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コラム「映画秘宝誌とDVD&でーた動画配信誌の共通点と相違点」。

昨日地元の書店で
月刊DVD&でーた動画配信誌2024年4月号を購入した動機は
Xに於けるニューライン社の告知で
本誌を購入してアンケートに回答すると
抽選で「食人族」の日本語吹替台本が当たるからで
先般リリースされた「食人族」4Kには日本語吹替が搭載され,
その台本が抽選で当たると言うのである。

要するに景品に釣られて購入した訳で
別に本誌が絶対に読みたい訳ではなかったのだ。

ところがアンケート回答と抽選への応募が終わり
ペラペラと本誌を捲っている内に
僕は次第に「複雑な表情」となっていった。
本誌は1か月分の配信開始と円盤リリース開始のスケジュールを教える
情報誌だとばかり思っていたのだが…どうも様子がヘンなのである。

そもそも映画情報誌に「食人族」の日本語吹替台本が
アンケートに回答した景品に付く時点で
「何かがおかしい」と気付くべきだったのだ…。

確かに動画配信開始&円盤リリース開始スケジュールの
一覧表は載っていた。
最近話題の映画として
「オッペンハイマー」「猿の惑星/キングダム」の特集が組まれている。
至って「普通」の映画情報誌の筈なのだが「何か」がおかしい…。

その「おかしさ」のひとつは特集を組まれる映画のチョイスにあった。
「オッペンハイマー」
「猿の惑星/キングダム」
「オーメン ザ・ファースト」
「インフィニティ・プール」
「アイアンクロー」…。

なんか…映画のチョイスが偏ってねえか…?
有体に言えば「僕の好きな映画」がズラッと並んでいるのだ。
僕はホラー映画を半世紀近く愛好している変態で,
その変態の僕が腑に落ちる映画ばかりが並んでいるのだ。

更に記事の執筆者を拝見して…ますます複雑な表情となって行った…。
てらさわホークさん,氏家譲寿(ナマニク)さん,渡辺麻紀さん,山崎圭司さん,
柳下毅一郎さん,高橋ヨシキさん,高橋ターヤンさん,ヴィヴィアン佐藤さん,
ヒロシニコフさん…。

あっるるるるぅぅぅぇぇぇ?????
黄前ちゃん!おかしいよ!この人選!!!

何で…映画秘宝誌やホラーマニアックスやVIDEO VIOLENCE RELEASING等々
でお見かけした人ばかりが記事書いてんの…?

僕は三千世界の果て迄来た心算だったのに…。
実は釈迦の掌の上をグルグル回ってるだけの孫悟空なの?

だからさあ…新規開拓の心算で読み始めた本書が…。
まるで映画秘宝誌の様な読み味で…。
「オ…オレはッ!初めから全く動いていないッ!」
とディアボロの如く絶叫した訳ですよ。

取り上げる映画のチョイス,記事を書く人間が「同じ」なのですから
本誌と映画秘宝誌が「似ている」のは当然なのです。

しかしながら明確に「違う」のが記事の濃さ。
本誌はライトな書き味に徹して決してマニアックになってない。

また本誌では二宮和也主演の「アナログ」の広告が掲載され,
山田太一原作の「異人たち」が英国で映画化された記事が書かれている。
こんな文化的な記事…映画秘宝誌では絶対に有り得ない…。

映画秘宝誌は「童貞の男子中学生が書いたかの様な記事」を特徴とし
「女に俺達ボンクラの気持ちは分からない」って姿勢が徹底してて
「男子校みたいにボンクラ男には居心地が良いが女性には居心地が悪い」
って欠点があったのですが,本書では,その欠点を矯正し,
マニアック度をグッと抑えてライトな記事に徹し
女性でも不快感を覚えずに読めるって一大特徴があるんです。

具体例を挙げるとお~

本誌には映画秘宝誌の様な「食人映画史」の如き
天地開闢以来誰も聞いた事の無い様な「歴史」で女性がドン引きする
ウルトラ悪趣味マニアックな記事が掲載されてないってコトですよ!

僕の居住地域は房総半島の南端で本屋が2店しかなく
マニアックな本を置く余裕はありません。
従ってマニアックでも何でもない映画情報誌の本誌は普通に購入出来ますが
ウルトラ悪趣味マニアックな映画秘宝誌は絶対に購入出来ません。
これはもう…一般大衆向けに徹した
本誌のマーケティングの勝利なのですよ…。

映画秘宝誌が3か月前から復刊しておりますが
文字を大きくして今やジジイとなった
かつての童貞男子中学生の為の紙面づくりに徹していて
それはそれで一貫した素晴らしい姿勢なのですが
読者も編集者もいなくなったら一体映画秘宝誌はどうなるんだろう…?

他方本誌に関しては潰れる心配を感じません。
映画ファンの大半がライトなファンであり
人類の半分が女性であり女性に背を向けた雑誌作りをしなかった本誌は
「普通」になったが故に僕の居住地域の様な辺境の書店でも
常時置かれる様になった。

本誌はね…。
「本来こうあるべきだった新生・映画秘宝誌の姿」
だと僕は思ってます。
とは言えライターの皆さんがウルトラマニア揃いなので
ライトな映画ファンにニコニコしながら危険球を投げて来るやも知れぬ
「危うさ」が本誌の魅力となっているのです。

昔散々ヤンチャをやった男が堅気になって生きていても…。
どうしょうもなく漂って来る「ヤバイ感じ」に読者は…。
女性は壁ドンされたかの如くドキドキして惹かれるのではないでしょうか。
映画秘宝誌を作ってた童貞の男子中学生が
「成長」して「卒業」して「大人」になって
「オレも昔は散々バカやってな…」
と常連客に述懐する喫茶店のマスターやってんのが
本書なのではないでしょうか。

しかし…
(左)映画秘宝誌に9年前に掲載された「食人族」ブルーレイの広告
(右)本誌に今月掲載された「食人族」4Kの広告
を並べてつらつら考えるに
僕は9年間1ミリも成長してないって事を突き付けられているのですよ…。
「オ…オレはッ!初めから全く動いてないッ!」
やっぱり僕はディアボロかよ…。

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