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漫画脚本 山田胡瓜 作画 藤村緋二 漫画「-シン・仮面ライダー- SHOCKER SIDE - 真の安らぎはこの世になく」第1巻レビュー「カルト集団の中で生きる事を強要されるイチローが感じた恐怖は親が新興宗教にハマり総本山に強制連行され信者との共同生活を強要された僕の感じた恐怖なんだ。」

「シン・仮面ライダー」をショッカーサイドから描こうという試み。
緑川博士がショッカーを裏切る前の話ですね。

緑川イチローが10歳の時,母親が非業の死を遂げて
母を救えなかった父・緑川博士は人が変わり
カルト集団「ショッカー」に入り浸り始める。
当然息子のイチローも学校も通う事なく
カルト集団の中で教育を受け・生活する様になる。
子供から見たカルト集団の中で生きる事を強要される寄る辺ない恐怖は,
母親がカルト宗教にハマり総本山に連れて行かれ
共同生活を強要された僕には非常に具体的に理解出来るのです。

破壊的カルト集団が現実に現れて「救済」と称して
大量殺人を行う世の中が到来して,
人々を拉致監禁したりダムに毒物を混入したりして社会不安を醸成させる
従来のショッカーのやり方が洒落にならなくなった。
現実が架空を遥かに上回ってる世の中で
「シン・仮面ライダー」では「悪の秘密結社」をどう描くかが見所で
漫画においては「クモ」とか「サソリ」とか
「ホーリーネーム」を与えられたショッカーのメンバーの
お茶目な一面と怖い一面を両方描いてて,
こういう言い方は非常に不適切なのですがひどく魅力的です。
そういう魅力的なメンバーとの集団生活が
現実の破壊的カルト集団の総本山での集団生活がそう見える様に,
一見楽しそうに感じられるのが怖いですね。
現実の破壊的カルト集団が世間から爪弾きにされ,何処にも行き場がない様に
「異形」に改造されホーリーネームを与えられた者達の取り返しの付かなさ,
「ショッカー」にしか居場所がない悲壮感も本作では描写されてます。

映画に名前だけ出てきた死神博士が
イワンと本名を名乗ってた頃の姿も登場し続きが楽しみですね。

イチローには「妹」がいる筈なのですが,本作では未だ登場しません。
「彼女」のカルト集団の中での歪な生活描写が期待されます。

映画の「シン・仮面ライダー」が賛否両論などと言われてますが
本書の飛ぶ様な勢いの売れ行きを見れば,
少なくとも多大な関心が払われている事は疑い様がありません。
「シン・エヴァンゲリオン」がNHKで2度も特集された様に,
「シン・仮面ライダー」もまたNHKで特集される事実が
世間の関心の高さを反映してます。


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