「ジャングル黒べえ」DVD-BOXレビュー「8年前と同じ轍は絶対に踏むもんか。」

先ず最初に来年1月に出る予定のDVD-BOXのレビューを
「今」書く事をお許し願いたい。
このレビューは「今」書く絶対の必要があるのだ。

本作品はピリミー族の少年「黒べえ」が故あって
日本の家庭に居候して魔法や呪術で活躍する愉快な作品です。
彼は槍で武装して「009」のピュンマみたく
黒い肌・分厚い唇が特徴。
日本に於いても「ジャングルの常識」で生きようとする為,
齟齬が多いのですが,
齟齬が多い最大の理由は「噓が嫌い」をあくまでも通し
他者に対しても「嘘をつくな」と主張して譲らないから。
「エスパー魔美」の高畑と同じく「損な性分」なのです。
彼のもうひとつの性分「義理堅さ」と併せて
軽佻浮薄な「今の日本」では生き辛いのです。
これは恐らく侍が現代日本に転生しても同じ事で「黒べえ」が
「異物」なのは専ら「自分が正しいと信じた事をする」からです。
F先生は「異物」が同居したり隣居したりする話で
「異文化交流」をずっと描かれてるのだと思います。
異文化交流を描くに当たって重要なのは互いが「違う」事を理解する事。
そして相手の「違い」を受け入れる事だと思います。
「オバケのQ太郎」では人とオバケの違いを
「エスパー魔美」では男の子と女の子の違いを
「チンプイ」では人と星の王子の違いを
描いている様に「ジャングル黒べえ」でも
先ず「違い」を描写し「違う相手」と共に生きる様を描写してるのです。
「チンプイ」で僕が好きなのはこれまで翻弄されていたエリが
「私と結婚したいと言うのなら,
いちいち家臣を介さず,直接自分でそう言いに来いよルルロフ!」
と啖呵を切る場面。
「違う相手と共に生きる」ってのは
「オマエの話は聞くからワタシの話も聞け」って主張する事なんです。

確かに「日本の常識」に縛られて汲汲としてると
「他の世界の常識」が目新しく一瞬虚を突いて来る考えに思われますが
日本で居候の身でありながら「自分の世界の常識」を押し付けてくる
「黒べえ」はハッキリと迷惑で人騒がせな存在だと
シシオが都度抗議する場面が描かれているのです。

2015年に「ジャングル黒べえ」のDVD-BOXがリリースされた際,
当時の税込32.780円という定価に怖気付き,
「どうせならBD-BOXが欲しい」
と欲をかき,スルーしてしまったのですが
「(当時の)僕がッ泣くまでッ殴るのをッ止めないッ」
という心境になりました。
と言いますのも待てど暮らせどBD-BOXはリリースされず,
DVD-BOXは廃盤になって大変なプレミアが付き,
ネットオークションで購入することも到底不可能になっていたからです。

中古DVD-BOXに10万円も払えるか!

「映像ソフトは発見し次第買うべし」

との鉄則を頭に叩き込まれて8年の歳月が流れました。

8年後(2023年)に藤子・F・不二雄先生生誕90周年を記念して
「ジャングル黒べえ」と「ウメ星デンカ」のDVD-BOXが
お求めやすい価格で再発売されるとの一報を
聴くが早いか「ジャングル黒べえ」のDVD-BOXを
予約注文した事は言うまでもありません。
今回のDVD-BOXは定価が税込16,500円。
8年前のおよそ半額。
ディスク収録内容は2015年に出たDVD-BOXと同じとなります。

但し注意しなければならないのは「限定予約版」なる商品の存在です。
2015年に出たDVD-BOXには
アウターケースとブックレットが付属したのですが,
今回アウターケースとブックレット(2015年版と内容は同じ)が付属するのは東映ビデオオンラインショップ専売の
「限定予約版」
(限定生産品で無くなり次第「通常版]販売に切り替えるそうです。)
だけなのです。
他ショップで売ってるのは
「エピソードガイド」
(こちらも限定生産で無くなり次第「エピソードガイド」は付属しなくなるそうです。)
なる未知の冊子の付いた
アウターケースもブックレットも付属しない「通常版」扱いとなるのです。

東映ビデオオンラインショップで定価で「限定予約版」を買うか
他ショップで割引ありの「通常版」を買うか…。
…ここが思案のしどころですが僕は「限定予約版」を注文しました。
だってオタクの端くれとして
「通常版」なんぞ死んでも買う訳には行きませんし,
仮に「通常版」で妥協するとさあ折に触れて
「アウターケースが欲しかった」「ブックレットが欲しかった」
ってうなされるに決まってんだから。
僕は後悔するのは8年間で十分過ぎる程十分なんだッ!

まあ世の中広いですからアニメが全話見られればそれでいいって方は
「通常版」でも買ったらどうですか。(棒読み)
「通常版」は割引対象でお安く買えますしね。(棒読み)

僕はオタクで強欲の化身なので
絶対にブックレットとアウターケースが欲しいんです。
肝付兼太×杉山佳寿子両氏の対談と
椛島義夫(作画監督),杉野昭夫(作画監督)両氏の
インタビューが絶対絶対絶対読みたいんです。
幾許かの割引に目が眩んだせいで死ぬまで後悔したくないだけなんです。
8年前と同じ轍は絶対に踏むもんか。


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