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オタクが数年ぶりに宝塚歌劇を観に行くまでの話

はじめて宝塚歌劇を観劇したのは今からちょうど8年前のことだった。

同人活動をするほどに人生最推しのゲーム「逆転裁判」シリーズのスピンオフ作品「逆転検事」が、宝塚歌劇団宙組に当時在団中の悠未ひろさん主演で公演されることになったのである。
そう、「逆転裁判3」だ。

宙組といえば、かつては花組トップスターであった蘭寿とむさんが「逆転裁判」「逆転裁判2」と公演していた。当時義務教育中の自分は観劇することはなかったが、「逆転裁判3」の公演が決まったころはもう既に大学生。最推し御剣怜侍が主役なのだからと、チケットを入手して講義終わりに一人でいそいそと観に行った。

当時の自分というと(めっちゃマダムとジェントルマンだらけ!)(オタクの場違い感が半端ねえ!)と若干アウェイを感じながら観劇したが、めちゃめちゃ面白かった。悠未さんの御剣はホンモノのエッジワースだったし、舞台の随所に原作へのリスペクトが感じられた。
ストーリーが終わった後のショータイムは(突然スーパータカラヅカタイムが始まった!!??)と驚いたが、男役の人たちのカッコよさ、セクシーさ、そして足の長さをそれはそれは堪能したのであった。

やあ、いいものを観た。満足して帰路に着いたが、まさかこの8年後に宝塚という沼に足を踏み入れるとは思ってもいなかった。

そう、2021年に入ってまだまだ間もない1月中旬。8年の時を経て再び宝塚歌劇を観に行った自分はまんまと沼にハマり、人生で初めて生身の人間のポストカードやら写真集やらBlu-rayを買い漁っている。観劇してからまだ二週間しか経過していない。恐ろしい。ちなみに先日2回目の観劇を果たしたし、またしばらくしたら3回目の観劇。千秋楽はLIVE配信で観劇予定だ。我ながら行動力が恐ろしい。

そんな自分を沼に突き落としたのは他でもない、宙組トップスタースズホマカゼこと真風涼帆さん。彼女にどう沼に突き落とされたのかはまた後日改めて書くが、自分は今とても充実している。クレジットカードの番号とセキュリティコードを完全に記憶しているから手元にカードがなくてもすぐにグッズが買える。宝塚友の会にも入会した。安定した稼ぎと貯金があって本当に良かった。

彼女との出会いへの感謝で天を仰ぐ自分だが、今考えると観劇しようと思うキッカケが無ければ、きっと出会わないままに彼女は退団を迎えていたのだろう。いや、本当に在団中に出会えてよかった。おかげで貢げます。お布施ができます。オタクとは推しに貢ぐことに幸せを感じる生き物なのです。

さて、前置きが長くなりましたね。ここから本題です。なぜ8年ぶりに宝塚歌劇を観に行くことになったのか。時は今から4か月ほど前に遡ります。

■2020年9月某日

2020年に入ってすぐにこのコロナ騒動。オリンピックは延期、祭はねえ、花火もねえ、旅行には行けねえ。オラこんな夏イヤだ~と一人でジタバタして騒いでいたら、夏を通り越してすっかり秋を迎えてしまったそんなころ。あるニュースが目に飛び込んだ。

第81回企画展「CAPCOM VS. 手塚治虫 CHARACTERS」

今回の企画展では、カプコンの歴史を紐解く展示、さらに数々のカプコン作品を生み出したクリエイターと、「鉄腕アトム」「リボンの騎士」「ブラック・ジャック」などの作品を生み出した手塚治虫の作品のコラボレーション展示を行います。一見共通点の無さそうな二組ですが、新たなモノを創造していくというフロンティア精神は、ゲーム・マンガというジャンルの垣根は違っても共通しているのではないでしょうか。

メインのコラボレーション展示はカプコンのクリエイターによる手塚治虫キャラクター、手塚プロダクションのクリエイターによるカプコンキャラクターを互いにイラストで描きおろしました。正に夢の競演ともいえる展示を是非お楽しみください。

久しぶりに目に飛び込んできた推しゲーム「逆転裁判」のニュース。なんせ公演予定だった舞台は春の緊急事態宣言により延期、最新作の情報もなく飢えて干からびていたオタクは当然飛びついた。あの神絵師の塗和也さんがあの神マンガのブラックジャックとコラボ……だと?
なんなら逆転裁判の初期案「サバイバン」の企画書も展示されるだと?

