ドラマチックな人形劇 ~Thunderbolt Fantasy 東離剣遊紀~

【有ネタバレ】
台湾の人形劇でありニトロプラスとのコラボ作品であり製作は霹靂布袋戲(ぴりぷーたいしー)
Thunderbolt Fantasy 東離剣遊紀(サンダーボルトファンタジー・とうりけんゆうき)と言う


  🔶物語🔶

 主人公は凛雪鴉(リンセツア)殤不患(ショウフカン)の二人

 とある雨天の日、よその地から来た旅人である殤不患が地蔵から傘1本を手に取るところから始まる。
護印師(ごいんし)と呼ばれる身分の末裔である丹衡(タンコウ)と丹翡(タンヒ)の兄妹は、ひときわ危険な力を有する
「天刑劍(てんぎょうけん)」という特別な剣をを守っていたのだが
蔑天骸(ベツテンガイ)が率いる玄鬼宗(げんきしゅう)と呼ばれる巷で有名な山賊の襲撃に遭い
 兄の丹衡は死に天刑劍の柄を奪われてしまう。天刑劍の鍔を持つ妹の丹翡は敵討ちに蔑天骸を倒しに行くところを
鬼鳥【キチョウ 本名は凛雪鴉】がその協力を申し出て、言葉巧みに唆し殤不患にも協力をさせることになった。

 玄鬼宗の本拠地は魔脊山(ませきざん)の頂上にある七罪塔(しちざいとう)という場所に位置しており簡単には行けないため
刑亥(ケイガイ)と狩雲霄(シュウンショウ)、殺無生(セツムショウ)にも協力を要請する。


 🔶一筋縄ではいかないメンバー🔶

不患は基本的に正義感で動くことはなく他者とあまり関わらずどこか厭世的だが根は優しく、雪鴉に言葉巧みに振り回され
玄鬼宗を対峙する羽目になる一方、雪鴉は飄々とした性格をしており何を考えているのか本当に謎な性格である。

鬼鳥(凛雪鴉)、殤不患、丹翡、刑亥、狩雲霄、捲殘雲(ケンサンウン)、殺無生
表向きはこの7人のメンバーで魔脊山を攻略し蔑天骸に挑むといったものだが
それぞれが一体に何を考えているのかが分からない…

今作のヒロインの丹翡と捲殘雲(ケンサンウン)は人柄が手に取って分かりやすいものの
生い立ち不明の殤不患
飄々とした性格をしており何を考えているのか不明な雪鴉
雪鴉に対し良く思っていない狩雲霄、殺無生、刑亥…といった具合である。

 物語上、仲間が裏切ったり敵になる様な展開はクソダルいと思うのが普通だと思うかもしれないが
この作品においてはそれぞれの人物が腹に一物抱えているように最初から描かれており
仲の良い関係性では間違いなく無いことはどんな視聴者にも受けて取れ
利害の一致で手を組んでいることは明らかである。

 しかしそれが面白おかしくエンターテイメントとして見事に昇華され
それぞれの人物にあくどい企み事がある程に話の状況が二転三転とコロコロと変わっていき
何とも予想のつかない面白さに繋がり視聴者をワクワクされるものとなっている。
 特に雪鴉がどんな意図を持ってしてここまで物語に関わってきたのか?
その真実を風情溢れる言葉選びを持ってして答えた時は、最高に清々しいクズであり笑わずにはいられない。


 🔶総評🔶
派手派手しい爆発も踏まえた、豪快な剣劇に
人物から衣装舞台背景等綺麗に整っているだけでなく人形の動きも非常に生き生きとしている。
ストーリーに纏わる設定に、何かと用語が多いもののそれらの意味するものが頭に入りやすくなっている。
話の本筋も分かりやすいものの、それぞれの人物に野心や思惑があり何かと状況が二転三転するのも面白い。
 味方にせよ戦う敵にせよ会話が多く台湾の作品ならではなのか、セリフの言い回しが特徴的であり
何なら、剣劇よりも会話で戦っているかのようでもあるだろう。