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スターボーの「ハートブレイク太陽族」レビュー「青春の光と影」。

僕は70年代に人格が形成済みであり,
それ以降は常に違和感を抱きながら生き続け,現在に至っている。
勿論,例外は多々あり,そのうちのひとつが,スターボーが歌う
「ハートブレイク太陽族」なのであった。
中森明菜様が歌う「ヨコハマA・KU・MA」を「光」とするなら
スターボーが歌う「ハートブレイク太陽族」は「影」なのだ。

当時,僕は大学受験のため,勉学に勤しんでいた。
「志望校合格」も勉学に励んだ理由のひとつではあるがそもそも
「勉強すること」が好きなのだ。
受験勉強は深夜に及び
「ビートたけしのオールナイトニッポン」を聴きながら
クスクス笑いながら夜明けを迎えることも多々あった。

あるとき深夜の受験勉強の合間に何気にテレビをつけると
スターボーが歌う「ハートブレイク太陽族」が流れていた。
そして歌い終わると間もなくテレビが停波し
テレビ画面が「砂の嵐」となった…。

僕は所謂「テレビっ子」で物心つかない頃から
延々とテレビを観ていたが
何らかの理由で放送事故が起こり
「しばらくお待ちください」のテロップが表示されると
僕が火がついたかのように激しく泣き出した…。
と僕の母親が証言している。

スターボーとの出会いはトラウマとの再会でもあったのだ。
翌日の深夜にテレビをつけると
やはりスターボーが歌う「ハートブレイク太陽族」が流れていた…!
何故この人たちは毎夜毎夜いつも停波直前に歌を歌うのか?
何故この人たちは僕の心のカサブタを剥がそうとするのか?

理由が皆目分からず混乱し,これならいっそ裏番組で再放送されていた
「おしどり右京捕物車 」を観て,その鬱屈とした演出と
中村敦夫とジュディ・オングの鬱屈とした夫婦演技を
観ていた方が余程いい。

今でも「ハートブレイク太陽族」のイントロを聴くと
忌まわしい過去が甦り僕の心を蝕んでゆくのだ。

決して陽の当たる場所に出られないスターボーを見ていると

「光ある所に影がある」

との大昔のアニメの前口上が思い起こされるのだ。

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