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アバウトケニア

そもそもそも。

ケニアへ通うきっかけになったのは、2年前の2016年の事。

イラストレーターのビエラが、サイの絵を描く為にググってると、目に飛び込んで来たのはキタシロサイ、スーダンの記事。

地球上にたった3頭しかいない種類のサイがケニアで暮らしている。

と書かれてあった記事が頭から離れない!と、記事を読んだ3ヶ月後、僕らはケニアの空港へ立っていた。


当初日本に帰っていた僕は、ビエラ一人でケニアへ行くことを羨ましく思ってたのだけど、予定の1週間くらい前の真夜中、突然彼女から電話がかかってきて、

「車と運転手がいないとサイに会いに行けないから、一緒に来て運転して!チケット今すぐ取るから!」

との夢のような強引な誘いにのっかり、僕は運転手になった。


キタシロサイという種類のサイはとても温厚で人懐っこい為、ツノを獲る為、密猟者にいとも簡単に殺されてしまうのだと、行きの車でビエラに教えてもらった。
3頭のサイの名前は、男のスーダン、女のナジンと、その娘のファトゥ
今は動物保護区内で、密猟から守る為にレンジャー達と24時間体制で一緒に暮らしてるという。

24時間銃を持った人間とサイが一緒に暮らしてるってどんなだ?

なんだかマッチョでごついレンジャーとでっかいサイが一緒にいる、なんだか怖いイメージを思い浮かべながら、「Ol Pejeta Conservancy」へやって来た。

入場の受付を済ませ、スーダン達と会う為の手続きをする。(通常予約が必要)
そして二日後、スーダン、ナジン、ファトゥに会える日の朝。

担当のレンジャー代表の、ザカリアが説明をしてくれながら、スーダンのところへ案内してもらう。
3頭のサイは、他の動物とは区切った中で、本当にレンジャー達くらすすぐ側で暮らしていた。

ビエラと二人で浮かれ上がって、寝ているスーダンの近くに寄って話しかけてみる。
彼は片方の目がほぼ見えなくなっていて、片足も長いコンクリート生活で大分弱ってるんだと、
丁度スーダンから死角になる位置に僕らを誘導しながら、彼の生い立ちを教えて貰った。

スーダンがいびきをかいて寝てる間、その側でレンジャーのザカリアと話してると、今日は多分このまま寝てるだろうからまた逢わせてあげるよ。と、翌日予約なしで再会の約束をしてくれた。

翌日はスーダンの散歩に一緒に同行して、彼が草を食べ歩いたり、木にツノをこすりつけたり、孤児サイのリンゴと一緒に遊ぶ姿を近くから見ていた。

レンジャーのザカリアともすっかり打ち解け、年も一つ違いというのもあってかすっかり意気投合して、
彼の時間がある時には訪ねて行って、時々スーダン達に会わせてもらう事が出来た。

人生で初めて触ったサイの背中はとてもガリガリして硬く、脇の下やお腹はぽよぽよと柔らかくて暖かい。
撫でてやると喜ぶよと言われ、脇の下を摩ってるとブフーッとため息をつくスーダン。
顔をよく見るとまつ毛が長くて愛らしく、まっくろで分厚い唇が艶々で可愛い。

10日間の滞在で、僕らはすっかりサイの虜になった。


ケニアから帰った数ヶ月後にリンゴが、そして今年2018年の春、スーダンが亡くなった事をドイツで知った。
とても残念だったけど、密猟者に殺されることなくよく43年間も生きたと労いたい。

好きだった命が先に絶たれると、残った方は精一杯生きて向こうで会う他ない。
生きるぞ。
笑って笑って笑い転げて、それに飽きた頃また再開しようと心に決めたのだった。










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