VCT APAC ZETA戦の総括

最終戦、ZETA対T1も終わり数日が経ちます。
対T1戦も対DRX戦、対TALON戦で見えた課題が修正されないままラウンドを落とすところが散見されました。
APAC全体を通してZETAの戦いぶりで修正したほうが良い点、もう少し作戦を練ったほうが良い点が見えてきましたのでまとめておきます。

①時間ギリギリエントリーするSLOW進行は再現性低くアドも無し

初戦の対DRXから登場していましたが、開幕から積極的なアクションを起こさず残り時間30秒と少しくらいのタイミングでサイトにエントリーするSLOW進行はその後もVCT APACを通じてよく見られました。
これについては対TALON戦のレビューで問題点を指摘していましたが、その後に勝利したGen.Gではこれが刺さったり、T1ではきっちり咎められたりしていましたね。
時間がギリギリになると早めの索敵を撃たれて位置を限定された場合が非常に困難になること、イレギュラーポジションで数と時間を減らされることがこの作戦の問題です。

②リキャスト待ちはナンセンス

これも初戦のDRX戦から見られていましたが、開幕直後でサイト手前ポジションを取るためにスキルを使いその後にリキャストを待ってエントリーする動きはVCT APAC通じて多く見られました。
この時にスキルを多く使うために固まってしまっていたことが多かったためエリアが取れておらず、結果的にリキャストの間に別のエリアを取られてエリア取りでは劣勢になっていることが多かったですね。
ZETA側は固まっているので敵がフリーで取れるエリアが多い上にリキャスト待ちで時間まで与えているのですからそりゃそうなるとしか言いようが無かったです。

③なぜSLOW進行やリキャスト待ちをしようとしたのか?

ではなぜSLOW進行やリキャスト待ちをしようとしたのかというのを推定します。
どちらもエントリー前になるべくドライで敵とエンカウントしないよう、エントリー前に数を減らさないようにしているのが共通しています。
その考えは否定されるものではないのですが、数を減らさずスキルを多用して安全にエントリーすることはそう簡単に成立するものではないというのがVCT APACでの結論になるでしょう。
既に挙げた①と②のようにその反動で敵に別のアドを与えてしまうこと、そして敵の積極策で数を減らされてしまうと作戦が崩壊してしまうことです。

④スキルゲー?それとも

そもそもスキルを重ねるというのがなかなかに難しい。
誰か1人が落とされるだけで想定どおり行かなくなってしまう。
そんな中で別の方法論を見せていたチームが有りました。
PRXは相手の想定するエンカウントタイミングよりも速くエントリーすることで有利なキル交換をする方法を多用していました。
また、T1はスキルを多用するチームをメタっているというかCSGOよろしく裏取りを巧みに使って団子になりがちなスキル志向のチームを上手く抑えていました。

⑤作戦の総評

最後にこれはVCやマクロの作戦を知らないので断定は出来ないのですが、どうもZETAは作戦の決め事が多いような動きに見えます。
作戦の決め事が多いとどうなるかというと、相手が想定と違う対応をした場合の修正が多くなってしまいます。
プログラムのサイズが大きいとアップデート範囲も大きくなるということですね。
修正が多いとそれだけ考えることが増えてしまい、情報の入手から次のアクションの実行までのテンポが遅くなっているように見えます。
また、試合では相手が想定通りの動きをしないことも多々あるでしょう。
そういった場合に決まり事で頭の中がいっぱいになると相手の情報が入ってきづらいということも有ります。
コップに満杯の水が入っていたらもう追加しようとしてもこぼれてしまうようなものです。
これは人間なので仕方が有りません。
想定外のことは起こるもの、そう考えて作戦の決め事は最小限に絞っておきいざ試合が始まったら相手の行動をよく観察するのが大切ではないかなぁと感じました。



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