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「ジャングル黒べえDVD-BOX(限定予約版)」レビュー「50年前のアニメに「最高画質」とか「画面ブレの低減」とかセルアニメ彩色時の「本来の色調」とかを追究する事が本当に制作者の意図を汲んでいるのでしょうか?」

ジャングル黒べえDVD-BOX再発売告知から70日!
遂に2024年1月10日,東映ビデオオンラインショップより
限定予約版DVD-BOXが届き,
第1話,第2話及び最終話を視聴しましたのでレビューを書きたいと思います。
東映ビデオオンラインショップ専売の限定予約版と他ショップで販売される通常版の違いは
1.アウターケースが付属する。
2.ブックレットが付属する。
3.定価売り。
の3点。
アウターケースは紙製のペラペラしたもので
「まあこんなもんか」って感じ。
アウターケースには「90th」と印字されたり,
「藤子F不二雄先生生誕90周年記念!」「限定予約版」等の
謳い文句が印字された帯が付いたりしてます。

基本的な意匠は9年前(2015年)のDVD-BOXと変わってないんじゃないかな。
インナーケースの意匠は各ショップのイメージ画像通りで,
やはり「藤子F不二雄先生生誕90周年記念!」と印字。
各DISKには「90th」と追加印字されてます。
収録内容そのものには変化はないと思います。


スタンダードサイズで30分の放送時間に対して2話収録される形式で
漫画で言う所の「読み切り」で第1話と第2話で
黒べえの出自と佐良利(さらり)家に居候する経緯,
黒べえと彼を取り巻く人間達の性格設定の紹介,
黒べえが何時までいるのか等々の世界観の解説が行われ
第5話でのパオパオ(黒べえのペット)の参加,
第10話での赤べえ(黒べえの弟)の参加,
第49話でのガック(黒べえのライバル)の参加
を挟みつつ「終わりなき日常」が描写されて行きます。
最終話(第62話)でも黒べえがシシオとサヨナラする訳ではなく,
これからも「終わりなき日常」が続く事が示唆されて終わってます。
つまり「いつ第63話が始まってもおかしくない」のです。

画質はまあまあ発色もまあまあ
チリとかゴミとかの除去は行ってる様でまあまあ綺麗です。

僕は酷い酷い酷いオタクなので
アニメをコマ送りで観るのが習い性となってますが
「止め絵」で観ると画質はアレなのですがコレは50年前のアニメだよ?
50年前のアニメは「動いてナンボ」で設計されてますので
「アナログ放送の最高画質」を標榜するDVDで
童心に帰ってみる分には障りは無いと愚考します。
「ルパン三世」第一期のブルーレイのときに思いましたが
画面がブレが一切無くなって「止まって見える」のが
僕達が追求してきた事柄なのでしょうか。
「未来少年コナン」のブルーレイの様に,
セルアニメの彩色時の色調を忠実に再現して
「昔観たのと何か違う」って感想を持つ事が
僕達が追求してきた事柄なのでしょうか。

「大昔のアニメ」はアナログテレビで視聴した際に
一番映えるよう設計されてるのですから
余り「最高画質」とか「本来の色調」とか「ブレの低減」とかを追究すると
製作者の意図を無視する事になるんじゃないかと最近は思ってます。

なので「黒べえ」のアニメはDVDで観るのが「いい感じ」だと思います。

ブックレットは
1.岩佐陽一氏による作品解説
2.メインキャラクター設定画紹介
3.各話解説(演出・作画監督・美術監督が明記されてるのが嬉しいですね。)
4.ピリミーの珍獣大図鑑
5.美術設定画集
6.黒べえ役の肝付兼太さんとシシオ役の杉山佳寿子さんの対談(2015年9月10日収録)
7.作画監督の椛島義夫さんインタビュー
8.作画監督の杉野昭夫さんのアンケート・インタビュー(2015年10月17日,FAXにて御解答)
9.各話初回放送データ一覧

といった構成。

基本的な収録形態は
1.オープニング(スタッフ&キャストテロップ等は無しで歌詞テロップのみ)
2.前半の話
3.後半の話
4.次回予告
5.エンディング(スタッフ&キャストテロップあり,制作は毎日放送&東京ムービー名義)
6.ベッカンコの神像が逆さまになった一枚絵を背景に
「「ジャングル黒べえ」またみてね!」のテロップ表示。
という構成が最後まで続く。
80年代には日本テレビで再放送され
「毎日放送」名義が消え,尺が短くなる等の
「別エンディング」となるのだが本商品には収録されていない。

超久しぶりに「黒べえ」を観て思ったのは「罪のない内容」だってこと。
「ジャングルの常識」を現代日本で振り回し行動する
黒べえに堪りかねシシオの母親が黒べえを叱ろうとする場面。

「シシオはオレの家族」
「だからシシオの家族はオレの家族」
「オレ…家族のことが心配」

そうして滂沱の涙を流す黒べえの姿に母親は怒りを忘れるのです。
黒べえは「嘘が嫌い」とか「義理堅い」とかが
尤もらしく喧伝されるけど「違う」んだよ。
彼の行動の根底には「家族思い」…もっと広義に「人情」があるんだよ。
「家族は助け合って生きるもんだ」「人として当たり前のことをするんだ」
って黒べえの信念に僕は泣けるのです。
コレの…コレの一体何が「罪」で一体何が「問題」だってんだ!

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