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信州大学経営大学院とわたしの記録

信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科イノベーション・マネジメント専攻(経営大学院)は、令和2年の総合人文社会科学研究科の設置に伴い、令和2年4月から学生募集を停止し、令和5年9月の修了生をもって在学生がいなくなったため、研究科の廃止およびホームページの閉鎖が決まりました。
 経営大学院は、2003年4月に社会科学系と理工系の本格的な連携の具体的な実践モデルとして、全国に先駆けて社会人を対象とする大学院として開設されました。以来、約20年間、先端技術と市場の動向に関する深い知識を併せ持ち組織改革を達成できる人材の養成を行ってきた結果、205名の大学院生を受け入れ、169名の修了者を輩出しました(参考:経営大学院事務室発行文書)。
 本noteの目的は、閉鎖するホームページの記事や写真の中から、小生が参加したキャンパスイベントを引用し、保存することです。あくまで個人的な記録ですが、私としてはいくつかある人生の転機の一つとして、その思い出をここに記録します。

© 信州大学経営大学院
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入試説明会 開催報告

2018年度春季入試説明会を開催しました。
修了生の代表をお招きし、ご自身の体験談をお話いただきました。
参加者との懇談では、仕事と学習の両立、履修や通学上の相談にのっていただきました。
日時:12月3日(日)午後3時(1時間程度)
会場:信州大学工学部 総合研究棟2F 経営大学院講義室
OB相談員:宇都宮司 氏(中央タクシー株式会社 代表取締役社長)

© 2017 信州大学経営大学院

平成30年度春季入学式

4月1日(日)14:00 経営大学院講義室にて平成30年度春季入学式が開催され5名の新入生が入学されました。ご入学おめでとうございます。

© 2018 信州大学経営大学院

式辞:専攻長 柴田匡平
平成30年度の春季入学式にあたりまして、経営大学院の教職員一同を代表致しまして、新入生にご挨拶を申し上げます。私どもの大学院は、2003年に設立され、今年で15年目になります。現在までの修了者は140名、在校生は昨年度末現在19名で、本日5人のご入学にともない、24名になります。
  こじんまりとした小さな所帯ではございますが、当大学院は県内で初めて平日夜間を主な開講時間とする社会人向けの修士課程として設置されました。学生当たりのスタッフ数からみて、たいへん贅沢な教学組織でございます。教員は企業や組織の経営を研究領域としておりまして、実務性の高い教育研究をめざしております。
  皆様がこのたび御入学なさるにあたりましては、職業生活ならびにご家族との生活に加え、勉学生活という第三の要素が付け加わることになります。修了なさるまでには、タイムマネジメントを含め、ご苦労もおありかと思いますし、またその覚悟でおられることと推察致します。勉学生活は職業生活や家庭生活とは異なり、まったく自分のためだけの時間になります。社会人として、自分のためだけの時間をもつ以上の贅沢はないかもしれないと私は考えております。しかし、そのコストを負担するのはご自身だけでなく、職場やご家族の御理解とご支援があればこそであります。
  皆様はそれぞれの問題意識をもたれて本大学院に入学して来られました。しかし大学院では、まず問題意識そのものが既成概念に制約されてはいないか、あるいは願望の裏返しではないか、洗い直すところから始まります。本大学院ではイノベーションをひとつのキーワードとしておりまして、ここでの勉学を通じ、発想の柔軟性と広い視野をもとに、何らかの意味でのイノベーションを推進できる人材になられますことを期待いたします。
  最後に、経営大学院でのご勉学で築くことのできるひとつの大きな資産は人的ネットワークでございます。大学院生活を通じ、学業の充実はもちろんのこと、是非さまざまな背景と問題意識をそなえた人材と交流を図り、ネットワークづくりにも勤しんでいただきますよう期待申し上げます。簡単ではございますが、私からのご挨拶とさせていただきます。
平成30年4月1日

入学生の答辞 : 代表 小松 大三 さん

© 2018 信州大学経営大学院
© 2018 信州大学経営大学院

第1回 課題研究ワークショップ(発表なし、聴講および質問)

2018年4月7日
第1回の課題研究ワークショップ(合同研究指導)が開催されました。
発表時間:H30年度秋季修了予定者10分、H30年度春季修了予定者5分。
学生の発表終了後、柴田匡平先生によるレクチャー「論文の書き方」がありました。

