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なぜ、伝えたいことが伝わらないのか?

 「江戸しぐさ」の例に、「時泥棒」というものがあります。これは、”断りなく相手を訪問し、または、約束の時間に遅れるなどで相手の時間を奪うのは重い罪(十両の罪)にあたる”という意味です。
 私が考える「伝えたいことが伝わらない」ことによる大罪は、『相手の時間を奪うこと』に他ならないと考えています。「うまく伝わらなかったな、今度がんばろ。あは。」でも、「何で、最後まで話を聞いてくれないんだろ。くそ。」ではないのです。伝えたいことが伝わらないのは、自覚なき重罪なのです。

伝えたいことが伝わらない理由

 他人の話がよく理解できない時のことを思い出してみてください。おそらく、「何の話をしているのかがわからない」「結局何が言いたいのかわからない」「なぜそうなるのかが分からない」「どうしてほしい(どうする)のかが分からない」のいずれかに当てはまるのではないでしょうか。
 つまり、伝えたいことが伝わらない理由は、① テーマがわからない、② 結論がわからない、③ 根拠がわからない、④ 行動がわからない、の4つなのです。

伝えたいことを伝えるためのテクニック

 伝えたいことを伝えるためには、前述の伝わらない理由(テーマ、結論、根拠、行動)を全て含める必要があります。そして、これを伝わる順番で伝えることが必要です。
 マッキンゼー流の自分の意見を伝える技術では、説得力のある話し方として、① テーマ、② 結論、③ 根拠、④行動、の順に話すように例示されています。具体的には、「クラウドサービスを導入する件ですが(テーマ)、D社のクラウドサービスが最適だと考えています(結論)。無料で大容量を使用でき、セキュリティも高く、バックアップ作業も効率化できるからです(根拠)。OKがいただければ、導入準備を進めたいと考えています(行動)。」という具合です。
 このようなテクニックは、”エレベータートーク”として知られています。エレベータートークとは、以下のようなものです。

 エレベータートークとは、同じエレベーターに乗り合わせたくらいの短時間(せいぜい30秒、長くても1分程度の時間)の会話で相手の印象に残り、伝えたいことを伝えるためのトークスキルのこと。
 エレベータートークはアメリカ・シリコンバレー発祥のビジネス文化で、シリコンバレーで成功を夢みる起業家が、資金調達のために目当ての投資家が勤務するビルのエレベーターで待ち伏せをし、偶然を装い乗り合わせて、行き先のフロアに到着するまでの短時間で自らの事業のプレゼンテーションを行い資金を調達したというサクセスストーリーに由来します。

 つまり、伝えたいことを伝えるためのテクニックを磨くことにより、1分で伝えたいことを伝えることは可能であり、相手の時間を奪うことも回避できるのです。
 また、わかりやすく話を伝えるためのテクニックとして、PREP法というものもあります。これは、① Point(結論)② Reason(理由)③ Example(具体例)④ Point(結論)の順に話すことで、相手の納得感を高める手法です。いずれにしても、結論を伝え、その直後に根拠(理由)を伝える点は共通しています。

 以上、なぜ伝えたいことが伝わらないのかについてを、ビジネスにおけるテクニックの視点で整理しました。学生や新入職員が指導者に報告・連絡・相談をするときや、マネジャーがトップに対して提案するときなどに幅広く活用できるテクニックです。伝える技術は他にもありますが、それはまた別の機会に。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考
・Wikipedia「江戸しぐさ」<https://ja.wikipedia.org/wiki/江戸しぐさ>(参照2021-11-22)
・大嶋祥誉(2017)「図解 マッキンゼー流 入社1年目の問題解決の教科書」SBクリエイティブ株式会社
・Schoo for Business「エレベータートークとは?相手の時間を奪わないコミュニケーションのコツを解説」<https://schoo.jp/biz/column/1002>(参照2021-11-22)

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