読書メモ(プロドライバー採用・定着5つのルール)

■感想

・仕事に関係するということもありドライバーの採用に関するハウツー本を読んだ。思いの外付帯業務が多いことやドライバーの人の思考性など非常に知らないことが多く勉強になった。具体的な事例や取り組みがかなり多く乗っており、実際に業務に取り組む中で役立つものが多いという印象を受けたので、業務が始まったら再度読み直したい本である

■作者と概要

・作者は酒井誠。株式会社ナルキュウ社長。一般財団法人日本トラックドライバー育成機構を立ち上げ、優良ドライバーや安全教育者の育成にも務めている。

■よかったインプットメモ

・ドライバー採用不足が根本の原因のケースは多い。その課題は大きく①あらゆる手段を通じて求人活動をしても応募者がこないし、稀に応募があっても採用に至らない②面接にこぎつけるチャンスが少なく求職者に主導権を取られがち③うまく採用できても早期に退職されてしまう、または戦力になりかけたところで辞められてしまう④少ない戦力のため過労状態が続区悪循環に陥っている⑤本来運行管理すべき管理者も人手不足から業務に駆り出されている⑥採用コストがかさみ収益を圧迫している がある。

・ドライバーを集める能力のある企業に仕事が集中しているのが現状。ドラーバーが豊富にいる企業では積極的に荷主に賃金交渉をでき、応じてもらえなければ撤退するとい戦略が取れる一方、ドライバー不足の企業はドライバーの輸送品質や高齢化を指摘され最悪の場合逆に運賃値下げを取引継続の条件とされてしまう場合も多々ある。

・①事故を理由にしたドライバーの退職②中間管理職が本来の管理業務を投げ出しドライバーになっている③細かい事故が連鎖して止まない④現場が有給休暇を自分本位に取得し始めた⑤辞めたドライバーが転職先からスカウト活動をしてドライバーの引き抜きを行なっている これらはドライバーの人材不足が引き起こしている問題である。

・3K(危険、汚い、きつい)は解消されてきた。しかしきついだけは長時間運転などまだ改善されていないケースもある。荷待の時間の有償化や短縮を働きかけることで解決されるケースがある

・中小事業者におけるドライバーの退職理由の多くは①低賃金②少ない休日③職場環境の悪さ④将来性への危惧 である

・昔と今が違う状況ということを認識する必要がある。例えば①今ほどコンプライアンス(デジタルタコメータや過積載への規制強化など)がなく人件費に回せた②労働時間への制約がなかった(連続拘束時間規則16時間)③事業者数も4万者ほどで比較的競争が少なかった(規制緩和による新規参入増加)④胆汁輸送が多く手間をかけずに運べた(多品種ロット輸送と大義)⑤1台のトラックで稼いでくる運賃総額が高かった(高速道路の速で規制、過積載への厳罰化、休日の増加、ドライバー不足による厩舎、料金化できない待ち時間の増加、都市部の渋滞激化など)

・応募されやすい気企業には①オンリーワンの取り組みをしている②仕事に2つの楽がある(精神的にはきついが残業がないという美術品などの高価な品物の輸送、拘束時間は長いが肉体的には負担が少ない長距離輸送)③荷主との連携が現場に現れている④会社の沿革に整調性、先見性、柔軟性が見られる⑤伝える力を持っている面接者がいる である

・とってはいけない人は絶対にとってはいけない。とってはいけない人とは①前職のことをよく言わない②コミュニケーション能力が高い③上司に対して異常なまでに火を追求してくる④社長や冗長に同僚や部下についての告げ口をしてくる⑤同僚とひそひそ声で話している場面をよく見かける が揃っている人である。

・転職者を見極める際は①3年以上継続勤務した会社が何社あるか(ナイト要注意)②10年滋養勤続している会社が職種に関係なくあるか(あれば有望)③同じような理由でやめていないか(人間関係、賃金関係なら要注意)④空白期間の頻度が高くないか である。

・確認事項として①運転経歴証書は必ず取り寄せ、事故歴や違反歴を確かめる(1年間に複数の違反や事故がある場合は要注意)②運転技術はどこでドナ風雨に習得したか(我流の場合は運転の癖や懸念点がないか同社してチェックする必要あり)

・中小物流から中小物流への転職の場合の主な転職理由は①大きい車両に乗りたいが見込みが持てない②上司や同僚と人間関係がうまくいって居ない③賃金が上がらない、または割に合って居ない④事業内容に将来性が見込めない⑤休日や残業が多い がある。

