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FF16ロアの日本語版・英語版の比較②(世界と事象)

限界トルガルです。引き続き、FF16のハルポクラテスのロアに関して、ハルポクラテスのロアの大項目である「登場人物」「地理と情勢」「世界と事象」「召喚獣と魔物」にそれぞれ分けて、英語版のロアを翻訳することで自分なりに気付いたことなんかを書いていきます。

今回は「世界と事象」について。

この記事は英語版と日本語版が違いに文句を言おうとかそういう意図ではないので、読んでいく中で「これは日本語版でも知りたかった!」みたいなことがあれば、知らなかった情報を知っていくことの楽しさや面白さを感じて貰えたら嬉しいです。

そしてこれは英語出来ない人間が、複数の翻訳サイトを駆使してある程度意味が通るように翻訳しているものなので、もしかしたら全然違うとか、そもそも書き起こした文章がちょっと間違ってるとか、そういうのもあるかもしれません。大目に見ていただけるとありがたいです。

まずとりあえず表題のFF16のロア「世界と事象」についてまとめたPDFを貼るので各自見たい方は見て下さい。文字だらけなので暇で読みたい方だけオススメします(見にくい部分はごめんなさい)


開くとこんな感じで見れると思います。

一応書面の上部にも書いてありますが、ロアの左側が日本語、右側が英語、そして中央の青い色塗りがしてある部分が翻訳したものです。

日本語と比較して表現の違いで個人的に面白い部分を「赤い文字」にしており、さらにその違いの中で個人的に重要そうな表現だなと感じた部分を「緑に色塗り」にしてあります。なので全部読むのが面倒な人は、赤い文字や、緑の色塗りのロアを見てみるといいかもしれません。

日本語版にしかない表現、英語版にしかない表現がそれぞれあり、言い回しを変えている所も両者にあります。個人的にはこういう国によって表現を変えるのは不自然とは思わないので、「なぜその表現を入れたかったのか」「なぜその表現を変えたかったのか」とかすら、考えるのが楽しいと思ってしまいます。ただ、確かに英語の方に追記されている感情や情報があるのは事実だと思うので、そういうのが知りたかった方がスッキリ出来れば更に楽しいですね。

※ちなみに「世界と事象」のロアは内部の小項目全部で133種類(全体690種類)、日本語版ロアの文字数 (これは間違いあるとは思いますが) は15,502字、英語版ロアの文字数は54,463字、翻訳版の文字数、これは自分が作ったので正解はないですが、22,032字となっています。

そしてここからは、個人的に「世界と事象」のロアで気になったもの(緑色に塗っていたロア)で思った事を書いていきます。


1.マザークリスタル -黒の一帯の要因-

(日本語)
ヴァリスゼアの方々に鎮座する、5つの巨大なクリスタル。人々に魔法という奇跡を授け、神聖な存在として崇められてきたが、シドによれば、その実態は大事に息づくエーテルを無作為に搾取するものであり、黒の一帯が進む原因そのものだという。

(英語)
Though the people of Valisthea rely on the crystal mined from these mountains in their everyday lives and flock to the aether-rich lands around them in pursuit of their Blessing, Cid posits that it is in fact the Mothercrystals and their ability to draw aether from the earth that is the reason for the deadlands’ advance. The few who learn the truth are hunted down by those in positions of power—those whose power rests on their control of this crucial resource.

(翻訳)
ヴァリスゼアの人々は日常生活でこれらの山々から採掘されるクリスタルを頼りにし、その加護を求めて周囲のエーテルが豊富な土地に集まっているが、シドは黒の一帯が前進した理由は、実はマザークリスタルと大地からエーテルを引き出すその能力にあると推測している。真相を知った数少ない者たちは、この重要な資源を支配することで権力を握る権力者たちに追い詰められた。

まずはマザークリスタル。

「The few who learn the truth are hunted down by those in positions of power—those whose power rests on their control of this crucial resource.(真相を知った数少ない者たちは、この重要な資源を支配することで権力を握る権力者たちに追い詰められた)

日本語版では、クライヴ、ジル、シドの3人が皇都オリフレムの歓楽街で身を潜めていた時に、シドの口から説明はあった部分ですが、英語ロアではロア自体にも記載がありますね。実際に「マザークリスタルがエーテルを吸っている事が黒の一帯の原因になっている」という事実を知った人間は過去にいましたが、自分達の立場や権力を重要視する人間にとっては邪魔だったということですね。

現実の世界でも規模の大小はあれど、起こっている様な事にも思えます。


2.失われたマザークリスタル

(日本語)
かつてヴァリスゼアに存在していたが、後に消滅したマザークリスタル。ヴァリスゼア中央部のマザークリスタル・ゼメキス、風の大陸北部のドレイクアイ、灰の大陸南部のドレイクホーンが該当。いずれも現在は完全に消滅しており、その跡地が残るのみである。

(英語)
When Cidolfus Telamon put his plans to destroy the Mothercrystals in motion, five of their number towered over the Twins—three less than Ultima set in place eons past. The Mothercrystal of Dzemekys was the first to fall, followed by Drake’s Horn in Southern Ash, and Drake’s Eye in the Northern Territories. Now, nothing remains of them save for the scars left behind by their passing.

(翻訳)
シドルファス・テラモーンがマザークリスタルを破壊する計画を実行に移したとき、二大陸の上には5つのマザークリスタルがそびえ立っていたが、これはアルテマが過去に設置したものより3つ少ない。ゼメキスのマザークリスタルが最初に破壊され、灰の大陸南のドレイクホーン、北部領土のドレイクアイと続いた。現在、その痕跡は何も残っていない。

続いてもマザークリスタル。

「The Mothercrystal of Dzemekys was the first to fall, followed by Drake’s Horn in Southern Ash, and Drake’s Eye in the Northern Territories.(ゼメキスのマザークリスタルが最初に破壊され、灰の大陸南のドレイクホーン、北部領土のドレイクアイと続いた)

日本語版でも破壊されたマザークリスタルに言及していますが、英語版ではその順番も読み取れそうですね。ゼメキスの悲劇自体が1500年前と思われるので、1500年間の間にドレイクホーン、ドレイクアイと続いたようです。

個人的には北部のドレイクアイの消失には、リヴァイアサンが関わっている気がしているので、この辺を深く考察するのもどこかでやりたいですね。


3.クリスタルの蕾

(日本語)
ドレイクテイル・コアが、クリスタル自治領の内乱の際で変容した姿。バハムートの放ったメガフレアがコアに直撃したことで防衛機構が働き、ディオンの精神を浸食した。彼の精神に強く残っていた飛竜草の記憶から、ドレイクテイル自体が巨大な"飛竜草の花の蕾"へと姿を変えた。

(英語)
When Drake’s Tail came under attack by a maddened Bahamut, the heart of the Mothercrystal responded by delving into its attacker’s innermost thoughts and summoning into creation that which most plagued his tortured soul—the wyvern tail that represented the trust Prince Dion’s father placed in him and his duty to the realm.

