなったが、
その志はパートナーとスタッフが受け継いでいる。

波佐見には、「結(結)」文化が残っている。
町内会でグループをつくり、
お金を出し合って、それぞれの冠婚葬祭の足しにしている。

かつて日本中で「結」や「講」があって
それこそ旅行する費用などにも使っていた。
お金の面だけでなく、
それは自然と「自助共助公助」の共助になっていた。

捨てられていた西之原にムックが建ち、
ムックで人と人が繋がっていく。

佐世保市と長崎県がダムに沈めようとしている川原(こうばる)は、
その価値を改めてひきだされようとしている。