Valorant大会観戦記 その2 ZETA対TALON戦

対TALON戦のヘイブンをレビューします。
割と重要なポイントがいくつか見られています。
結果的に前半のラウンド差が効いてTALONが勝利するので、このヘイブンは前半12R目までをレビューしていきます。

相手の観察、そして洞察の大切さ

レビューが長いので総評を先に書いておきます。
ZETA先攻で始まったヘイブンの前半、勿体ないラウンドをリテイクで複数取り返されこれが響いてこのマップを落とします。
リテイクのやり方はそれぞれのラウンドで微妙に違いますが共通しているのは、ZETAが設置後TALONはリテイクに集中して取り返すというような単調な流れが有ったように思います。
TALONがリテイクだけに集中できないような揺さぶりを多くしていたら試合の結果は変わったのではないかなという私の感想です。
ZETAの試合中選手視点でも早い段階でTALONが思い切ったムーブをしているのは見えていたはずなので余計にその印象が強い試合でした。

その①逆算での相手の動きの洞察

まずは初動、ピストルラウンドを取ったZETAはそのまま2R目も取得し3R目はTALON取得。
その後の4R目で大きな情報が得られることになります。
AサイトにエントリーしたZETAは1-1交換の後に設置しサイト内にDepを残しショート2人、ロング1人の引き配置を取ります。
Depはヘブン下に残ります。
その後はショート1人が前に出たりロングもピークしたところをカットされたりして最後にLazが残りますが1on3では阻止できずリテイク成功になります。
Depがサイト内ヘブン下に残るならロング側からヘブンへのケアや中の緑箱から連通側入り口へのケアを残しておいたほうが良いのではないかと思いますが、裏取りも考えられるので引き多めにしたのでしょうか。
このラウンドで特筆すべきはリテイク開始の早さです。
1-1交換の後、設置完了と同時にスカイUltを放ちさらにパラノイアとブリーチアフターショックを入れて速攻でリテイク開始します。
設置時点で1-1交換で倒されたレイズ以外のうち、判明したスキルだけでもブリーチ、オーメン、スカイがAサイトで設置を待っていたかのようにスキルを出しリテイクを開始しています。
TALONの残りはKJですが、この時点ではスキルでは分からなくても最終的に防衛側サイドから入ってきていたのが見えたのでKJは裏取り警戒でリテイクの後衛をしていたであろうことは判りました。
というよりこのスピードでリテイクだと裏取りが到達する前に仕掛けた勝負が失敗し裏取りだけ取り残される可能性があるので裏取りは可能性が低いでしょう。
設置時点で待っていたかのようにスキルを撃ちこんできているということは逆算するとAサイトでの初動のファイト時点でAに絞り寄りを開始してきたということになりますね。
Aサイトでの初動のファイトでKJのTENが落とされたのでこれをキーにして判断していた可能性もあります。
(ZETAはこれまでVCTではKJのTENがラークを担当することが多かった)
いずれにしても、このラウンド終了時点で分かることはTALONはZETAの動きを決めつけており(ラークを考慮していないorラークが来るとしてもTENだろうという決めつけ)これは大きな特徴です。
総評でも言いましたがこの後の展開で最終盤になるまでZETAはこれを咎めるような立ち回りをしませんでした。
これ、最後まで気づかなかったのでしょうか。
非常に気になりますね。
神視点ではなく選手視点での情報だけで分かることでしたが。
このラウンド付け加えるなら、1on3で残されたLazがファイトを仕掛ける前にリーコンとショックボルトを撃ちこんでいましたがスキルで居場所を知らせてしまうとノーチャンスになると思います。
1人は解除に入るとしても残り2人で1か所を押さえておけばいいのですから。

その②相手の動きの観察

6R目 このラウンド、TalonレイズのUltが溜まっているので初動のUlt警戒のためかZETAはSlow進行をします。
初動はAロビーまで取らせてから取り返しのつもりだったでしょうか。
初動は全く動かずミッドで構えます。
しかしここでZETAは重要な情報を取り落とします。
Talonレイズはブラストパックで一気にロングからAロビーまで進行
これに合わせてブリーチのフラッシュとさらにはスカイのフラッシュもサポートします。
すんなりTalonがAロビーまで取りましたが、スキルで3人がAに配置ということが分かります。
ZETAはミッドで待機していましたがDepはミッドの部屋でAロビーに近い位置に居たのでスキルの音は聞こえていたと思います。
(その位置ではブラパジャンプの音は聞こえていないかもしれませんが着地音で最速でAロビーに入ったということは分かるのでこれは相手の構成ではレイズしか出来ないムーブです。)
その後、LazがドローンをAロビーに飛ばすのに合わせてTalonオーメンはAロビーにモクをして蓋をします。
これを合図にスキルを入れてまずDepがエントリーしますがここでTalonレイズがUltを切ります。
足音だけを聞き逃していたとしてもこれでA3人が初期配置ということははっきり分ったでしょう。スキルの音を聞いていれば。
さらには相手の構成の残りはKJとオーメン。
それぞれ単独、あるいは2人で前詰めをするとは考えづらいエージェントです。まぁ2人で前詰めしてもかまいませんがするとどこかのBかCはガラ空きになります。
ここで3人前詰めでAをコントロール、残り2名はBとCの入りを見る程度の配置が濃厚になります。
ここからが問題です。
Slow進行だった割には(音を)観察していれば分かったはずの3人初期配置のAロビーに突入する択を選んでしまいました。
音は聞こえていたとは思うのですが。
その後は先頭のDepがレイズを落としますがブリーチにカットされ1-1交換。
ここでZETAはモクが切れるまで様子見しますが、モクが切れたタイミングでSugarZ3roが落とされます。
さらにはこのファイトに同調するかのようにCロングをプッシュしたオーメンにTENの裏取り警戒のタレットが壊されます。
結局、Aロビー手前からロビーに入れず囲まれて順にカットされていってしまいました。

