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子どもを産んで、幸せになれるのか

子どもを生んで、幸せになれる?

というタイトルの投書が朝日新聞に載っていた。
(2023年4月11日付朝刊)

今、日本では急速に少子化が進んでいます。このため、政府もさまざまな対策を打ち出そうとしています。しかし、たとえ今より給料が増えて、生活に余裕ができたとしても、きっと私は子どもを産まないと思います。

東京都の28歳会社員の女性からの声。

子どもに何かあったら、「目を離した親が悪い」と言われ、子育てて悩むことがあっても、「自分が好きで産んだのだから自己責任だ」と突き放される。子どもを産めと言いながら、子育て世帯には冷たい。そんな空気が今の日本にはあると思います。

そんな空気もあるけど、そんな制度になっている。
「子育て罰 child penalty」、子どもを生み育てることにペナルティが課される。
「子育て罰」とは、母親と非母親との間の賃金格差を示す経済学・社会学の概念で、
政治的政策的な失敗、社会の慣習や人々の意識が、
「子育て罰」を引き起こす。

たとえば、昨日も書いたように「毎日23時まで働いています」的な長時間労働は、
子育て中の人はできない。
そうしなければいけないと感じさせる、そこで働く人たちの意識や、
そもそもオーバーワークを暗に強いるような慣習によって、
「戦力外」とされてしまう。

夕方の17時から始まるミーティングもよくあるし、
飲み会でチームビルドをするようなことにも、
子育て中の人は参加できず、
結果として、重要なプロジェクトや責任あるポジションから排除される。
これを「マミー・トラック」というらしい。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/060300388/

実際に子どもを産めば、楽しいことも、うれしいこともあるかもしれませんが、私はこうしたマイナスの側面のほうが大きいと感じています。こんな状況で生まれてきた自分の子どもが、果たして幸せになれるのか。そんなことまで考えてしまいます。

もうすでに、自分の幸せはともかく、自分の子どももどうなるかという不安を抱いている。

経済的に余裕ができれば、子どもを産みたいと思う人はたくさんいるかもしれません。しかし、私のように、さまざまな理由で子どもを産まない選択をする人もいるということを、少しでも知っていただきたいです。

どんな理由で子どもを産まないと選択したかはわからないけど、
「保育園落ちた、日本死ね」
的な、社会とか制度への怒り、絶望のようなものを感じるし、
自分の自己実現を叶えるために犠牲にしなければならないもう一つの自己実現への別れの言葉みたいに思えた。


『子育て罰 「親子に冷たい日本」を変えるには』 末富芳 桜井啓太 光文社新書 2021年