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第2回 課題研究ワークショップ(発表なし、聴講および質問)

2018年5月26日(土)13:10~16:20
第2回課題研究ワークショップ
橋本准教授「リサーチの基礎」
受講人数は14名でした。

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第3回 課題研究ワークショップ(発表なし、聴講および質問)

2018年7月7日
第3回課題研究ワークショップ(合同研究指導)が開催されました。
発表時間:H30年度秋季修了予定者20分、H30年度春季修了予定者10分。
学生の発表終了後、経営大学院教授 今村英明先生によるレクチャーがありました。

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第4回 課題研究ワークショップ(発表なし、聴講および質問)

2018年10月6日
第4回課題研究ワークショップ(合同研究指導)が開催されました。
発表時間:H30年度春季修了予定者15分、H31年度秋季修了予定者5分。
学生の発表終了後、経営大学院教授 鈴木智弘先生によるレクチャーがありました。

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第5回 課題研究ワークショップ(発表なし、聴講および質問)

2018年12月8日
第5回課題研究ワークショップ(合同研究指導)が開催されました。
発表時間:H30年度春季修了予定者20分。

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第6回 課題研究ワークショップ(発表なし、聴講および質問)

2018年12月15日
第6回課題研究ワークショップ(合同研究指導)が開催されました。
発表時間:H30年度春季修了予定者20分、H31年度秋季修了予定者10分。

© 2018 信州大学経営大学院

第1回 課題研究ワークショップ(発表あり、聴講および質問)

2019年4月6日
平成31年度「課題研究ワークショップ」第1回が開催されました。これは、経営大学院の通年集中授業で、4月6日(土)を始めに、年6回不定期に開催されます。
 この「課題研究ワークショップ」は、特定課題研究論文の作成に向け、進捗状況を発表し出席者全員で討議することにより,各人の研究内容を高めることを目的とした,院生全員を対象とした演習形態の授業です。1年生は単位にはなりませんが、推奨される授業です。

© 2019 信州大学経営大学院

第2回 課題研究ワークショップ(発表なし、聴講および質問)

2019年6月1日「課題研究ワークショップ」第2回が開催されました。今回は、「リサーチの基礎」と題して、橋本准教授による講義が行われました。
 リサーチ・デザインの基本(テーマの選び方、仮説の立て方・検証の仕方)と、アンケート調査の留意点やクロス表の活用方法など、特定課題研究論文作成のための分析の手法を学びました。

© 2019 信州大学経営大学院

第3回 課題研究ワークショップ(発表あり、聴講および質問)

2019年7月6日「課題研究ワークショップ」第3回が開催されました。今回は、春季修了予定を目指している8名の院生から、各自の課題研究について、10分間のプレゼンテーションが行われました。
 それぞれの発表の後、各教員から、研究テーマ設定、研究計画、調査方法などについて、質疑があり、研究手法の見直し、調査範囲の見直し等、様々な指摘があり、春季修了をめざして早急に改善に取り組む必要のある旨の指導が行われました。
  また、発表会終了後、今村教授から「社会科学系の社会人大学院プロジェクト論文作成ガイド」と題して、講義がありました。

課外授業:柴田・今村ゼミ合同合宿2019(発表あり、聴講および質問)

2019年8月31日-9月1日
恒例のゼミ合同合宿が、志賀高原において行われました。教員・院生・修了生の総勢21名の参加により、2日間に亘って開催されました。
 それぞれの研究テーマに沿った研究発表をメインとした行程で、夜には懇親会も催され、相互の親睦も深まり、2年生にとっては修了に向け、1年生にとっては今後の研究テーマを探る有意義な2日間となりました。

第4回 課題研究ワークショップ(発表あり、聴講および質問)

2019年10月5日
第4回課題研究ワークショップが開催されました。今回は、春季修了予定を目指している院生から、15分間、後期入学の新2年生から5分間の研究テーマのプレゼンテーションが行われました。
 それぞれの発表の後、質疑応答の時間が設けられ、教員及び院生から様々な意見交換がありました。 発表終了後、担当の柴田教員から、春季修了を目指している院生に対して、論文作成のテクニックについて、最初からパソコンに向かうのでなく、時間のある時に用紙にまとめ、大学図書館等を利用して作成するアドバイスがありました。
 引き続き、経営大学院教授 鈴木智弘先生によるレクチャーがありました。