(翻訳)
ドレイクテイルが狂気のバハムートに攻撃されたとき、マザークリスタルのコアは攻撃者の心の奥底にある思念を探り出し、彼の苦悩する魂を最も苦しめていたもの、つまり、ディオン皇子の父が彼に寄せた信頼と、彼の王国に対する義務を象徴する飛竜草の創造物を召喚することで反応した。

続いてクリスタルの蕾。

「the heart of the Mothercrystal responded by delving into its attacker’s innermost thoughts and summoning into creation that which most plagued his tortured soul—the wyvern tail that represented the trust Prince Dion’s father placed in him and his duty to the realm.(マザークリスタルのコアは攻撃者の心の奥底にある思念を探り出し、彼の苦悩する魂を最も苦しめていたもの、つまり、ディオン皇子の父が彼に寄せた信頼と、彼の王国に対する義務を象徴する飛竜草の創造物を召喚することで反応した)

日本語版では「彼の精神に強く残っていた飛竜草の記憶から」という文章だったので、暴走したディオンの心に残っていた強い記憶に呼応した事は認識していましたが、英語版を読むと、ディオンの心に「なぜ強く残っていたのか」の理由もわかりやすく書いてあります。

「彼の苦悩する魂を最も苦しめていたもの=飛竜草」だったという事はつまり、マザークリスタル・ドレイクテイルの防衛機構は、敵対した人間の心の中にある「最もその人間を苦しめているものに姿を変える機構」だということですね。相手が巨大なモンスターに苦しめられた記憶があれば巨大なモンスターに、相手が自身の親に苦しめられた記憶があれば、その親に姿を変えるような機構だったという事です。うーん、めっちゃ嫌ですね😭

これはディオンをより理解する重要なロアだと感じました。

ディオンを一番苦しめていたのは、父親でも、母国を裏切って現れた義理の母親でも、その母親から生まれた自分の立場を奪い取る息子でも、そして敵対するウォール―ド王国のバルナバスでもなく「飛竜草」だったんですよね。

そして英語ロアの後半にも書いてありますが、なぜ飛竜草に苦しめられていたかと言えば「ディオン皇子の父が彼に寄せた信頼と、彼の王国に対する義務を象徴していた」からです。つまり、ディオンも心の奥底ではもう自分の置かれた立場や環境から逃げたかった意識があったと読み取れます。これはジョシュアにも同じ事が言えて、ジョシュアもそうだったからこそ、ディオンなら助けてくれる、協力してくれるはずだという確信めいたものがあって、ディオンを訪ねていったようにも感じます。

ディオンは幼い頃から嫌なことがあっても、父親から渡される飛竜草そのものが、言葉以上の期待や信用、そして何より裏切りや拒絶を許さない象徴となっていて、それがあったために、嫌なことでもやり続ける事しか出来なかった人生だったのだと思います。ジョシュアにとってはそれが飛竜草ではなく「使命」という言葉だった気がしますが、2人はやはり似ていると思いました。

過去、飛竜草を父親から与えられていた時には、それが自身を苦しめる契約や拘束力を生んでいましたが、これを踏まえて、ハルポクラテスとのサブクエを見ると、最後は飛竜草を「受け取らない」という選択を出来ているんですよね。勿論クエスト通り、生きた証として、また帰ってくる約束としてハルポクラテスにそれを託していったというのが本来の意味だと思います。ただ、このロアを見ると、ディオンは飛竜草の呪縛から解き放たれて、彼自身の意志で先へ進む選択が出来るようになったのかな、とそう見えました。


4.魔法 -肉体とエーテル-

(日本語)
大地のエーテルを具現化させたもの。クリスタルを媒介に発現するほか、ドミナントやベアラーは自身の力で使用できる。通常、魔法の発現には肉体とエーテルが必要となる。アルテマは創世を成す強大な魔法を発動するために、その両方を求めた。

(英語)
The art of channeling aether to make one’s imagination manifest. Bearers and Dominants can cast magicks without a crystal, but this comes at a cost relative to the amount of aether channeled—the crystals’ curse that petrifies their flesh. For this reason, Ultima’s incorporeal form prevents him from casting the supremely powerful spell with which he means to remake the world—and so he seeks a vessel strong enough to withstand the torrents of aether required.

(翻訳)
エーテルをチャネリングして自分の想像力を顕在化させる技術。ベアラーやドミナントはクリスタルがなくても魔法を唱えることができるが、そのためにはエーテルのチャネリング量に見合った代償が伴い、結果的にクリスタルの呪いによって肉体が石化してしまう。そのため、肉体を持たない姿のアルテマは、世界を作り変えるという極めて強力な呪文を唱えることができず、必要なエーテルの奔流に耐えるだけの強靭な器を求めている。

続いて魔法。

「For this reason, Ultima’s incorporeal form prevents him from casting the supremely powerful spell with which he means to remake the world—and so he seeks a vessel strong enough to withstand the torrents of aether required..(そのため、肉体を持たない姿のアルテマは、世界を作り変えるという極めて強力な呪文を唱えることができず、必要なエーテルの奔流に耐えるだけの強靭な器を求めている)

これも割と他のロアでも見かける文章構成ですが、英語版と日本語版のロアを比較しているとよく「2つのロアが示す結果は同じだが真逆のことを書いている」というものを目にします。今回の場合だと日本語は「通常、魔法の発現には肉体とエーテルが必要となる」という文章ですが、英語では「肉体を持たない姿のアルテマは、世界を作り変えるという極めて強力な呪文を唱えることができず」と書いてあります。

両方とも示す結果は一緒なのですが、「魔法の発言には肉体が必要」と「肉体がないので魔法が使えない」は後者の方がより、制限が見えやすくなっていていいですね。「焼肉を食べるにはお金が必要」と「お金がないので焼肉は食べられない」は後者の方が焼肉を食べたい必死さをやや感じます。

【ここから妄想レベルの余談】
別の考察でも書こうと思いましたが、結局固有のエーテル量ってMPみたいなものだと思うんですよね。ただ、FF16のMPはオーバーした分HPを削って使っていく様な仕様に見えます。

例えばベアラーだったら MP 100/100 みたいな状況で生まれ、ここでMP消費120の魔法を唱える (もしくは継続して唱え続けて100を超える) と、MP -20/100 となり、-20の分だけ石化が進んでいく(生命力=HPをMPとして利用している)ってイメージですね。ドミナントはその中でもMPが最初から高く生まれる突然変異みたいなもので、MP10,000/10,000 くらいで生まれてきたため、召喚獣を呼び出せる=召喚魔法を使えるってイメージです。召喚獣への顕現自体が消費MP3,000くらいの魔法で、なのでベアラーはそもそも使えず、召喚魔法の適性があるMPを持った人間が結果的に召喚獣を呼び出せているって感じに見えてました。

レイズはそもそも消費MP30,000くらいの魔法で、最初からMP 100,000/100,000くらいを備えた超突然変異が現れないと、そもそも使えなかったんじゃないかなって思いました。クライヴはそもそもエーテル量(MP)を恐ろしい量許容出来る器として現れた超突然変異なので、石化もしないし、他の召喚獣のエーテルを吸収も出来ちゃった感じもしますね。生きるマザークリスタルみたいな。


5.グラズヘイム・ウォール

(日本語)
召喚獣オーディンが発動させた超広範囲の魔法障壁。外部からの攻撃を防ぐだけでなく、障壁に触れるものを消し去る力を持つ。王都ストーンヒル方面への経路を遮断した。

(英語)
A vast aetherial dome created by King Barnabas Tharmr using the power of the Eikon Odin. It is not only capable of repelling assaults both corporeal and magical, but will also consume any whom might endeavor passage across its bounds. Spanning from the mining settlement of Eistla in the south to Frigg’s Calm in the north, the barrier effectively blocks any approach to the Waloeder capital of Stonhyrr for hundreds of leagues.

(翻訳)
国王バルナバス・ザルムが召喚獣オーディンの力を使って作った巨大なエーテルのドーム。肉体と魔法の両方からの攻撃を防ぐことができるだけでなく、その境界を越えようとする者はすべて焼き尽くす。南はエイストラの鉱山集落から北はフリッグの凪まで、このバリアは何百リーグにもわたってウォール―ド王国の首都ストーンヒルへの接近を効果的に遮断している。

続いてグラズヘイム・ウォール。

「Spanning from the mining settlement of Eistla in the south to Frigg’s Calm in the north, the barrier effectively blocks any approach to the Waloeder capital of Stonhyrr for hundreds of leagues.(南はエイストラの鉱山集落から北はフリッグの凪まで、このバリアは何百リーグにもわたってウォール―ド王国の首都ストーンヒルへの接近を効果的に遮断している)

英語版の本編やっていないんですが、Frigg’s Calm(フリッグの凪?)がよくわかりませんでした😭おそらく、ストーンヒルの北側の海岸辺りかなと思ってるんですが、英語版だと地名としてどこかに書いてあったりするのかな?

