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TV番組「江戸川乱歩の美女シリーズ 天国と地獄の美女(原作・パノラマ島奇談)」レビュー

毎日放送(関東ではTBS)で,
1977年4月2日から10月1日迄(第1期),
1978年4月8日から10月28日迄(第2期),
の2期に渡って放送され好評を博した「横溝正史シリーズ」の成功を
テレビ朝日は黙って放っては置かず,
そっちが横溝正史なら,こっちは江戸川乱歩だと言わんばかりに,
同局の「非情のライセンス」で会田刑事役を演じる
天知茂に白羽の矢を立てた。
彼を明智小五郎役に据え,乱歩の猟奇とエロスで対抗したのだ。
放送は「土曜ワイド劇場」枠。

パノラマ島奇談(前後編)(1982年1月2日放送)
万里の長城や凱旋門に匹敵する歴史的建造物,
人間の果てぬ夢を叶える理想郷(ユートピア)「パノラマ島」創造に
憑りつかれた,うだつの上がらない中年男・人見広介(伊東四朗)は方々に
出資を依頼するものの,てんで相手にされない。
俺の夢は所詮夢のままで終わるのかなあ…トボトボ家路に就く彼に
一羽のカラスがまとわり付いて来た。
カラスは大富豪菰田源三郎(伊東四朗(一人二役))が飼っていたもので,
多額の謝礼と有り得ない偶然の一致に目が眩んだ人見の妻英子(宮下順子)は,
彼女が崇拝する怪しげな新興宗教の教祖大野雄三(小池朝雄)と共に謀り,
源三郎を殺して広介と入れ替え,巨万の富を掴もうとする。
広介は広介でパノラマ島実現の芽が急に出て来て,この謀に乗り気である。
だが3人は結託して源三郎を襲撃するも激しく抵抗され
大野は彼の眼をドライバーで抉ってしまう。
この計画遂行の為には源三郎と広介の
身体的特徴が一致している事が前提条件なのだ。
大野と英子は嫌がる広介の眼をドライバーで抉るのだった。
だが源三郎は急死し計画は頓挫したかに思えた。
大野は諦めない。
源三郎が土葬されたのをいい事に,広介と英子に協力させ,墓を暴き,
源三郎と広介を入れ替え,死者が蘇生した事にして広介には
一時的な記憶喪失を装せ,本当の源三郎の遺体は広介が出資者が
一向に集まらない,
この世を儚んで自殺した様に見せかけようと企むのであった。
仮に,この行き当たりばったりの計画が上手く行ったとして,
源三郎には妻千代子(叶和貴子)がいる。
何かの拍子にバレてしまうのではないか…。
ええいままよ。
斯くして,この3人組による
前代未聞の身柄入れ替え作戦が強行されようとしている…。

本作品は普段の美女シリーズの倍の尺を取って
前後編の2部構成で正月に放送された。
後半のパノラマ島での出来事より
前半の身柄入れ替え作戦の顛末の方が圧倒的に面白く心拍数が上がる。
明智(天知茂),伊東四朗,小池朝雄の演技力は折り紙付き。
例によって浴室で惨殺され美女担当は宮下順子。
叶和貴子が惜しげもなく裸身を披露し,
パノラマ島でも女の裸身のてんこ盛りである。
幾らお屠蘇気分のオッサンが観る作品とは言え,
女の裸身をドラマに出すと胸がモザイク処理される
今日では到底考えられぬ内容だ。
脚本担当は当代一の売れっ子脚本家ジェームズ三木。
原作にあった「人間花火」も見事に映像化され血の雨が降った。

特典映像は予告編とダイジェスト。
画質はまあまあ。

本商品の評価は僕的に猟奇度が足りんので星4つ評価とする。

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