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友達ともっと仲良くなれるSNS「mio」をリリースしました! ~ 設計の裏側 ~

自己紹介

Anycloudで代表を務めている村井です。
以前はプログラミング学習サービスProgateの共同創業者&CTOとしてプロダクト開発に携わっていました。

mioの特徴

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mioはツイッターやインスタグラムのように投稿からやり取りが発生するシンプルなSNSです。

ただし、「素の自分でいられる」「雑談が生まれやすい」環境を作り出すための、様々な特徴的な機能が備わっています。

mioは2021年の1月にユーザーテストを開始し始め、約10ヶ月間の機能追加や仕様変更を通してプライベートSNSとしての形を模索してきました。

結果的に約1000人の方に協力をいただくことになりました。この方々なしに今のmioを作ることはできませんでした。この場を借りてお礼を申し上げます。

このnoteではmioの製作背景、設計の裏側を書いてみようと思います。

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新しいSNSの形を目指して

2010年代はSNSの勃興期で世界とつながること、インフルエンス能力が拡張されていくことに世界が胸をときめかせた時代だったと思います。

事実、個人の発信能力、世界に影響を与えられる度合いが飛躍的に伸びました。

しかしその一方、負の側面も垣間見えてきつつあります。
自己肯定感の低下、炎上、誹謗中傷、などなど。

自分としては段々とSNSのそういう性質に疲れてきて、SNSの使用頻度は減っていき、同時に世界とのつながりが薄れていくのを感じていました。

そんな中、新型コロナウイルスがやってきます。

家族や友達、同僚との雑談など人と触れ合う機会がぐっと減り、日に日に自分の中で孤独感が大きくなっていく。

人との日常的な雑談や交流がなくなることがこんなに辛いことだとは思いませんでした。リアルの社会的関係がなくなることで日常的な幸福度が大きく損なわれると心から実感する初めての体験です。

もっと気軽に友だちとコミュニケーションをとりたい、そう思うことが増えました。
既存のSNSを使って人とのコミュニケーション量を増やすことも考えましたが、それぞれのサービスに以下のような問題点を感じていました。

○ Twitterはここ数年は攻撃的な投稿や炎上が増えて、使っていてモヤモヤすることや疲れることが増えた。どうしてもフォロワーを意識して発信内容がブランディング要素強めになってしまうので友達との気軽な交流に向かない。

○ Facebookは名刺交換的な要素も強く、関係値の浅い人含めて友だち数が増えすぎてしまって毎日気軽に投稿して交流するのに向かない。

○ インスタグラムはストーリーが日常のコミュニケーションにおいて優れているものの、世界観としてどうしてもキラキラ感が強い。周りと比較して自身を失うことが多い。

自分の周りでも同様の意見を聞くことが多く、時代としてプライベートな関係を再び重視する流れを感じています。

素の自分でいられ、友達と気軽に交流するのに最適なSNS。
それを追い求めるため、mioを開発することにしました。

友達が増えすぎる問題をどうするか

mioの最重要項目の一つは自分の素の状態でいられるような場をユーザーのみなさんに提供することです。

Twitterにせよ、Facebookにせよ、基本的には使い続けるとつながりが増え続ける傾向になります。
関係値が浅い人もどんどん増えていきますが、自分からつながりを解除するのはハードルが高いです。

友だち数が増えると、どんどん投稿のハードルは上がっていきます。
次第に「素の自分」から遠ざかり、「表社会の自分」としての側面が強くなってしまいます。

この問題をどうするか。

この問題に取り組んだ先駆者は、PathというクローズドSNSです(2010年に作られ、数千万人のユーザーを抱えてたものの、2018年にサービスが閉鎖されました)。

Pathでは友達数を最大50人に制限することによってクローズドな空間を実現していました。(のちに150人に上限を増やしています)。

mioも当初Pathの方針にのっとって、最大50人の上限をつけてスタートしました。
しかし運用していく中でこの方法にもいくつか問題があることがわかりました。

まず、「人からきた申請は断れない」という問題です。
例えばFacebookで知り合いから友達申請が来た場合、基本的に断るのは難しいですよね。
仲が悪いわけではないが素の自分を見せづらい人、居心地がよくない人、、、人間関係は複雑であり、様々な関係値の人から友達申請は来ます。

いかに当初居心地のいい空間になったとしても、こうやってつながりが増えていくにつれ、環境は変わってしまいます。

mioをテストしていく中で、50人という制約があったとしても、この現象は頻繁に生じることがわかりました。

上限数を10人などに減らしてそのような現象を起きづらくすることも考えましたが、過疎りやすい、同じ人としか絡めないため飽きてくる、という問題が懸念されます。

この問題を受けて、人数制限によらず、本質的に自分の心地いい場をつくる方法を模索することにしました。

試行錯誤してたどり着いたのが、友達とのやり取りの度合い、インタラクションを細かく計測し、インタラクションが極端に少ないつながりをサービス側が自動で解除する、という仕組みです。