あと、この leagues (リーグ)は、ヴァリスゼアの長さの単位で合ってますかね?日本語版でも見かけたような気がしたりしなかったりします。FF14の現在の長さの単位は公式フォーラムでイルム、フルム、ヤルム、マルム、と明かされていますが、過去にはリーグという単位が使用されていました。ただの遊び心なのか、ハイデリンにヴァリスゼアが存在する1つの暗示なのか…。考察するのも面白そうです。


6.ドミナント -力の覚醒-

(日本語)
召喚獣に顕現する力を持つ者。見た目も思考も人そのものだが、人智を超えた圧倒的な力を持ち、火や氷などの召喚獣に応じた属性の魔法を使いこなす。生まれてすぐに覚醒する者がいるなかで、後天的に目覚める者もあり、その力はドミナント自身の運命を大きく変える。

(英語)
Those within whom sleeps the power of an Eikon. Though they look and think no differently to any other man or woman, they can not only cast elemental magicks without a crystal, but also transform themselves into beasts of world-shattering strength at any moment. There is only ever one Dominant for each Eikon—a new Dominant only awakening after the previous dies. Some awaken at birth, while others are chosen later in life, but once one is chosen, one’s life changes forever.

(翻訳)
召喚獣の力を宿す者たち。見た目も考え方も普通の男女と変わらないが、クリスタルなしで属性魔法を唱えられるだけでなく、いつでも世界を破壊するような強さの獣に変身することができる。各召喚獣には1人のドミナントしか存在しない。新しいドミナントは前のドミナントが死んでから目覚める。生まれたときに目覚める者もいれば、人生の後半で選ばれる者もいるが、一度選ばれると、その人の人生は永遠に変わる。

続いてはドミナント。

「There is only ever one Dominant for each Eikon—a new Dominant only awakening after the previous dies.(各召喚獣には1人のドミナントしか存在しない。新しいドミナントは前のドミナントが死んでから目覚める)

これもそう認識はしている内容ですが、英語版のロアに正式に記載されていて、より確信が持てた文章ですね。

逆を言えば、前のドミナントが死なない限り、新しいドミナントは絶対に現れないとも言えます。リヴァイアサンが現れないのは、ザンブレク領から見えるあの凍った津波の中で今もまだドミナントが生きているからなのでしょうか…。


7.ドミナント -真相-

(日本語)
召喚獣に顕現する力を持つ者。アルテマが自らの器たる肉体、ミュトスを生み出すに至る経緯で生まれた存在。かつて人は、マザークリスタルの"守り人"として生み出され、それぞれの属性に特化した召喚獣の力に目覚めていった。ミュトスに力を譲渡した後も顕現や魔法の使用をできるが、多大な負担がかかる。

(英語)
Those within whom sleeps the power of an Eikon. The Dominants are but a stepping stone in the creation of Ultima's perfect vessel, Mythos. When Ultima sowed the seeds of humanity, he imbued those assigned to protect each Mothercrystal with an elemental affinity—a power that would amplify over the generations until the Eikons eventually emerged. Though the memory of their power remains even after it is absorbed into Mythos, it takes an increasing toll upon their persons to summon it.

(翻訳)
召喚獣の力を宿す者たち。ドミナントは、アルテマの完璧な器であるミュトスを創造するための足がかりにすぎない。アルテマは人類の種を蒔くとき、それぞれのマザークリスタルを守護する者たちに元素の親和力を与えた。その力は何世代にもわたって増幅され、やがて召喚獣が出現する。彼らの力の記憶はミュトスに吸収された後も残っているが、それらを召喚する為に彼らにかかる負担は増大していく。

続いてもドミナント。

「he imbued those assigned to protect each Mothercrystal with an elemental affinity—a power that would amplify over the generations until the Eikons eventually emerged.(それぞれのマザークリスタルを守護する者たちに元素の親和力を与えた。その力は何世代にもわたって増幅され、やがて召喚獣が出現する)

これも英語ロアの方が日本語より理解しやすいと感じました。マザークリスタルの守り人は、その守護するマザークリスタル属性との親和力が強くなっていき、世代が変わるたびに増幅され、召喚獣に顕現するまでに至ったと。環境適応での進化ですよね。急に召喚獣が現れた訳ではなくて、徐々に徐々に魔法を使う能力が強くなっていった結果、それをより強力な形として具現化出来るようになっていった感じかもしれないですね。


8.空の文明 -真相-

(日本語)
数千年前に栄えた高度な文明。魔法を動力源とする魔導によって発展したため、識者には魔導文明とも称される。魔導機関によって飛空艇や空中都市を築き上げたが、アルテマの遺構を模倣したことから始まるため共通点も多い。さらなる力を求めた人々によって争いが起き、ゼメキスの悲劇を経て文明は滅亡した。

(英語)
An ancient civilization that thrived some thousands of years before the present day. Though no direct records of the Fallen remain, early legends in the modern corpus speak of them as the "Menne of Magitek," the pinnacle of whose "magical technology" was the airship—enormous cities that soared through the skies. Comparisons of the ruins of these airships and other ancient structures connected to Ultima reveal slight but marked differences, suggesting the former is but a close copy of the latter. Alas, it seems their pursuit of Ultima's most closely guarded secrets led to their downfall, when they sent their fleet against Dzemekys, and ushered in the tragedy that saw their civilization fall.

(翻訳)
現代より数千年前に栄えた古代文明。空の文明に関する直接的な記録は残っていないが、現代の文献に残る初期の伝説では、空の遺跡は「Menne of Magitek (魔導の力)」として語られており、その「魔法技術」の頂点は空を舞う飛行船、つまり空を駆ける巨大都市であった。これらの飛空艇の遺跡とアルテマに関連する他の古代建造物を比較すると、わずかではあるが顕著な違いが見られ、前者は後者の忠実なコピーに過ぎないことが示唆される。残念なことに、アルテマの最も秘匿された秘密を追い求めた彼らは、艦隊をゼメキスに向かわせ、文明が滅亡する悲劇を招いた。

続いて空の文明。

「it seems their pursuit of Ultima's most closely guarded secrets led to their downfall, when they sent their fleet against Dzemekys, and ushered in the tragedy that saw their civilization fall.(アルテマの最も秘匿された秘密を追い求めた彼らは、艦隊をゼメキスに向かわせ、文明が滅亡する悲劇を招いた)

魔導という力を作り、飛空艇や空の文明を作ってきた1500年前のヴァリスゼア人たちですが、ゼメキスに「艦隊を向かわせた」という事実が、英語ロアから読み取れました。空に浮いていたゼメキスに対して明確に敵対行動を取り、返り討ちにあった訳ですが、ゼメキスが持っていた防衛機構が、あのゼメキスの大穴を作り出した感じですかね、真下に波動砲でも撃ったのかな…。


9.魔導

(日本語)
空の文明の人々が魔法を転用した技術。飛空艇など、多様な兵器が生み出された。魔導と兵器を結び付けるためには魔法を使う人が必要とされ、魔導の力を呼び出す者として"召喚者"と呼ばれた。これが、神の如き力を持つ獣を召喚獣と呼ぶ所以となり、この言葉だけは現在へと受け継がれている。

(英語)
A term that appears in early histories of the Fallen civilization and describes their highly advanced magical technology, of which the airship is the best known example. They also produced weapons all but indistinguishable from living beings—yet whose destructive power rivaled that of the gods of legend. The early chroniclers labeled these beasts the “Eikonoklastes,” and it is from this term that the Eikons of the present day take their moniker.