© 2019 信州大学経営大学院

第5回・第6回 課題研究ワークショップ(発表あり、聴講および質問)

2019年12月7日、8日
「課題研究ワークショップ」第5回及び第6回が2日間に亘って開催されました。この2日間は、春季修了を目指している院生が20分間、来年度秋季修了を目指している院生が10分間の特定課題研究のプレゼンテーションを行いました。
 それぞれの発表の後、春季修了希望者は25分程度、秋季修了希望者は、20分程度の質疑応答の時間が設けられましたが、時間を大幅に越えて教員及び院生から様々な意見がありました。
 2日間の全ての発表終了後、担当の柴田教授から春季修了希望者に対し、論文提出にあたり提出期限を厳守するよう指導がありました。

© 2019 信州大学経営大学院

令和元年度春季修了式(修了生代表謝辞、特定課題研究論文優秀賞受賞)

令和元年度春季修了式が3月14日(土)に行われ、修了生5名に学位記が授与されました。
 今年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止・感染予防の観点から実施及びその方法について、感染の機会を減らすための措置を講じた上で、ご来賓をお招きせず、修了生及び関係教職員により、学位記授与、論文表彰、修了生謝辞を書面で配布して、短縮して執り行われました。なお、専攻長の式辞は、ホームページに掲載して紹介することとしました。
 また、例年、修了式終了後に開催される在学生並びに同窓会による論文発表会、祝賀パーティーについては、日程を延期して開催することになりました。

