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月経カップmurmo(マーモ)がデビューするまで

このnoteを開いてくださり、どうもありがとうございます。
はじめまして、murmo(マーモ)の高島華子と申します。

murmoは「アンウェルカムな生理をウェルカムに」をスローガンに、生理の不快や我慢を“心地よい”に変えていく、月経カップから始まる新しい生理用品ブランドです。

これまで3年かけて準備をし、ようやくオリジナル月経カップをお披露目できるところまでたどり着きました。murmoは大きな企業の製品ではありません。月経カップをつくりたいという自身の決意の下、私という個人とそこから繋がる仲間たちの力が集まって開発が実現し、この度のお披露目に至りました。

今回は、始まったばかりのmurmoのことはもちろん、月経カップをつくろうと思ったきっかけや一筋縄ではいかなかった発売までの道のりを伝えたいと思い、このたびnoteをはじめました。

ぜひお読みいただけたら嬉しいです。

きっかけは緊急事態宣言


私が初めて月経カップを使ったのは、新型コロナウイルスが流行しはじめ、緊急事態宣言が発令されて自宅に篭らざるを得なくなった時。
月経カップ自体はそれ以前から知っていたし興味はあったけれど、自分で腟に挿入することへの恐怖や、外出先での月経カップの交換の難しさ、そもそもほぼ外出している生活の私には無縁のものと思っていました。

当時私はエンタメ業界の映像プロデューサーで、楽しく充実していた毎日ではあったものの、家には寝に帰るような生活。文字通り不規則で多忙な生活を送っていました。
ところが、2020年4月に緊急事態宣言がはじめて発令され、外出できない状況になり、生活が一変しました。

あ、今なら試せるかも。
それが私の初めての月経カップ体験です。

初めての時は大変でした。
取扱説明書を読んだものの入れる方向を間違えて、浴室で仁王立ちになりながら格闘。やっとの思いで入れることができた!と思ったら上手く入っていなかったのか出てきたり。
私の月経カップデビューは30分かかりました。
が、入れるのには苦労したものの、そのまま自宅で生活してみたら、いままで仕方ないと我慢していた生理期間のムレやニオイがなくなって、とにかく驚くほど快適でした。

中でも一番衝撃的だったのは、私自身が生理の不快さを12歳の初潮から20年以上も我慢していたこと、そしてその我慢を仕方ないと受け入れ、もはや我慢していることすら忘れていたことでした。私のこれまでの人生における常識が月経カップで覆され「これはエポックメイキングだ!」と思っていました。

こうなると、この体験を誰かに話したくなる。すぐさま、女性の友人たちに話すと、何人かが「使ってみようかな」とトライしその結果や感想をくれました。「量が多いから小さいサイズだとすぐいっぱいになっちゃう」「生理が3日しかなくて量も少ないから、わざわざこんなことしなくても平気」など、月経カップをきっかけに自分以外の生理のことを知りました。
いままでそこまで掘り下げて話すものでもないと思っていた、生理や身体の話を、月経カップの体験を通して以前より気軽に話せるようになり、いままで自分の中に抱えるだけだった気持ちや体験を友人と共有し共感し合えるようになったことも驚きでした。

これをきっかけに生理の"普通"に疑問を感じ、初めて生理に関心が湧いて、生理のことを調べました。正常な生理期間は3〜7日、正常な経血量は20〜140ml(参照:日本産婦人科医会)などの知識を得て、改めて私は自分の身体のことも全然知らなかったのだと思い知らされました。

月経カップの使用で驚くほど快適になったことをきっかけに、「もっと楽に生きる」のヒントが、実はこういった商品や情報を取り入れていく中にあるのではないか、自分にもできることがあるのではないか。そう考えていたところに、月経カップをいち早く試した親友が一緒にやりたいと手を挙げてくれ、ふたりで仕事の合間にリサーチをしたり、アイデアを膨らませたりと、いまに繋がる活動がスタートしました。

オリジナル月経カップ開発を決意、独立へ


まずはリサーチの一環で、いろんな月経カップや月経ディスクを使ってみようと思い、国内外のメーカーのものを手当たり次第に集め、とにかく試しました。(50種類以上!)
サイズや形状もメーカーによって様々で、自分はどういうものが好きか、合うか、と掘り下げていくと同時に、周りの人にその人の生理の話を聞く活動も始めました。

最初は多様な職業や環境の人約50人にインタビューをしたり、生理や月経カップのことを話すクローズドの座談会を開催するなどして、知見と仲間を集めていきました。

フェンシング、陸上、シンクロナイズドスイミングなどのスポーツ選手や、記者、青年海外協力隊、販売員、子育て中の母、大学生など、職業や環境によって生理の大変さが違うことを知りました。
その中で、(月経カップだったらこの部分は解決するのにな)と思うことも多く、月経カップが使われていないことへのもったいなさを感じると同時に、聞けば聞くほど、月経カップを知ってはいても、実際に使っている人は圧倒的に少ないことに気づきました。