(翻訳)
空の文明の初期の歴史に登場する用語で、彼らの高度な魔法技術を表し、その最もよく知られた例は飛空艇である。彼らはまた、生物とほとんど区別がつかないほどの武器を作り出し、その破壊力は伝説上の神々に匹敵した。初期の年代記執筆者たちは、これらの獣を「Eikonoklastes(エイコノクラステス)」と呼んだ。


【筆者付記】※Eikonoklastesはギリシャ語でありeikon + klastesの形を取っている言葉。eikonはimage(偶像)を意味する語で、klastesはbreakerの意味。つまり「偶像を破壊する者」という意味になる。

続いて魔導。

「They also produced weapons all but indistinguishable from living beings—yet whose destructive power rivaled that of the gods of legend. The early chroniclers labeled these beasts the “Eikonoklastes,” and it is from this term that the Eikons of the present day take their moniker.(彼らはまた、生物とほとんど区別がつかないほどの武器を作り出し、その破壊力は伝説上の神々に匹敵した。初期の年代記執筆者たちは、これらの獣を「Eikonoklastes(エイコノクラステス)」と呼んだ)

上記に【筆者付記】としても書いてありますがネットで色々調べた結果、

「Eikonoklastesはギリシャ語でありeikon + klastesの形を取っている言葉。eikonはimage(偶像)を意味する語で、klastesはbreakerの意味。つまり「偶像を破壊する者」という意味になる」

という結論に至りまして(他の意味わかる方いれば教えて下さい😭)、やっぱり、FFをやっていればみんなそうだと思うんですけど「生物と区別が付かないほどの武器、伝説上の神々に匹敵する」と来たらやっぱりアルテマウェポンを想像してしまうじゃないですか。

ゲーム内では、2週目の最強武器としてアルテマウェポンが用意されてましたが、特にそこに繋がる新規のサブクエがあるとかではないので、2週目をやった人へのご褒美的なポジションとして存在していると認識しています。

この魔導時代に造られた、生物と区別が付かない、伝説の神々に匹敵する魔導を利用する武器が、もしアルテマウェポンならば、過去の人々は魔導文明によって造られたアルテマウェポンのとてつもない破壊力を見て、神に戦いを挑めると勘違いしてしまったのかもしれないですね。


10.炎の民

(日本語)
ロザリア公国で生まれ育った者を指す呼称。大公でもある火の召喚獣フェニックスに仕え、その加護を受ける者たちとして、民衆が自らを炎の民と称するようになった。詩曲の中でも登場し、兵士が戦場で士気を高める際などに使われる。

(英語)
Perhaps the most beloved ditty in the duchy, the Rosarian National Anthem was written for the occasion of the new nation’s founding, and is filled with patriotic imagery of rolling meadows, rising flames, and stirring song. It was oft heard raising the rafters of ducal alehouses, particularly close to closing time, where disputes over the lyrics to the less practiced third verse would occasionally end in fisticuffs.

(翻訳)
おそらくこの公国で最も愛されている歌であろうロザリア国歌は、新国家建国の際に作られたもので、なだらかな草原、燃え上がる炎、心躍る歌など、愛国的なイメージに満ちている。この国歌は、公爵家の酒場で、特に閉店間際によく耳にしたもので、あまり練習されていない第3節の歌詞をめぐって論争が起こり、殴り合いに発展することもあった。

続いて炎の民。

これはもう違いが全体に渡るので部分的な抜粋は略します。

英語ロアは日本語ロアとはだいぶ違って「これぞフレーバーテキスト」みたいな内容になってるのでめっちゃ好きなロアですね。本編では最初のフェニックスゲートでしか歌われず、凄く好きな歌だったのでもっと聞きたかったですが、3番以降は練習されていないとすると、本編のフェニックスゲートでジョシュアが外に出て行った後も、3番の歌詞を巡ってタイラーとウェイドが喧嘩をしていた可能性があります。

実際「炎の民」のロアなので、日本語の方が、炎の民の説明としてはより正しいと思いますが、英語版はどうしてもこれを書きたかった感があって、どちらもいいですね。


11.救世の予言

(日本語)
アルテマが眠りにつく前に残した予言。現在では救世主信仰の信者にのみ伝わる。"約束の日、神の化身たるミュトスの手で、この世は生まれ変わる。その前兆として神の御使いたる獣たちが受肉する。守り人は御使いに付き従いミュトスの誕生を待て。忠篤き守り人は、稀なる幸いを手に入れるであろう。"

(英語)
Among the teachings of the Circle of Malius is the story that the lord almighty delivered unto his children a prophecy of their future salvation before hiding himself away in the heavens—a myth that lived on in many of the folk religions that would later supplant it. Though long considered to be naught but a legend, it is possible that this reflects a real, historical event- Ultima’s final words to his humanity before he entered hibernation deep beneath Valisthea.

The few remaining sources disagree on Ultima’s precise wording, but on four points they all align: that on some future day of reckoning, the incarnation of the lord would appear among mankind and remake the world; that the advent of this incarnation would be heralded by the emergence of several heavenly servants of great might; that the lord’s faithful should rally these servants together in order to bring the incarnation into being; and that for their loyalty, they would be rewarded with the greatest gladness.

(翻訳)
マリアス教の教えの中に、全能の神が天に身を隠す前に子供たちに未来の救世の予言を伝えたという話がある。長い間、伝説に過ぎないと考えられてきたが、これは実在した歴史的な出来事、つまりヴァリスゼアの地下深くで冬眠に入る前のアルテマの人類に対する最後の言葉を反映している可能性がある。

残された数少ない出典では、アルテマの正確な言葉については意見が一致していないが、次の4つの点では一致している。将来の清算の日に、主の化身が人類の間に現れ、世界を作り変えるということ、この受肉の出現は、偉大な力を持つ何人かの天のしもべの出現によって告げられるということ、主の忠実な信者は、受肉を実現するためにこれらのしもべを結集させるべきであるということ、そして彼らの忠誠に対して、最大の喜びが与えられるであろうということだった。

続いては救世の予言。

「that on some future day of reckoning, the incarnation of the lord would appear among mankind and remake the world; that the advent of this incarnation would be heralded by the emergence of several heavenly servants of great might; that the lord’s faithful should rally these servants together in order to bring the incarnation into being; and that for their loyalty, they would be rewarded with the greatest gladness.(将来の清算の日に、主の化身が人類の間に現れ、世界を作り変えるということ、この受肉の出現は、偉大な力を持つ何人かの天のしもべの出現によって告げられるということ、主の忠実な信者は、受肉を実現するためにこれらのしもべを結集させるべきであるということ、そして彼らの忠誠に対して、最大の喜び与えられるであろうということだった)

これも英語ロアの方が日本語より理解しやすいと感じた内容ですね。日本語ロアの方がより簡潔に書いてあるようです。

特に日本語ロアの「守り人は御使いに付き従いミュトスの誕生を待て」の部分が、「主の忠実な信者は、受肉を実現するためにこれらのしもべを結集させるべきであるということ」という文章として読み取れるところは、特にわかりやすいかな、と思います。バルナバスが正にこれを忠実に守ろうとしていたわけですね。

そして、このあとの別のロアでもわかるんですが、「そして彼らの忠誠に対して、最大の喜びが与えられるであろうということだった」という表現を信じ、マリアス教の信者は「最大の喜びを得るため」アルテマを信奉し続けていました。信奉し続けた者は天上の楽園に行けるような認識だったようです。しかし、実際のアルテマがいう「最大の喜び」とは、もう人として何も考えず悩まず苦しむこともない、アカシア化となることだったというわけですね。


12.ロザリアの建国者

(日本語)
ロザリアの礎を築いたとされる者。"文明の衰退後、神々の怒りを恐れた人は魔法を拒み流浪の民となった。あるとき、男が家を建て始めた。いつしか男のもとに人が集まり、家が村に、村が街に、街が国になった。ロザリアを興した名もなき男の魂は、今も人々の胸の中にある。" - モース著 建国者の伝説より

(英語)
“Fear and uncertainty reigned in those early years following the Sins of Dzemekys. Not wanting to further incur the wrath of the heavens, the few who survived the Fall took to wandering the land, spurning magic and staying to the shadows. And so they lived for decades. “One man, however, grew tired of this life—if it could be called that—and after bidding his companions farewell, climbed a grassy knoll overlooking a forest of beech and alder. Here, he gathered a pile of rubble and used it to build a humble shelter in which he spent the night. The next morning, however, instead of abandoning his work (as was his people’s wont), he gathered more rocks, adding to the structure until the shelter had become a shack. This, he continued for days, weeks, until the shack had become a home.