なお神絵師こと塗和也さんがキャラクターデザインを務めた「大逆転裁判」シリーズは本当に歴史に残る神ゲームとなっているのでみんな遊んでほしい。一部のキャラのモーションキャプチャを、真風さんの古巣である星組ご出身の汐月しゅうさんが担当されている。なんなら宝塚歌劇を彷彿とさせるキャラクターまでいる。ちなみに自分の最推しです。よろしくお願いします。

脱線しました。話を戻します。
イベントも何もなく過ごしていたので企画展示にはとても惹かれた。しかし、この時に初めて知ったが手塚治虫記念館は兵庫県宝塚市にあるという。自分は関東民なので、新幹線か飛行機を使わなければ行けない場所だ。

仕事もあるし、旅行もちょっと……。いつもであれば遠方だからと見送っていた。しかし、2020年、本当に何もなかったのである。そう、祭はねえ、花火もねえ、旅行にも行けねえ、新作発表もねえ。本当に何もなかった。
コロナで旅行は難しいけど、日帰りなら行けるのでは……?

調べてみた。普通に行けそうだった。
というわけで、企画展示が行われるという10月中旬、友人Aを誘って日帰り弾丸旅行に行くことになったのである。

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それにしても宝塚にあるのか。宝塚といえば、やっぱ宝塚歌劇だよなあ。
OGの天海祐希さん、小学生のころからめちゃめちゃ大好きな女優さんだ。男役というか、男装の麗人ってめちゃめちゃ大好きなんだよな。そんなことを考えた。時間があるかは分からないけど、どうせなら何か観たいなと思って初めて宝塚歌劇のサイトを覗きに行った。

いや、結局当日は時間がなくて宝塚の殿堂とかも何も観れなかったが、この時に宙組で公演するというアナスタシアの紹介ページを見付けた。

ポスタービジュアルが完璧だった。まるで絵画のような一枚。

おお、ビジュアルめっちゃいいな。しかも題材がアナスタシアとかめっちゃ面白そうじゃん。
かつて読んだサクラ大戦のノベライズでロシア革命を通ったこともあったので、この時は純粋に興味を持った。

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■2020年10月某日

朝早くに東京駅から新幹線に乗り込んで数時間後、人生で初めて宝塚の地に降り立った。

関西に住んでいるTwitterのフォロワーさんと合流。当日まで調べて知った噂の「花のみち」を歩き、宝塚大劇場の目の前を通る。ここがあの宝塚……とても華やかで町全体が上品だった。改装されたばかりだという宝塚ホテルもとても綺麗でまるで夢の国のようだった。

到着したのはお昼だったので、ジェンヌさんも訪れることがあると噂のお店でパンケーキを食してから手塚治虫記念館に向かった。
パンケーキはもちろん美味しかった。今思えばお茶会とかでも使われる場所なのかもしれない。

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そして手塚治虫記念館。塗神様直筆の成歩堂龍一(ブラックジャックver)を写真に収め、展示を見学。限定のグッズも買えてホクホクで記念館を後にして、再び宝塚大劇場の目の前を通ったとき、あのアナスタシアのでかでかとしたポスターが目に留まった。

一緒にいた友人Aに「これめっちゃ面白そうじゃない?」と話しかける。
やっぱりポスタービジュアルにとても惹かれた。
トップの人すごいイケメンだな。東京でもやるみたいだし、せっかくだし観に行ってみようかな。そんなことを漠然と考えていた。
一応記念にと撮影した一枚がこの写真だ。今思えばどうしてもっと花のみちとか公演ポスターとか撮らなかったんだとか後悔している。

