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『パッドマン 5億人の女性を救った男』あらすじ 〜妻への偉大な愛〜

2000年代、ナプキンが高くて12%の女性しかナプキンを使うことができなかったインドのある村を舞台に、
愛する妻のために、世間の批判を省みずに生涯をかけてナプキンを作ったあるインド人の実話をも元にした映画です。


「え、ナプキンの映画なの?」「ただの開発ストーリー?」と思ってしまいそうですが、
この映画、本当に本当に感動で涙が止まりませんでした。


主人公のラクシュミ(アクシャイ・クマール)の妻への愛が深くて、そしてありきたりな日常を描いたリアルなものでもあり、
だからこそ心の中にスッと、夫婦の愛の素晴らしさが入ってくるんです。
そして、妻の愛のために一途にナプキンを作り続けるクラシュミの姿からは、「愛してる」の言葉以上の愛が伝わってきます。


愛っていいな。誰かを幸せにするって素敵だな。と、心温まる映画なので、
号泣したいときや幸せな気持ちになりたいときに、ぜひ見ていただきたいと思います。


『パッドマン 5億人の女性を救った男』簡単なあらすじ

※大まかにしかストーリーを記載していませんが、ネタバレ注意です。

新婚生活を始めて数日後、妻のガヤトリ(ラーディカー・アープテー)が生理用品として汚れた布を使っていることを知り驚いたラクシュミ(アクシャイ・クマール)。
生理の間は家の外に隔離されてベランダで安静にして行かなくてはいけないことも、結婚して初めて知ることになりました。

衛生的に悪い布を使わせたくないと思ったラクシュミは、妻のために薬局に行きナプキンを購入しますが、価格は55ルピーという高額。一瞬驚愕するものの、妻の健康には変えられないとナプキンを購入してプレゼントしますが、値段を知ったガヤトリは高すぎると返品することをせがまれます。裕福な家庭ではないので、ナプキンに55ルピーの出費がかかるのは、生活が苦しくなると言うのです。

一度は妻の要望を飲み込んだラクシュミでしたが、後日お医者さんから、不衛生な布を使い続けると、病気になったり命を落とすケースがあるという事実を知ります。
このまま不衛生な布を使わせる訳にはいかないと、お金がないのであれば自分で作ろうと、愛する妻のためにナプキンを作ることを決意します。


しかしインドでは、『生理』は穢れたもので、口に出してはいけないタブーとして扱われていました。
男であるラクシュミが生理の話をすることはもちろん、ましてや生理用品を作ることは言語道断で、ナプキンを作って試作品を女性に試してもらおうとするラクシュミの行動は、村の人々からは「頭が狂ったヤツだ」「変態だ」と罵られる結果となってしまいます。
家族からも偏見と差別を受け、ガヤトリの兄からも「妹に近づくな」と強く言われ、ラクシュミは村を出て行くことになりました。


それでも、「妻を助けたい」「名誉を取り戻して、また妻とよりを戻したい」という信念は消えません。


都会であるインドールに移り、ナプキン作りの知識を得るために大学教授の使用人として働き、地元の有力者に資金協力してもらい、ナプキン製造機の開発に励み、
長い年月をかけて、ついにナプキン作りを成功させます。
そして、ナプキン開発に留まらず、ナプキン製造機械を作り、機械の使い方や売り方を教えることで、手に職がなく自立できない女性たちにビジネスの機会と雇用を生み出して行ったのです。


ナプキン作り成功に至るまでのクラシュミの努力と根性が、いつまでも消えぬ妻への愛と共に描かれています。


見どころ1「変わらぬ妻への深い愛」

私は、映画の冒頭から感動してしまいました。
結婚式を得て、同じ家に住み、徐々に仲を深めていく二人の姿の映像と共に『愛』を歌ったインド音楽か流れ、
曲全体を通して、クラシュミが妻に捧げた『偉大な愛』を物語っているようでした。

「今日から同じ道を君と歩く 今日から住まいを共にする
 今日から僕の喜びは君のもの 君の悲しみは僕のもの」

という歌詞があって、

夫婦となった今、二人は同じ人生を共にしていって、
”だからこそ妻には悲しんで欲しくない。幸せになって欲しい。それが僕の幸せである”
というラクシュミの深い愛が伝わってくるようでした。