“At first, those few wanderers who passed the knoll would shun him, cursing the man under their breaths for his hubris. But as his estate grew, and one building became two, and two, three, the people began to slow their steps, and it was not long before some took to joining him on that knoll. Gathering stones. Building new lives. New destinies.
“This they did without magicks or machines. Without boon or blessing. They relied on naught but their hands, their backs, their wills, and each other. And slowly house gave way to village, village to town…and town to nation. “The man would one day die, as all men do, but those who remained continued his legacy—expanded upon it. And though his name was eventually forgotten, his spirit lives on to this day in the hearts of all Rosarians.” Legend of the Founder, Moss the Chronicler

(翻訳)
ゼメキスの罪後の数年間は、恐怖と不安が支配していた。これ以上天の怒りを買うことを望まず、堕落を生き延びた数少ない者たちは、魔法を避け、影に閉じこもり、この地をさまよった。そうして彼らは何十年も生きてきた。しかし、ある男がこの生活に嫌気がさし、仲間に別れを告げた後、ブナとハンノキの森を見下ろす草が生い茂る小高い丘に登った。ここで彼は瓦礫の山を集め、それを使って質素な避難所を作り、そこで一夜を明かした。しかし翌朝、彼は仕事を放棄する代わりに、(彼の民族がそうしてきたように)さらに石を集め、避難所が小屋になるまで構造物を増やした。それを何日も、何週間も、小屋が家になるまで続けた。

最初は、小高い丘を通り過ぎる数少ない放浪者たちは彼を敬遠し、その傲慢さを小声で罵った。しかし、彼の財産が大きくなり、1つの建物が2つになり、2つ、3つと増えていくにつれ、人々は歩みを緩め始め、そして、何人かが小高い丘で彼と一緒になるまでに、そう時間はかからなかった。石を集める。新しい人生を築く。新しい運命を築く。
彼らは魔法も機械も使わずにこれを行った。恩恵も祝福もない。彼らが頼りにしたのは、自分たちの手、背中、意志、そして互いだけだった。そして、ゆっくりと家が村に、村が町に......そして町が国へと変わっていった。すべての人間がそうであるように、その男もいつか死ぬことになるが、生き残った人々は彼の遺志を引き継ぎ、それをさらに発展させた。彼の名はやがて忘れ去られたが、彼の精神は今日まで、すべてのロザリア国民の心の中に生き続けている。

モースの筆録、創始者の伝説より

続いてロザリアの建国者。

これも「炎の民」のロアに続き、やっちゃってるロアです。クライヴと同じく強い自我を持ってしまった感じのロアですね。日本語ロアも英語ロアと全く違うわけではなく、英語版を簡略化したものにはなってます

ロザリアが1人の人間によって、家から国になるまでの話がより詳細につづられているわけですが、FF16の本編がEDを迎えた後も、誰が生き残ったかにかかわらず、人はこうやってまた新たな道を歩んでいったはずだと、より強く実感出来るロアだと思います。

「すべての人間がそうであるように、その男もいつか死ぬことになるが、生き残った人々は彼の遺志を引き継ぎ、それをさらに発展させた。彼の名はやがて忘れ去られたが、彼の精神は今日まで、すべてのロザリア国民の心の中に生き続けている」

最後のこの文章はクライヴと重なりますね。誰かの為に何かを成そうと行動した人間は、その結果がどうあれ、その先もずっと、それを見てきた人の心の中で生き続け、新しい形として進化をしていくと思っています。


13.忘れじの血泥

(日本語)
数百年前に起きたベアラーと人の戦い。かつてベアラーは"幸いを運ぶ者"と崇められたが、巨大な祭祀集団に発展したことで、時の為政者が危機感を覚えて弾圧。ベアラーはそれに抗うも、数の力で敗北し、奴隷の地位へ貶められた。この反省により、その後ドミナントが誕生した際に各国は高い身分を与え、囲い込んだ。

(英語)
A great war that occurred in ancient times between the “few who bear the blessing” and the “many who do not.” It ended in decisive victory for the unblessed masses and the signing of the Continental Accord, which cemented the systematic subjugation of the “Bearer” minority.

It was not until a hundred years later that the first Eikons were to emerge—their human hosts being named “Dominants” after the savior myth of the Circle of Malius, which held that the lord’s return would be heralded by the appearance of “His heavenly servants most wondrous and most dominant.” Such was the awesome power of these creatures that the authorities had no option but to exempt them from the system of slavery—announcing them to be something other than a lowly Bearer and deserving of the highest honor—lest they should side with their fellow oppressed and bring a second deluge upon the masters’ heads.

(翻訳)
太古の昔「祝福をもたらす少数のもの」と「祝福をもたない多数のもの」の間で起こった大戦争。この戦争は、祝福をもたない大衆の決定的な勝利に終わり、「大陸協定」の調印によって、少数派「ベアラー」の組織的な服従が確固たるものとなった。

最初の召喚獣が出現したのは、それから100年後のことだった。その召喚獣の人間の宿主は、マリアス教の救世主神話にちなんで「ドミナント」と名付けられた、この神話では、主の帰還は「最も驚異的で最も支配的な天のしもべ」の出現によって告げられるとされていた。これらの生き物の恐るべき力があまりにも強かったため、当局は彼らを奴隷制度から免除し、彼らが卑しいベアラーではなく、最高の栄誉に値する者であることを告げる以外に選択肢を持たなかった。彼らが虐げられた仲間の味方をし、主人たちの頭上に第二の大洪水 (ノアの洪水に由来している表現) をもたらすことのないように。

続いて忘れじの血泥。

これもめちゃくちゃ興味深い内容ですね。

日本語ロアだと「数百年前におきたベアラーと人との戦い」とあります。ベアラーの扱いなどを定めた大陸協定のロアには同じく「数百年前」と書いてありますが、

大陸協定ロア「数百年前に制定された世界規模の協約。国の垣根を越えて、ベアラーに対する扱いや、共通通貨が定義された。ベアラーの身分を剥奪し、刻印を施して管理するなどの取り決めがなされ、現在のヴァリスゼアの基礎を形成する。協約締結を記念し、人による新たな世界を刻む証として、大陸歴が制定された」

そして大陸歴のロアには、「800年以上前」と書いてあります。

大陸歴ロア - 「ヴァリスゼア全域で使われている共通の暦。800年以上前の大陸協約において、新しい時代を刻む歴として国を超えて制定された。長い年月を経て国の興亡が続き、平和を謳った大陸協約もその効力を失ったが、公式文書などに記載される暦には、変わらずこの大陸歴が使われ続けている」

つまり、この「忘れじの血泥」後すぐに大陸協定が結ばれたとすれば、忘れじの血泥もおよそ800年前に起こった争いであり、その100年後、つまりドミナントが初めて誕生したのはおよそ700年前、大陸歴100年前後だったと予想出来ます。日本で言えば700年前は鎌倉時代くらいですね、割とそんな遠くない過去に、初めてドミナントが誕生してるという事です。