この仕組がワークすれば、ユーザーは自分で誰とつながるか(つながりを解除するか)に頭を悩ませる必要はなくなり、自動的にやりとりがあるような友達とだけ長期的につながることになります。

一見すると恐ろしい機能にも見えます。システムが友達関係を管理する時代になるのかと。仲いいはずの友達と友達解除されてしまう恐れもある。

そこでmioが目指したのは、「つながり解除したいけど、あえて解除するのも気が引ける」程度の微妙な距離感の管理を手助けすることです。


機能追加した初期はアルゴリズムが未熟で、期間内のやりとり数のみ評価するような、一面的な評価システムになってしまいました。
その結果意図せずして友達解除されてしまうことも多々ありました。

テストユーザーの方々にご迷惑をおかけしながら、繰り返しアルゴリズムを調整した結果、

・リアクションやメッセージなど、インタラクションの時間別分布
・自分と友達がどれくらいmioをアクティブに使っているか
・投稿の非公開対象に選ぶ頻度
etc...

など多面的につながりを評価できるようになり、「つながりを解除したい気配」を正しく察知する性能が向上しました。
テストユーザーの方からも次第に好評の声をいただくことが増えました。
これからも方式を繰り返し調整することによって、アルゴリズムを発展させていきます。

他人と比較しなくていいSNS

既存のSNSで他人の輝かしい一面ばかりを見て自信を失ってしまうことはよくあります。

人間誰しも社会的に優位に立ちたいという思惑はあると思います。SNSではいいね数がそれを可視化するようなシステムとなっており、必然的に輝かしいような投稿や注目を集めやすいような投稿が増えていきます。(もちろん輝かしい毎日ばかりを送っているような人などほとんどいないはずですが)

そのような投稿ばかり見ていると、自分の変哲のない日常に価値がないような錯覚を覚えるのも仕方ありません。

mioではこのようなステータスとしてのいいねを重視するのではなく、コミュニケーションとしてのいいね(または他のリアクション)に重きをおいています。

リアクションやコメントはDMとして送られ、当人同士でしか確認できないようになっています。

なので、投稿についたリアクションは他の人からは一切見れないようになっています。この結果、とくにいいねを集めるインセンティブが働かないのでmioでは素に近い、飾らない投稿が多い傾向があります。

友だちが誰とつながっているか、という情報も全く見えません。
友だち数やフォロワー数を稼いでステータス化する、という行為はmioでは起きえません。

周りからどう見られるか、という要素がmioではほとんど排除されており、飽くまでコミュニケーションが中心に据えられています。


人と人をつなぐ糊(のり)

人と人が仲良くなるとき、基本的にはある種の強制力をともなった機会が媒介になっていることが多々あります。

学校やサークル活動、職場などはその典型的な例で、強制的に同じ場所でなにかに取り組むことで関係性が構築されていきます。
逆に仲良かった友達とも、環境が変わって強制力がなくなるとだんだん疎遠になっていくことが多いと思います。

そのように場や機会が糊のように働いてある種強制的に人同士をくっつけてくれます。

mioも人と人をつなぐ糊になることを意識して機能を設計しています。
以下がその例です。

■ やりとりは全てDM
リアクションやコメントはDMになるので、それがきっかけになって会話が始まることが多々あります。
なので普通にmioを使っていると、半強制的に色んな人とDMをすることになります。いきなりDMに行くと気まずいこともあると思いますが、多少無理にでも場があったほうが結果的に会話量が増えるならそれでよいと考えています。

 カスタム絵文字で気軽にやり取り
楽しくコミュニケーションができるようにカスタム絵文字が多く用意されており、それらが投稿ごとにリコメンドされるので、自分でわざわざ考えなくても気軽にリアクションできるようになっています。

 グループチャットが自然と始まる
人がタグ付けされた投稿など、他の人を巻き込んだような投稿に対してリアクションをすると、関係者全員を含めたグループチャットが始まります(友達としてつながっている人に限ります)。
半ば強制的にグループが作られるわけですが、これによって普段ないような組み合わせでも会話が新しく生まれます。

 タイムラインのロック
mioでは特定の人にしばらくの間リアクションをしないとタイムラインがロックされる仕組みになっています。これによって、最新の投稿を見るためにはリアクションせざるを得なくなります。

不本意なリアクションをすることにもなりますが、これがきっかけになってその友達とDMが始まったり、次のコミュニケーションのハードルが下がるだろうという考えのもと、このような設計になっています。

友達ともっと仲良くなれるSNS

これまで自分もmioを一人のユーザーとして使ってきました。
自分は友達と会話する量、実際に会ってコミュニケーションを取る量が以前より目に見えて増加しています。

mioをヘビーに使ってくださっているユーザーの方からもそのような声を聞くことが多くあります。

あなたの人生を派手に変えるようなサービスではないかもしれません。
でも、mioはあなたと大切な友人との関係をよりよくする糊になってくれるかもしれません。

興味がある方は使ってみていただけると幸いです。
長文を読んでいただきありがとうございました。

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■ mio共同開発メンバー
いつもありがとう
・開発、設計  かずたか
・デザイン ayataki 

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