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横山光輝先生の「マーズ」文庫版レビュー「横山光輝先生が本作品に込めた思いを踏みにじる秋田書店の所業を弾劾する。徹頭徹尾怒りしか湧いて来ない出来である。」

昭和60年(1985年)に購入した単行本が繰り返し読み過ぎて
ボロボロになってしまったので文庫版を購入しました。
これで単行本にはゆっくり休んで貰えると思ったのですが…。

単行本の誤字脱字を修正していただいた事は感謝します。
単行本より質の良い紙を使っていただいた事にも感謝します。
しかし台詞を改竄しやがった事には感謝しません。

単行本第1巻149頁から151頁
マーズとラーの監視者との会話
マーズ「あんたが恐れるほど地球人は残忍で好戦的とは思えないんだ」
監視者「マーズおまえは一体どこが狂っちまったんだ!!」
「地球人に対するそんな考え方は捨てろ」
「地球人は場所や環境によって悪鬼に早変わりするんだ」
「ドイツ軍のユダヤ人虐殺事件」
「日本人の中国人虐殺事件」
「ベトナム戦争のソンミ村虐殺事件」
「地球人の残忍行為は数えればきりがないほどあるんだ」
「それが一度国に帰ると良き市民となり良き父親早変わりしてしまうんだ」
「マーズしっかりしろ!!上辺だけでだまされるな!!」

文庫本第1巻147頁から149頁
マーズ「あんたが恐れるほど地球人は残忍で好戦的とは思えないんだ」
監視者「マーズおまえは一体なにを考えているんだ!!」
「地球人に対するそんな考え方は捨てろ」
「地球人は場所や環境によって悪鬼に早変わりするんだ」
「ある時は」
「またある時は」
「そしてまた…」
「地球人の残忍行為は数えればきりがないほどあるんだ」
「それが一度国に帰ると良き市民となり良き父親早変わりしてしまうんだ」
「マーズしっかりしろ!!上辺だけでだまされるな!!」

先ず文庫本を通して「狂う」という言葉が他の言葉に置き換えられてます。
但し例外があって「時計が狂う」だけはお咎めなし。
狂っていいのは時計だけ。
それより歴史を隠蔽する行為の方が罪は重く
ユダヤ人の虐殺も中国人の虐殺もベトナム人の虐殺も
「無かったこと」にしようとしてる。

単行本第1巻200頁
マーズと春美の会話
マーズ「しかし驚いたな」「よくこれだけ戦争をしてますね」
春美「そうね昔は戦争ばかりしてたようね」
「でもそれは昔の話」「今は違うわ」
「戦争というものがどれほどおろかな行為かみんな知ってるわ」
マーズ「それに残忍なことも平気でやってる」
春美「平気でやったのじゃなくその人たちが狂気じみてたのよ」
「だからそれが分かったときこうして非難をこめて書き記されているのよ」

文庫本第1巻198頁
マーズ「しかし驚いたな」「よくこれだけ戦争をしてますね」
春美「そうね昔は戦争ばかりしてたようね」
「でもそれは昔の話」「今は違うわ」
「戦争というものがどれほどおろかな行為かみんな知ってるわ」
マーズ「それに残忍なことも平気でやってる」
春美「平気でやったのじゃなくその人たちが考えちがいしてたのよ」
「だからそれが分かったときこうして非難をこめて書き記されているのよ」

横山光輝先生が人間の所業に
「非難を込めて書き記された内容」
を改竄すると言う事は
「戦争というものがどれほどおろかな行為か」
秋田書店は読者に忘れる様仕向けてると解釈します。
これは秋田書店が「考えちがい」してるのではなく
「狂気じみてる」からです。
決して見解の相違などではなく
意図的に歴史を誤った方向に導く人たちの手助けをしてるのです。

文庫本第1巻巻末には作家の藤川桂介氏の解説が付いている。
藤川氏は「マーズ」を原作とする
アニメ「六神合体ゴッドマーズ」のシリーズ構成を務められている。

「マーズ」にはガイアー,タイターン,シン,ウラヌス,スフィンクスという
個性溢れるロボットが世界各地に隠されていて,
いざという時にはスピーディーに駆けつけて合体する…(後略)

1.タイターンではなくタイタンである。
2.シンは第4神体の操縦者名の可能性がある。
3.ロボットではなく神体である。
4.いざという時に駆けつけるのはガイア―だけである。
5.神体は合体しない。

地球の制覇を企てる魔王によって爆死させれてしまうという
運命を背負って地球に辿り着き…(後略)

1.「地球の制覇を企てる魔王」なんて出て来ない。
2.従って魔王に爆死させれてしまう設定も無い。
3.マーズは最初から地球にセットされた無性生殖人間である。

何でこんなに嘘っぱちばかり並べられるのだ。
原作漫画を読んでない証拠である。
秋田書店!注釈ぐらい付けろ!

本編は横山先生の真意を無視して台詞を改竄し解説文は嘘八百。
読めば読む程,怒りがこみ上げて来る代物である。

単行本には休みを与えられんなあ。スマン。
僕は「漫画内容のレビュー」を書きたかったよ。


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