700年でどれくらいドミナントが生まれたかは予想が難しいですが、前任者が死んですぐ生まれるばかりでもないようなので、1つの属性のドミナントにつき、15人~20人くらいでしょうか?Twitterで、フーゴ戦となるロザリス城地下にある石像が16体だったという内容を見かけたので、おそらくこの16体がジョシュア以前の歴代ドミナントだと仮定すれば、フェニックスのドミナントは700年で16人+ジョシュアの17人目という事になりますね。

そして、最後には「当局は彼らを奴隷制度から免除し、彼らが卑しいベアラーではなく、最高の栄誉に値する者であることを告げる以外に選択肢を持たなかった。彼らが虐げられた仲間の味方をし、主人たちの頭上に第二の大洪水 (ノアの洪水に由来している表現) をもたらすことのないように」と書いてあります。つまり、当時の世界で、そもそもベアラー側と派生は同じであるドミナント達が、自分の仲間であるベアラーへの対応に怒り、反旗を翻すことを過剰に恐れ、抱え込んだという内容ですね。

個人的にはこの700年の間に、この現状に納得いかず反旗を翻したのはシドだけではないと思っているので、それがリヴァイアサンじゃないかなと思ってます。リヴァイアサンのドミナントが灰の大陸のドレイクホーンを破壊し、続いて風の大陸北部のドレイクアイへと攻めこんだ結果、マザークリスタルの破壊には成功するも、当時のシヴァのドミナントと戦闘となり、大海嘯もろとも、シヴァのダイヤモンドダストで氷漬けにされてしまった、みたいな想像をしていました。

色々と想像や考察が捗る好きなロアです。


14.アルテマの眷属 -真相-

(日本語)
アルテマの意思に従って動くエーテルの集合体。アルテマがヴァリスゼアに渡来した原初の時代に、外敵となるものを滅ぼすために生み出された。また、ミュトスたるクライヴが力に目覚めた後は、その成長を促す贄となるため幾度となく現れ、戦いを繰り返した。

(英語)
Soulless automata largely composed of aether whose only motivation is to see that their creator’s will is done. Ultima gave them life upon first arriving in Valisthea and immediately tasked them with defending the realm's shores from any outside forces that might seek to interfere in his endeavors. The deity now employs them solely to test the strength and durability of his self-proclaimed vessel, Mythos.

(翻訳)
主にエーテルで構成された魂のない自動人形で、創造主の意志が達成されるのを見届けることだけを目的としている。アルテマはヴァリスゼアに到着すると最初に彼らに命を与え、自らの活動を邪魔する外敵からこの国の海岸を守るよう命じた。神は現在、自らの器であるミュトスの強さと耐久性を試すためだけに彼らを使っている。

続いてアルテマの眷属。

「immediately tasked them with defending the realm's shores from any outside forces that might seek to interfere in his endeavors. (自らの活動を邪魔する外敵からこの国の海岸を守るよう命じた)

これも日本語ロアだと「外敵」という表記なので、元々ヴァリスゼアにいた何かを滅ぼすために造られた生き物だと思っていましたが、英語ロアを読むと、海岸を守るように命じているので、ヴァリスゼアという大陸自体の外敵=外から来るもの、という認識が正解かもしれないですね。

アルテマの最大の過ちは人間を生んでしまった事なんですが (眷属たちは自我を持たないまま今に至るので) 、人間を生み出す前までのアルテマは非常に優秀というか、エーテルを最大限利用する為の確認や検討、行動に至るまで凄く徹底してる感じが見えます。ただ、人間が自我を持って、感情や思いを増幅し続けてしまったこと、それだけが予想外だったんでしょうね。長い年月、個でもあり集団でもあったアルテマ一族には、異なる考えや思いを持った人間が、集まって生きていく為に生み出され、形成されていくものを、理解出来なかったんだと思います。


15.エンタープライズ -アイアンワークス造船所-

(日本語)
ミスリル機関を搭載した高速外洋航行船。遠い海の向こう、黒の一帯の及ばぬ大地を見つけるという最後の希望のために、シドとその娘ミドが設計した。ミドを中心にカンベルのアイアンワークス造船所で造船が進められ、隠れ家の仲間の協力やバイロンの資金援助によって完成した。

(英語)
The hideaway’s mythril engine-powered flagship. Designed by the father and daughter team of Cidolfus and Midadol Telamon to serve as a last hope for humanity should all of Valisthea be lost to the Blight. Mid recruited a team of shipwrights and supervised the secret construction of the ship in the Telamon Ironworks on the outskirts of Kanver, with a little help from Byron Rosfield’s bottomless purse.

(翻訳)
隠れ家のミスリルエンジンを搭載した旗艦。シドルファスとミドアドル・テラモーンの父娘チームによって設計され、ヴァリスゼア全土が疫病によって失われた場合の人類の最後の希望となる。ミドは船大工のチームを集め、バイロン・ロズフィールドの底なしの資金から少しの援助を受け、カンベル郊外にある "テラモーン社" アイアンワークス造船所で極秘に船の建造を監督した。

続いてエンタープライズ。

「Telamon Ironworks ("テラモーン社"アイアンワークス造船所)

これは完全に日本語と英語の違いに俺が混乱したロアです(恥ずかしい)。"Telamon Ironworks" は正確にはニュアンスは「テラモーン製鉄所」でいいと思うんですが( Ironworks が製鉄所という意味なので)、ただ、日本語ロアでは "Ironworks" を "アイアンワークス造船所" と訳してるんですよね。「アイアンワークス・アイアンワークス」みたいな名前にしているせいで、凄く混乱しました。なので、自分の翻訳では日本語訳の "アイアンワークス造船所" を考慮して「"テラモーン社"アイアンワークス造船所」みたいな強引な翻訳にしています。

要は何が言いたいかと言えば、このエンタープライズはシドとミド、両方の夢だったからこそ、ミドアドルの名ではなく「テラモーンの姓」を取って付けている感じが凄くいいよねって話ですね。


16.メティア

(日本語)
空に浮かぶ月の傍らで煌めく小さな星。メティアに願い事をするとそれが叶うという伝承があり、ヴァリスゼアに住む多くの人々が、この小さな星に幸運を願っている。

(英語)
The burning red star that sits beneath the moon. Folklore ascribes to Metia the role of message-bearer to the moon, so it is common custom across Valisthea to wish upon the star, that one’s heartfelt desires might be conveyed to the heavens and beyond.

(翻訳)
月の下にある燃えるような赤い星。民間伝承ではメティアは月へのメッセージを伝える役割を果たしていると考えられており、ヴァリスゼアでは、自分の心からの願いが天や彼方まで伝わるようにと、この星に願い事をするのが一般的な習慣となっている。

続いてメティア。

「ascribes to Metia the role of message-bearer to the moon (メティアは月へのメッセージを伝える役割を果たしていると考えられており)

メティアに関してはこの後のロアでも触れそうなので、ここではほどほどにしますが、これも意味深なロアですよね。「月へメッセージを伝える役割」という考えがいつ、どのタイミングから発生したのか、とても気になります。

本来の願いを叶えるのは月側だけど、月には簡単には届かないので、傍にいるメティアにお願いするって感じなんでしょうか?「なぜ月に直接願い事をしないんだろう?」という疑問はちょっとだけあります。


17.手紙

(日本語)
ヴァリスゼアにおける伝達手段のひとつ。ストラスを使った手法とは違い、面識のない相手にも送ることができることが利点。ただし、庶民は読み書きのできない者も多いため、手紙のやり取りは一定の教養ある者同士となるのが一般的。隠れ家では文字を教えているため、手紙を嗜むようになったベアラーもいる。

(英語)
The second simplest method of long-distance communication used in Valisthea, after whispering one’s message to a traveling trader and trusting in the strength of their memory. Though letters are more prone to interception than stolases, they have the advantage that they can be sent to those one does not know. Their major disadvantage—that the majority of the commonfolk of the Twins can neither read nor write, limiting their exchange to those of a certain level of education. Efforts are underway to offer such an education to the Bearers of the hideaway, and many are already more confident readers and writers than their former masters.

