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ご恵贈御礼 覗いてみたい!?先輩OTの頭の中〜臨床のリアルに触れる〜(澤田辰徳 著)

東京工科大学医療保健学部リハビリテーション学科作業療法学専攻教授の澤田辰徳先生より、澤田先生の新刊である『覗いてみたい!?先輩OTの頭の中〜臨床のリアルに触れる〜』をご恵贈いただきました。まずは、心よりお礼申し上げます。
 私は澤田先生の新刊を拝読し、いわゆる新人からベテランまでの全ての作業療法士が一読すべき書籍であると感じました。
 そこで本noteでは、澤田先生の新刊である『覗いてみたい!?先輩OTの頭の中〜臨床のリアルに触れる〜』をご紹介させていただきます。

まず、本書の背景となる澤田先生のご経歴について、以下に引用します。

1999年 広島大学医学部保健学科作業療法学専攻卒業、急性期から訪問、デイケア、特別養護老人ホームでの臨床を経て、教職を経験する。教員時代に現場の変革の必要性を感じ、イムス板橋リハビリテーション病院の開設時よりリハビリテーション科技師長を務める。その後、同院の訪問・デイケア、診療技術部門およびグループの作業療法部門責任者を兼務する。2016年同院を辞し、現職。2013年に仲間と臨床作業療法学会を立ち上げ、会長に就任(2021年まで。現在は理事)。
 日本作業療法士協会学術部、運転と地域移動支援班。運転と作業療法研究会世話人、リハビリテーション医療デジタルトランスフォーメーション学会理事(同学術編集委員長)

『覗いてみたい!?先輩OTの頭の中〜臨床のリアルに触れる〜』

本書で覗く先輩OTの頭の中とは、わが国がバブル景気崩壊後の低い求人倍率と若年失業率が高まっている時代に作業療法士となり、急性期から生活期までの広い病期を経験するとともに、臨床の前線から管理監督職に加えて教職までも経験されている先輩OTの頭の中を指しています。
 私は澤田先生とほぼ同じ時期に作業療法士となり、教職の経験はないものの、経験した病期や職位が近しいため、とても感慨深く本書を味わいました。

澤田先生の頭の中は、作業療法士1年目から対象者に対してとにかく懸命にできることを追求しながら、本来の作業療法士としてのあるべき姿とのギャップを冷静に俯瞰しようとしている点がとても印象的でした。
 当時の感覚や考え方について、”人-作業-環境の三要因”や”CMOP-E(作業と結びつきのカナダモデル)”、組織学的理論や2軸4象限などで整理されている点は、日常業務に違和感を少しでも抱いている作業療法士にはとても参考になる視点ではないかと感じます。

2020年3月31日現在の日本作業療法士協会の有資格者に対する組織率は66.1%とされています(2019 年度 日本作業療法士協会会員統計資料)。私は、少なくとも作業療法士として働いている作業療法士は、職能団体に所属すべきであると考えています。その理由の一つは、ゴールドスタンダードを学ぶには最も合理的な選択であり、同じ志を目指す仲間を作りやすいという点にあります。
 前述したように、澤田先生のこれまでのキャリアは、単に広いだけではなく深みがあります。この深みは、職能団体に所属することによる機会を最大限に活用した、澤田先生の行動力と仲間との出会いが後押ししているのではないかと感じることができます。

澤田先生が作業療法部門の責任者を勤めた医療法人イムスグループは、135施設の運営を通し、急性期・回復期・慢性期・予防医療から施設・在宅介護までの一貫した医療・介護を提供する総合医療・福祉グループです(医療法人IMS(イムス)グループホームページ)。このような大規模組織におけるリハ専門職の管理やマネジメントは、おそらく想像を絶するご苦労があったものと推測します。臨床実習指導や職員教育、収益を含む経営管理や多様な働き方への対応など、さまざまな考えを持つリハ専門職をまとめ上げるには一筋縄にはいかないでしょう。
 しかし、このような管理やマネジメントについて、常に対象者中心の視点で論理的に解決策を模索している姿は、まさに作業療法士そのもののような気がします。

外部環境の変化によって、おそらく外発的にさまざまな領域を経験してきた中で、常に対象者中心の作業療法が実践できる環境を真摯に築き上げてきた先輩OTの頭の中は、1年目からベテランまでの全ての作業療法士が覗くべきであると感じます。そこには、多くの悩みの解決の糸口や成長の近道がきっとあります。一人でも多くの作業療法士に、本書を手に取ってもらいたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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