映画全体を通しても、一番に伝わってくるのは『ラクシュミの妻に対する深い愛』。

村人からどんなことを言われても、どんな態度を示されても、
「妻の健康には変えられない」と、自分の名誉を捨ててまでナプキン開発に励む姿に、深い愛を感じます。
「妻に何かあったら自分を許すことはできない。」「女を守るのが男である。」と言うセリフが、特に印象的でした。

例え妻と一緒にいられなくても、ラクシュミは彼女の健康を(幸せを)願い続けたのだと思います。

自分を犠牲にしてまで守りたい人ができることが、愛なのだと教わりました。


そして、どんなに失敗しても、困難にぶち当たっても、
ラクシュミが諦めずに開発を続けることができたのは、『愛』の力なのだとも思います。


愛って、本当に計り知れない力を与えてくれる。


愛の偉大さについて、ラクシュミの生き方を通して教えられました。


見どころ2「笑いと感動のスピーチ」

功績が認められたラクシュミは、国連からニューヨークでの講演依頼を受けることになるのですが、
たどたどしい英語で語るそのスピーチが、ラクシュミの人柄や想いがヒシヒシと伝わってくる、まさに感動のスピーチでした。

ラクシュミは、スピーチの中でこう述べています。
(映画の中のセリフを、一部省略・修正して載せています)

「みんな、お金を追う。
大きな家、もっと大きな家をと。
何も考えないで生きているから。
お金で問題は消えると思っている。
でも、問題がない人生なんてない。
問題は生きるチャンスだ。
インドには問題がたくさんあります。
つまり、チャンスがたくさんある。
女性には5日間の問題があると気づきました。
私は昔から、『狂った』と言われてきました。
でも、狂って有名になった。
有名になったけど、僕は何も変わっていない。
お金は持っていません。
お金は一人を喜ばす。
良いことをすると、多くの女性が笑う。
インドではやることがたくさんあります。
18%の女性しかナプキンを使わない。
僕はインドをナプキン100%の国にしたいんです。
そして、100万人の女性に仕事を与えたい。このビジネスで」


スピーチの内容自体も感動するのですが、
途中途中にユーモアを入れて話すラクシュミのスピーチ力にも圧倒されます。
本物のスピーチを聞いているみたいで、世界観に引き込まれてしまいました。

お金には無頓着で、女性がナプキンを使って安全に過ごせることや、自立できずに苦しむ女性を助けることを目的にビジネス展開を手がけるラクシュミの姿から、
『ビジネスは、人々を幸せにするためのものである』ということを教えられもします。

◾︎誰かを助けたいと言う想いが、ビジネスを成功に導くということ、
◾︎社会貢献のために技術は発展するのだということ、
◾︎想いや信念が、人を動かすのだということ、
◾︎それぞれの得意分野を生かしてこそ、ビジネスは成り立つということ、

など、多くのビジネスの基本についても学べました。


見どころ3「インドの社会問題について教えてくれる」

知っているようで知らないインド社会。
映画で描かれているのはインドの一面の姿だと思いますが、驚くべき事実をたくさん知りました。

まずは、当時のインド(2001年)においても、ナプキンは高価でなかなか買うことができないという現実。
そして、生理への強すぎる偏見。

「お願いだからナプキンを使って欲しい」と懇願するラクシュミに対して、
「(生理の)辱めを受けるくらいなら死を選ぶ」と言ったガヤトリの態度から、いかにインドでは生理がタブー視されているのかが伝わってきました。

他にも、

◾︎家族の一存で結婚・離婚が決められてしまうこと、
◾︎学校に行けず、手に職のない女性が多くて、暴力を振るう旦那だとしても別れることができないこと、

などにも触れられており、

また、ラクシュミのスピーチの中で
「インドにはたくさんの問題がある」と語られていたことからも、
私たち日本人が知らないインドの姿がたくさんあるのだと考えさせられました。


『パッドマン 5億人の女性を救った男』、オススメです。

一つの映画で、『愛』『ビジネス』『社会問題』について学ぶことのできる、メッセージがたくさん詰まった作品です。
愛する誰かと、または一人でも、『パッドマン 5億人の女性を救った男』を楽しんで頂ければと思います。

※『パッドマン 5億人の女性を救った男』はNetflixでも観れます。

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