(翻訳)
ヴァリスゼアでは、旅の商人にささやき、その商人の記憶力を信じることに次いで、二番目に簡単な遠距離通信手段である。手紙はストラスに比べて傍受されやすいが、知らない相手にも送ることができるという利点がある。大きな欠点は、二大陸の庶民の大多数が読み書きができないため、交換できるのは一定以上の教育を受けた者に限られる。隠れ家のベアラーにそのような教育を提供する努力が進められており、すでに多くのベアラーが、かつての主人よりも読み書きに自信を持っている。

続いて手紙。

「The second simplest method of long-distance communication used in Valisthea, after whispering one’s message to a traveling trader and trusting in the strength of their memory. (ヴァリスゼアでは、旅の商人にささやき、その商人の記憶力を信じることに次いで、二番目に簡単な遠距離通信手段である)
「and many are already more confident readers and writers than their former masters. (すでに多くのベアラーが、かつての主人よりも読み書きに自信を持っている)

これも遊び心が見えて凄く好きな英語ロアですヴァリスゼアでは手紙よりも優れた遠距離通信手段は「旅の商人にささやき、その商人の記憶力を信じること」と書いてあります。実際、大陸全土を旅する商人からの噂話や、各国を見て感じた感想が、それぞれの土地に生きる平民にとっては重要な情報源だったということですね。

また、隠れ家にいる多くのベアラーがかつての主人よりも読み書きが出来るという情報も書いてあります。あれだけちゃんとみんなで勉強してるから、それが結果として現れてるのがわかるこの文章は凄く嬉しいです。


18.歴史学者モースの筆録 -概要-

(日本語)
歴史学者モースが記した筆録。古代ヴァリスゼアに関する研究が記されており、その独創的かつ叙情的な内容は学術会から激しい非難を受けた。モースは筆録と共に歴史の表舞台から姿を消したため、現在は所在がつかめない代物となっている。

(英語)
The annals of Moss the Chronicler, a scholar of Valisthean history noted not only for his singular insight, but for the lyricism of his writing—an exceptionalism that earned him the enmity of his fellow scholars and drove him from public life. Such were their misgivings towards him that only a handful of copies of the Journal were ever produced, making the tome a prized find among collectors.

(翻訳)
ヴァリスゼア史の研究者であったモースの筆録は、その卓越した洞察力だけでなく、叙情的な文章で知られている。例外的な存在であったため、彼は学者仲間から恨みを買い、公の場から姿を消した。そんな彼への恨みから、手記はごくわずかしか出版されず、この書物はコレクターの間で珍重されている。

続いて歴史学者モースの筆録。

「handful of copies of the Journal were ever produced, (手記はごくわずかしか出版されず)

これも翻訳的に解釈が正しいか不安ではありますが、モースの筆録はイメージだと、モースが書いた本そのものの様なイメージでいましたが、1冊ではなくちゃんと発行・出版された書物だったようですね。きっと、この時代のヴァリスゼアでは、自分の足で各地を回り、固定観念の外から大胆な仮説を立て、それを紡いでいくモースはとても異端であり、邪魔な存在だったのだと思います。

現実で言えば、2000年もの間信じられていた天動説に異を唱え、自分の死の前に地動説に関した本を出版したコペルニクスを想像させますね。

俺もモースやハルポクラテスと一緒にヴァリスゼアの話がしたいです😭

というかモースの筆録、ヴァリスゼア語でいいので出してくださいスクエニさん。


19.歴史学者モースの筆録 -ジョシュアの所持-

(日本語)
歴史学者モースが記した筆録。古の宗教とされるマリアス教や、アルテマについての記述が残されている。モース自身と共に歴史の表舞台から消え、長らく所在がつかめない代物だったが、不死鳥教団によって発見され、ジョシュアが所持していた。

(英語)
The annals of Moss the Chronicler, a scholar of Valisthean history noted for his singular insight— indeed, Moss’s Journal is one of the few histories to speak at any length concerning the ancient Circle of Malius and the creature they worshipped as their god—Ultima. Both Moss and his Journal were all but removed from public life at the insistence of rival scholars, but at Joshua’s request, the Undying were able to track down a copy of the prized tome.

(翻訳)
ヴァリスゼア史の研究者であったモースの筆録は、その卓越した洞察力で知られている。実際、モースの手記は、古代のマリアス教と彼らが神として崇める生き物アルテマについて、詳しく語った数少ない歴史書のひとつでもある。モースと彼の日誌は、対立する学者たちの強い要望により公の場から姿を消したが、ジョシュアの要請により、不死鳥教団は貴重な書物の複製を探し出すことができた。

続いても歴史学者モースの筆録。

「but at Joshua’s request, (ジョシュアの要請により)

これも細かい話ですが、モースの筆録の複製 (要はオリジナルではなく出版されたものという意味だと思います) は、不死鳥教団が勝手に探していたわけではなく、明確にジョシュアからの意志があって探した、という情報が読み取れます。

つまり、不死鳥教団に保護され目覚めたジョシュアが、そこに既にあったモースの筆録を見て何かに気付いたわけではなく、目覚めてから、フェニックスゲートで感じた多くの疑問や違和感を整理した結果、「モースの筆録を探して読む必要があるのでは」という結論に至っているということですね。

フェニックスゲートの悲劇や、そこから不死鳥教団によって助けられたこと自体はジョシュアの想定の範囲外だったとは思いますが、イフリートとの戦闘中にも感じていた「火の召喚獣が2体現れたこと」そして「フェニックスゲートの地下にある遺跡の存在」を見て、聡明なジョシュアは、何か大きな存在が、何か大きなことをしようとしているんじゃないか、という不安や疑問が浮かんだのかもしれません。

個人的にはジョシュアが目覚めるまでにも実は数年くらいは経っているのでは?と思っているので、仮にそうだとすれば、目覚めてから兄のその後を不不死鳥教団に確認し、"ベアラーにはなっているが無事ではある" ことを聞き、「フェニックスが与えた能力と、クライヴ本人の強さがあった上で、数年間変化がおきていない今の環境にいる方が、クライヴ自身は安全かもしれない」と読んだジョシュアは、単独行動での調査に向かったのかもしれないですね。

短い文章ですが、ジョシュアの意志が見える、好きなロアです。


20.ヴァリスゼア食紀行

(日本語)
魔物料理の調理法がまとめられた本。食材が古い言い回しで記されている。魔物の煮込みシチューは、鮮烈な臭みを超えた先にとろけるような肉の触感と芳醇な旨味が広がり、一度食べたら癖になる。魔物レバーのフリットは、濃厚な食感と共に薬草の爽やかな香りが駆け抜ける一品。どちらも隠れ家の人気料理に仕上がった。

(英語)
An ancient recipe book that instructs one how to make toothsome fare from the game of the realm—though the outdated tongue in which it is penned makes it difficult to divine precisely what beast is being proposed for the pot. It was discovered in the shelves by Yvan as he hunted for inspiration to expand his culinary repertoire.

And expand it he did, summoning forth the “Chancer’s Stew”—a piquant, some might say putrid ragout of scorpion tails, whose flesh was as soft as the silt of the swamps in which they live, and the flavor similarly comparable. The hideaway’s head chef Molly was not to be outdone, however, drawing from the Pilgrimage’s pages a “Fried Mortress of Skyworm.” The dish, consisting of wyvern livers sauteed with saint’s bonnet, was heralded a tour de force among those who tasted it.