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手塚治虫記念館で思ったより時間を使ってしまったので、神戸を少し観光する予定だったが、30分くらい歩くことしかできずに新神戸から帰路に着いた。

■2020年12月

宝塚を訪れて約2か月。この間宝塚版「逆転裁判」をオンデマンドで視聴して宝塚観に行きたい熱が上がったので、某刀剣舞台をきっかけに宝塚に興味を持っていた友人たち(AとB)を誘ってアナスタシアを観に行くことに決めた。
席種どうするー?せっかくだからいい席にしようよ!よし、Sにしよう!とか呑気にLINEしていた。呑気にLINEしている場合じゃない。

ところでどっこい。ここで問題が発生。チケットの一般発売前日、最大購入数が2枚だと知ったのである。このコロナ渦で枚数制限が掛かっていたのだ。おのれコロナ……。

3人で観に行くにはそれぞれでチケットを入手するしかないのでは?できるのか?そういえばヅカオタの方たちはどのような熱量なのだろう。Twitterを眺めてみた。もしかしてもしかしなくても、宝塚のチケットを入手するのは実はめちゃめちゃ難しいのでは?そんなことを今更ながらに気付いたのである。

「逆転裁判3」の時はチケット入手に苦労した記憶がなかったので、正直なめていた。そしてこの時思い出したが、たしか「逆転通信」というファンクラブ経由で入手したんだった。とりあえず友人たちと相談して、自分と友人BでLINE通話をしながらチケット戦争に臨むことにした。
一応スムーズに買えるようにとTAKARAZUKA IDも取得した。せめて準備万端にチケット戦争に臨もうとした。

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そしてチケット一般発売当日。販売開始の10時前にPC前にスタンバイ。へへっ、我が家は下り最大2GbpsのNUROを引いているんだ。
そんなことを思いながら友人Bとも通話をつなげて、いざ販売開始の時間。F5キーを叩く。当然ながら混み合っていたが何度目かで購入画面に移った。目当てのS席をクリックする。

順調に進むものだからいけると思っていたが、友人と席を合わせようということになり、購入画面から席選択の画面に移動した。思えばこれが失敗だった。
これを機にずっとSorryページが表示され、まったく席選択の画面に移動できなくなってしまった。

何度もログインを試みてようやく席選択の画面が表示されたかと思うと、S席は当然完売。残りの席もほぼほぼ完売という由々しき事態。。。

宝塚完全になめてた!!!!

脳裏に浮かんだ。ヅカオタってすげえ……。慄く自分。でもこんなところで引き下がるわけにはいかない。

もうA席でもB席でもどんな席でもいい。ここまで来て観れないとか考えられない。

とにかくチケットを入手するんだ。そんな思いで諦めずにF5を連打。結果、友人Bともなんとか連携して、どうにかこうにかチケットを入手することができた。

入手できたのはB席16列。購入時になんでここだけ枠がB席と分かれているんだろうと不思議に思ったが、なんてこたあない。2F席の一番後方の席だ。
念願のクレジット決済の画面に表示されていた金額が、想定の半分以下でつい笑ってしまった。いくらなんでも安すぎるだろうB席16列目。2,500円とか正気なのかと思ってしまった。

その後も暫く友人Bと通話。友人Aにも買えたよと報告。
めちゃめちゃ後ろだからオペラグラスあった方がいいかもという話になり、この翌日にすでに仕事納めをしていた自分はオペラグラスを買いに行った。ネットで色々調べた結果、8倍を購入。

後から調べたら、全景が観たかったら5倍とかで充分とか書かれた記事を読んで8倍グラスの購入を若干後悔しかけたが、ご贔屓が出来た今では当時の自分に全力でGJを送りたい。なんなら10倍でも良かったかもしれない。

そんなわけで、年が明けたら美人が拝めるぞ~めっちゃ楽しみ~!とテンションを上げて、ちょっと何かあった2020年を終えた。

当日の感想や、真風沼にハマるまでの過程はまた後日……。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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