© 2020 信州大学経営大学院

式辞:専攻長 鈴木 智弘
令和元度春季修了式 式辞
経営大学院での学修を終え、修士(マネジメント)を取得された5名の皆さんに、教職員を代表して、お祝いの言葉を捧げます。
 新型コロナウイルスへの対応のため、学事行事の中止や簡略化が求められ、本大学院の学位授与式も、極めて簡略に挙行せざるを得なくなり、例年通り、修了生を送り出すことができないこと、大変遺憾に存じます。
 世界は、コロナウィルスパニックと言うべき、大混乱になっておりますが、このような時だからこそ、専門家の正しい知識と、リーダーの資質が問われると考えます。
 新型コロナウイルスについての情報が曖昧な中で、その感染と罹患者の重症化を防ぐためには、国民の私権を制限することが必要になり、どのような施策を講じても、国のリーダーには、厳しい非難が浴びせられます。しかし、非難を恐れて、無策を続けることは、国家を滅ぼしてしまう危険性があり、リーダーは、毅然とした対応をすることが求められます。そして、リーダーは、自らの下した結論に対して、「想定外」などと言い訳をせず、結果責任を取ることが求められます。
 このことは、企業や団体においても同じです。私たちは、極めて不確実性が高く、変化が速い社会の中で生きており、その中で常に意思決定を下し、行動して行くことが求められています。このような厳しい状況の中で意思決定を下し、チームをリードしてゆくためには、正確な知識と、その知識に裏付けられた強い意思が必要になります。過去の延長線上にない不確実な世界だからこそ、その時の感情に流され、行き当たりばったりの行動するのではなく、正確な知識を用いて、現状あるいは未来を予測するという作業が必要になります。新しい発想やイノベーションは、突然現れるのではなく、これまでの発想や経験の組み合わせで出現することが多いのです。シュムペーターの言う「新結合」です。
 しかるに、東日本大震災での原発事故によって、わが国では、専門家への社会的な信頼が失われ、SNSの発達も加わって、無責任な流言飛語が社会的なインパクトを持つようになりました。その結果、誤った情報が誤った行動を促すようになっています。1973年にオイルショックを契機に発生したトイレットペーパーの品切れと同じ事が今回も発生しています。
 事象を面白おかしく取り上げるマスメディアの責任も大ですが、日本社会の知的水準が問われているのです。これは、知の危機、「知識人」の危機と言えます。知の危機のひとつの現象として、専門的知識に乏しい政治家や官僚が、「役に立つ」という短絡的な基準を設け、学問を仕分けするようになっています。その危機に、多くの研究者は口を閉ざし、具体的な行動を示していません。それどころか、そのような政治家や官僚にすり寄り、自分の地位や研究費を獲得するという曲学阿世の徒も増えています。それは、洋の東西を問わず人間の弱さなのかもしれませんが、わが国の思想や学問の自由は、自分たちで勝ち取ったものではなく、太平洋戦争の敗戦によって、連合国から与えられたものだったからなのでしょうか。
 研究や教育は、必ずしも企業的な採算性や収益性は期待できません。研究や教育などの知識は公共財としての性格を持ちます。最近の国立大学では、予算上の数字ばかり重視され、文部科学省などの意向を過剰に忖度することが顕著になっております。本学も例外ではなく、「信州大学」という主語を他の大学に変えても、「長野県」という地名を他の地名に変えても通用するような抽象的なビジョンはあっても、長野県内唯一の国立大学という責任も地域の人々の顔も見えません。経営理念、ビジョン、経営戦略、経営計画などの関係は、大学院で教授したことですが、わが国の文教政策、そして国立大学には、ビジョンも中期経営計画も、年次計画も存在しますが、その実体と運用は、その基本を踏み外し、毎年思い付きのように文科省から下達される方針と、予算に翻弄され、企業経営で言う戦略や計画とはほど遠いものです。
 設立以来、地域の高度人材養成を果たしてきたと文科省、地域経済団体、そして信州大学も評価していた経営大学院の廃止も、信州大学が、どのように地域高度人材養成に役割を果たそうとしているのか、その役割の中に、経営大学院をなぜ排除するのかという具体的な説明は、当事者である在学生や教職員にもなされずに強行されました。学問の府が、学内の言路を塞ぎ、それが問題視されないということに絶望します。 組織のリーダーが結果責任を取らないこと、自己保身のための苦しい言い訳も目立つようになっています。
 昨今の日本国政府や国会を見ると、権力者への滑稽な「忖度」が蔓延し、後世の検証をするための材料となる記録を取らない、破棄する、改竄するという末期的な様相を示しています。このことに誰も責任を取っていません。しかし、このようなことは、あらゆる組織に生じている現象です。
 日本政府だけでなく、日本企業に最も欠如したことは経営責任です。経営者の劣化は、組織の劣化に繋がります。わが国を代表する企業の経営者は、従業員の延長であるサラリーマン経営者が多く、企業業績を悪化させても、実質的な責任を取ることはなく、経営者の命令に従った中堅あるいは、末端の従業員が責任を取らされることが、ほとんどです。経営悪化のため、多くの従業員が生活の糧を失う一方、経営者は経営責任を取って、表面的に退陣しても、実際には顧問など表面に出ない形で処遇されることも多く、本当の責任を取ったとは言えない事例ばかりです。中小企業では、経営者は全財産を失うだけでなく、廃業後も多額の借金を返し続けなければならなくなることが珍しくありません。
 更に、正しい知識に基づき、組織のための発言をしても、その内容が経営陣に否定的であれば、組織から排除されるというのは、洋の東西を問わない共通事象なのでしょうが、わが国では顕著なことと思えます。国民性なのか、第二次世界大戦後の戦犯裁判でも、日独の違いは明確でした。わが国は、責任と権限の関係が曖昧で、そのことがリーダーの結果責任を問うことを妨げてきました。
 21世紀に入り、グローバル・スタンダードという言葉が都合良く使われ、わが国の経営者の報酬は大幅に増加しています。しかし、その報酬に値する経営責任を果たしているのでしょうか。
 しかし、経営者や組織の劣化は、ある意味で、新しいリーダーや経営へのニーズとなり、チャンスです。残念ながら、経営大学院は、在学生の修了と共に廃止となりますが、経営大学院で学んだ皆さんは、正確な知識に基づき意思決定し、その結果責任を取るリーダーとして、世界に羽ばたいて頂きたいと切に希望致します。それが、信州大学に経営大学院が存在した価値と考えております。
令和2年3月14日

卒業生の謝辞:村山 幸照

© 2020 信州大学経営大学院
© 2020 信州大学経営大学院

以上。あらためて、組織変革を実現できる人材に成長し続けたいと感じました。

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