Slow進行は相手の初動を観察しつつ、一旦相手に自由にさせ主導権を渡した後で自分たちが後出しでムーブを決めるというものです。
よく観察できていないのは痛かった。

単純にレイズのUltで事故るのを警戒していただけだったのかもしれないですね。
判断の仕方だけで取れる可能性が高かったラウンドでした。
観察すること、洞察することが大事ですね。

勿体ないラウンド

7R目 これは勿体ない。
ZETAはAロングにスキルを入れ前詰めしてきていないことを見てからCロングにラッシュします。
Cサイト内で1-2交換してさらにモク中を1人抜きZETA4on2になります。
箱横からCrowが勝負してカットされたのを見てガレージに進行していたDepはCサイト手前の敵に勝負しますがカットされます。
これで2on2になります。
最後はKJのTENとSovaのLazがCロングから解除阻止しますがクラッチされてTalonがリテイク成功。
ここは結果的にTalonが取りますが、4on2でサイト内2、ロング引き2の配分は間違いではないでしょう。
サイト内の2が各個でカットされてしまってから引き2で勝負する形になりましたが2-2で引き配置ならまだ分はあるんじゃないかなと思います。

その③逆算での相手の動きの洞察再び

8R目 ここでもTALONの動きが分かります。
ZETAがAサイトに設置中、ヘイブンからレイズとスカイのスキルが飛んできます。
さらにDEPが設置に前後して連通まで詰めたところ3人居たことも分かりました。
つまり設置直後にほぼ全員がAに集結していたことが分かった訳です。
ZETAはエコでしたが設置直後の段階で全員Aに集結していたということは逆算するとAに反応があった時点で全員がAに向かって来ていたということになります。(実際そうでした。)
4R目に続きTALONの動きの全容が選手視点で見えたラウンドでした。

勿体ないラウンド再び

9R目
最初からCラッシュを仕掛けすんなりと設置まで通ります。
今度はKJのウルトをサイトに仕掛けるためにサイト内4名で引き1名としていました。
そこにTALONは裏取りに来ます。
このラウンドZETAはCラッシュですが、メインカメラには映っていませんが重要なポイントがミニマップに映っていました。
ZETAの最後尾はLaz1人のみ、裏取りを警戒しなければいけない位置です。
裏取りはAロングに展開していたレイズとスカイが来ますが2人が時間差で裏取りに来ます。
Lazは先頭のレイズは倒します。
少し遅れて今度はスカイが裏取りに来ます。
この間に箱裏のSugarZ3roが抜かれ、Cロングに戻ろうとしたのかガレージに向けてピークしたのかガレージからTENもカットされます。
結果的にスカイにLazが抜かれてサイト内2名は全方向警戒が必要になりTalonのリテイク成功です。
細かい判断ですが、KJウルトのためにTENがサイトに残るのならもう一人がロングに最初から配置でも良かったのではと思います。
もっと言うなら引き配置なら裏取り警戒のKJとモクを持っているオーメンのほうが良いのではと思います。
Sovaってショックボルトはありますが、あれで阻止しようとなるとハーフまで行かれてしまうし1発だけ避ければダウンはしないしでモロトフ系のスキルに比べ阻止性能は弱いですよね。

裏取りのラウンド


10R目 ここでもCへのエントリーをしますが裏取り警戒のTENとLazのうち、TALONからの裏取りの気配が無いためTENがガレージへ裏取りをしに行きます。
これとLazのUltによりリテイクを阻止することが出来ました。
9R目で裏取りが来たからでしょうかね。
ですがもう前半は終わりに近いです。

勿体ないラウンド再々

12R目 これも勿体ない。
最後はAラッシュですがDepが設置前後で3人落として倒されますが、ここで2ON4から捲られます。
TalonのKJウルトでAロングに全員引かされますが、引き際に合わせてグレで1人落とされます。
ここから遅延スキルを持っていたCrowとLazを残してSugarZ3roがショートに回ってピークしたところを落とされ、さらには2on2でも圧を掛けたTalonにLazが落とされ解除を通されます。

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