・大手物流から中小物流への転職の場合の主な転職理由は①所属営業所の統廃合や転勤辞令により通勤が困難になるため②上長との折り合いが悪く長らく改善しないから③事故や大きなミスを起こし居づらくなったため四管理職抜擢を打診されたがドライバー職以外は考えて居ないため⑤純粋に小さな組織でのびのびと自分を試したいから がある。逆に要注意な場合は①どこか妥協して中小に来たという印象がある②家族や親族の意向を重視する話が多く自分の意思がない③知ったかぶりな発言が多い④プライドがとても高く、他者否定する発言が多い⑤働かせてもらうという謙虚さが感じられない 人である。

・中小異業種から中小物流への転職の場合の主な転職理由は①もともと運転が好き②憧れて居た③いろんなところに行ってみたい が多いが本音はい鳥で気ままにやりたいが多い。こう行った人材は最小単位の班や営業所では馴染めないケースが多いが10名程度の中小零細の運送会社ではうまくいくケースが多い。じっくり話を聞いてあげようという姿勢がこう行った人には大事なケースが多い。「雰囲気の良さ」「アットホーム」「地元密着」のようなキーワードがひっかりやすい。親しい家族や知人にドライバーがいる場合うまく行ったケースが多かったとのこと

・大手異業種から中小物流への転職の場合、ナルキュウでは①未経験でスタートがドライバーの40%②育成に力を入れている点(コンテストなど)③60年を超える社歴④大手の直荷主との取引による安定した運行形態⑤毎日自分の布団で寝られる就業体制 があった。

・若手が辞めてしまう主な原因は①ベテランドライバーに主導権を与えてしまっている②組織の実態を経営幹部が把握できていない③評価基準が明確でないためにいい人材が育ちにくい④会社の将来と個々の将来をリンクして考える文化がない⑤厳しい規律や的確な制裁の定めがない。物流業界で必要な規律とは①時間や約束を守る②事故が起きたら事実を素早く報告する③他人に迷惑をかけない④言い訳や屁理屈を言わせない⑤手抜きに対するチェックを見逃さない(荷締の省略など)

・ドライバー気質を持っている人とはよく言えば個性的、悪く言えば他人と同じことを強要されることを嫌がる人が多い。GPSやドライブレコーダーなど締め付けや管理が増えてしまい低賃金でドライバー志望者は減る一方。なのでドライバーに選択の自由を与えることも必要である(例えばユニフォームの種類を増やし選ばせるなど)


■その他メモ

・運送業の業界平均年齢は45.7歳と高い。また、全国約6万事業者のうち70%が抽象零細企業である。

・ドライバー業務、例えば①運転スキルはもちろん、荷扱や荷主ん製品などの知識やルールを覚える必要がある②運転する時間は全体の半分以下で付帯業務やに待ち時間の方が多い など事実を正しく面接で伝えることが大切である。

・ナルキュウでは採用を会社における最重要事項と定義し、ドライバー採用部を作った。現在は新卒の採用にも着手し始めている。

・ハローワークは求人担当者が足繁く通うことが条件で有効。ハローワークの求人担当職員は大ベテランであることが多く、より熱心な担当者に注力してくれる傾向が強い。求職者が過剰な時に面接に応じてくれた、あるいは採用してくれたなどの恩義を忘れない傾向がある

・性格は顔に出る。生活は体型に出る、本音は仕草に出る。感情は声に出る。落ち着きのなさは足にでる

・今時の若いドライバーはドライバー職に「色々なところに行ける」「好きな運転が仕事にできる」の他に「一人で居られる仕事だから」というものが多かった。「黙々、コツコツの作業です」というキャッチコピーはすぐに定員に足したらしい。教育環境を訴求するのも受けは良かったとのこと

・異業種かの転職受け入れ10か条は①3年の下積みが必要なことを理解させる②運転はドライバー業務の一部でしかないことを自覚させる③教えないことはできないと思え④荷物ではなく製品と考えさせる⑤最初が肝心そのうちにと考えていると手遅れになる⑥とりあえずベテランの横乗りをさせておこうは失敗の第一歩⑦公道上のマナーとモラル教育はかくべからず⑧履歴書から垣間見える転職の安易さを見過ごすな⑨無事故は目標ではなくノルマ。目標を持たせてスタートせよ⑩ドライバー職は孤立しがちな勤務形態が多いので交流の場を意識的に重視させよ

・新入社員への定期的なヒアリングは組織状態を把握するのに効果的である。


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