確かに私も月経カップを知ってから使うまでにしばらくの期間がありました。
私が使わなかった理由は「自分で入れたり出したりできる気がしない」「手を汚したくない」というもの。実はそれまでタンポンすら使ったこともなく、セックスの経験はあっても、自分で月経カップを腟に入れることへの抵抗と恐怖がありました。
月経カップへのハードルはとても高いけれど、私は心から月経カップを使ってよかったと思ったし、同じタイミングで試してから月経カップに魅了され、使い続けている友人たちもいたので、ポテンシャルがありそうだと強く思いました。
最初のハードルを越えられれば、その人にとって良いものになる可能性がある。ならばハードルを越えやすいカップはどうやったら作れるんだろう、と調べ出したのは、初めて月経カップを使ってから一年後でした。

これまでとまったく違う業種なので、月経カップを作るには何が必要なのか?どうやったら作れるのか?文字通り0からのスタート。仕事の空いた時間をつかっては準備を進める日々でした。そんなことをしばらくしているうちに「自分はこの道をいこう」と不思議と決意が固まり、37歳で退社。月経カップを使い始めてから2年と少し、経ってのことでした。人間関係も良好で、裁量もある居心地のいい職場環境でしたが、それ以上に、はじめて自分が誰からも頼まれずに続けられることが見つかったからだと思います。

一歩ずつ前進を続けた3年間


月経カップは医療機器に分類されます。
最初のハードルを越えるためにはどんな構造が良いのか、どんな工夫が必要なのか、とアイデアを練る傍ら、関わる法律の知識を得たり、医療機器の製造や販売に必要な要件を調べました。
そして、医療グレードのシリコーンで月経カップを製造してもらえる工場探しがスタート。日本中の工場をリストアップしながら、一箇所ずつ電話をかける。電話に出てくださる方はほとんどが男性で、月経カップの説明はもちろん、そもそも生理や生理用品について一から説明する日々で、心が砕けかけることもありました。(何度か砕けたかも)
でも「これを身体に入れるの?」と驚かれながらも「よし、やってみよう!」と一緒に挑戦してくださるところが見つかった時は、本当に嬉しかったことを覚えています。

他にも、医師や大学教授に話を聞いて開発のアドバイスをもらったり、さらには、医療機器の品質管理業務ができる人、ブランド構築を一緒に考えてくれる友人であり仕事仲間、構造設計を担当してくれる人、3Dプリンタで試作品を作ってくれる人、財務をサポートしてくれる人など、性別問わず、足りないところを助けてくれる人たちが徐々に見つかっていきました。

資金面など乗り越える壁はたくさんありましたが、その壁をともに乗り越えてくれる仲間たちとともに、一歩ずつ時間をかけて開発が進んでいきました。

最初の試作品は3Dプリンタでプリントしたゴムライクの樹脂素材(あーだこーだと触りまくって今ではボロボロ)、形状と質感確認のために自宅でシリコーンで自作してみたり、そこからいくつかの種類の試作を経て、実際の製品に使われている医療用シリコーンでの試作。いよいよ実際に使って試せる段階です。

3Dプリンタで形状検討で試作したカップたち(ごく一部)
シリコーンでの最初の試作は自宅だった
ステム(底部の棒)の強度試験なども行った
色を決めるのも一苦労


このときは、友人や座談会に参加してくれた人たち、珈琲店で隣りの席に座って仲良くなった人まで、私の月経カップ開発に興味を持ってくれる女性たち30人が試作品を試してくれました。ひとりひとりにアンケートとインタビューを行い、使い心地や意見を聞き、0.1ミリ単位で改良に改良を重ね、最終的に約50人のモニターを経て、はじめてトライする人のためのファースト月経カップとして「これだ!」と思えるものが完成しました。

一時期は試作品のモニターをしてくれた人々にオンラインインタビューする日々だった

murmoに込めた想い

月経カップを使い始めて4年、開発期間3年を経て、2024年1月「murmo/マーモ」を発表するに至りました。

着脱しやすくするため、本体に「イージーライン」と名付けた溝を作りました。
使用の不安を少しでもなくすため使い方をわかりやすく掲載したり、もしもの時にもチャットでご連絡いただけるような仕組みを取り入れました。
憂鬱になりがちな生理の日を少しでも明るく過ごしていただけるよう、本体の色調やパッケージのデザインにもこだわりを詰めました。

まだ始まったばかりですが、たくさんの人の力と声が集まったからこそここまで来ることができました。
「murmo」の月経カップは、今を生きる女性たちと一緒につくった、私たちのためのもの。

生理は、一般的に毎月訪れては約1週間で終わる。だからその期間さえ凌げればと、不快や不便を受け入れてしまいがちです。しかし、初潮を迎えてから閉経するまで約40年、単純計算で累積すると2300日にも渡る生理の期間。
どうか私たちが心地よく過ごせるように、そう願ってこれからも全力で走っていきます。

すこしでもmurmoに興味を持ってくださった方は、ぜひmurmoのティザーサイトから詳細をご覧ください。

また、
2/7から3月下旬 Makuakeでの先行予約販売
2/9〜11 Femtech Fes!(六本木ヒルズ)
2/15〜18 NEW ENERGY(新宿)
3/8〜10 WEHealth (原宿)
*すべて無料 事前登録あり
に出展いたします。
実物をご覧いただける機会となっておりますので、ぜひお近くの方、ご興味のある方は足をお運びください。
私も期間中ずっと会場におりますので、もしお越しの方がいらっしゃいましたら、お声がけいただけるとうれしいです。

これから、murmoをどうぞよろしくお願いいたします。

murmo 高島華子

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