(翻訳)
古代のレシピ本には、その土地の獲物を使った、歯応えのある料理の作り方が書かれている。とはいえ、時代遅れの言葉づかいで書かれているため、どのような獣が鍋に使われるのかを正確に知ることは難しい。この本は、イヴァンが料理のレパートリーを増やそうと名案を求めていた時に書棚から見つけたものである。

そして彼はレパートリーを増やし、「Chancer’s Stew (チャンサーのシチュー)」を生み出した。それはサソリの尻尾のピリ辛の、腐敗したとも言える煮込み料理で、その身はサソリの生息する沼地の泥のように柔らかく、味もそれに匹敵する。隠れ家の料理長モリーも負けじと、"巡礼" のページから「Fried Mortress of Skyworm (スカイウォルムのフライドモートレス) 」を抜粋してきた。ワイバーンの肝臓をsaint’s bonnet(セインツボネット)でソテーしたこの料理は、味わった人たちの間で絶品と評判になった。


【筆者付記】スコットランドの帽子の見た目に由来するScotchbonnet(スコッチボネット)という唐辛子が存在しているので(ハバネロと同じくらいの辛さ)、saint’s bonnet(セインツボネット)も、聖者の帽子の見た目に由来する、ヴァリスゼア独自の香辛料だと思われます。

続いてヴァリスゼア食紀行。

これもめっちゃ好きなロアですね。こういう、やっちゃってるロア、あと3000個くらいあってもいいです。

内容は訳せない部分も多々あったんですが、「Chancer」は「自己の利益のためまたは刺激を求めて危険を求める人、冒険家」とも訳せるようなので、「Chancer’s Stew」=「冒険家のシチュー」でしょうか。

「Fried Mortress of Skyworm (スカイウォルムのフライドモートレス)」は「Mortress」の意味がわかりませんでした…。「worm」はFF16におけるドラゴネット種の呼び名でもあるので、ドラゴネット種のワイバーンの肝臓を辛めの香辛料(セインツボネット)で焼いた料理って感じですね。

セインツボネットに関しては上記の【筆者付記】にも書いてありますが、似た様な香辛料があったので、これはヴァリスゼアオリジナルかもしれないです。聖者の帽子がどんな形かわからないですが、それがわかれば、もしかしたら似た様な野菜が、ゲーム内の市場で売ってるのに気付けたりするかもしれないですね。


21.ロゴス

(日本語)
次元の狭間にて、自我を保ち幻に抗ったクライヴのことをアルテマが称した名。アルテマの器たるミュトスではなく、アルテマと肩を並べる存在へ変わりゆくクライヴを、アルテマは偽りの神ロゴスと呼び、危機感を露わにした。

(英語)
Where Ultima uses “Mythos” to describes the vessel he has long awaited—one into which he can pour his soul and cast his supreme spell, “Logos” indicates its blasphemed form—a vessel over which the will of another has complete claim, making of itself a false god.

(翻訳)
アルテマが長い間待ち望んでいた器、つまり彼が魂を注ぎ込み、至高の呪文を唱えることができる器を「ミュトス」と表現しているのに対し「ロゴス」はその冒涜された形、つまり他人の意志が完全に主張する器を示し、それ自体が偽りの神なのだ。

続いてロゴス。ここから、アルテマ近辺の興味深い情報が続きます。

これも、英語ロアは全文に渡って割と日本語よりもわかりやすく感じたので、部分抜粋は略します。書いてあることは、

ミュトス=アルテマが長い間待ち望み、アルテマ自身が魂を注ぎ込んだ器

ロゴス=他人の意志から主張された偽りの器、ミュトスへの冒涜。

みたいな感じなんですが、自分なりの解釈を例えると、ヴァリスゼアという作品に関連する最終決定権は、作りだしたアルテマに全ての著作権があるので、アルテマが作った作品の二次創作も三次創作も本来は全てその全ての権利はアルテマに帰結するはずなんですが、アルテマが寝てる間に色々と生まれた創作物の1つが、アルテマの知らぬ所で勝手に主人公になってしまって、それを周りが承認してしまった感じでしょうか。

アルテマとすれば、自分こそが生み出したものの全ての権利者であり、その生み出したもの同士が勝手に考えて、新たにアルテマ以外の神(管理者)を決めるなんてのは、有り得ない話であり、自分が作り出した作品への冒涜そのものなんだと思います。

会社で言えば、創業者の社長が休んでる間に、その社長が手をかけて育ててきた社員が、勝手に開かれた株主総会で新たな社長として承認されかけてるみたいな感じなので、危機感も不快感も感じますよね。ちょっとアルテマが可哀想にも思えてます。


22.自我

(日本語)
思念によってつながれる個の意思。また、生存や豊かさを願う人の欲。アルテマによって自我は穢れであるため、それを捨てたアカシアを"無垢なる存在"とみなしていた。そのため、原初の楔を発動し、すべての人をアカシアに変えることで自我の消滅を目論む。

(英語)
That which separates humans from animals and is given shape by consciousness: a sense of self, and a freedom of thought. Even when one is deprived of other freedoms, it is one’s will that drives the pursuit of true liberty. To Ultima, however, human will is a sickness that prevents them from taking their proper, divine form—that of the Akashic who blindly serve his own purposes. To this end he casts Primogenesis, transforming much of humanity into his soulless servants.

(翻訳)
人間を動物から区別し、意識によって形づくられるもの、それは自己意識と思考の自由である。他の自由を奪われたとしても、真の自由を追求する原動力となるのは自分の意志である。しかしアルテマにとって人間の意志とは、本来の神聖な姿、つまり盲目的に自らの目的に奉仕するアカシアとなることを妨げる病である。この目的のために彼は原初の楔を唱え、人類の多くを魂のない下僕へと変化させた。

続いて自我。

これも、英語ロアは全文に渡って割と日本語よりもわかりやすく感じたので、部分抜粋は略します。「自我」という概念自体は現実にも存在していますが、英語ロアの方がより、wikipedia的というか、概念についても詳しく触れている印象を受けました。

「アルテマにとって人間の意志とは、本来の神聖な姿、つまり盲目的に自らの目的に奉仕するアカシアとなることを妨げる病である」という文章が、人間とアルテマを決定的に分断する、根本的な価値観の違いですね。

日本は無宗教なので「信じる」という概念を神よりも、人間に向けている人が多いと感じる時があります。海外では、絶対的な位置に神がいる国 (法律よりも宗教としての決まりが上である国) も多くあるので、こういった考え方は海外の方がより理解しやすいのかもしれないですね。

個人的にはこういった部分も、FF16の思いを馳せる部分なんですよね。

人は盲信的に何かを信じていた方が幸せなのか、それとも、自分を信じ自分で進む方向を決めた方が幸せなのか、考えることがあります。クライヴ達は自らの足で自分達を信じ、先へ進むと決めました。誰かに導かれるのではなく、ただ待つのではなく、自分で決めて進もうとした、それがFF16のひとつのメッセージでもあると捉えています。「自分で考えて、自分を認めて、自分を信じて、進んでほしい」というメッセージです。

ただ、今もこうしてFF16の世界観を追い続けている自分は、自分で考えて進んでるように自覚していても、創造主に囚われている信奉者のひとりでもあるので、あと1500年くらいしたら、クライヴの様に創造主(開発メンバー)に決別の右ストレートを入れられる日がくるのかもしれませんね!(全然こなくていい)


23.思念の鎖

(日本語)
人の生み出した自我をつなぐ思念について、アルテマが称する呼称。アルテマは、人が他者から願いや思いを受け、その思念が絡みつくことで自我をより堅固にしていると考えた。その鎖を断ち切るため、原初の楔によってすべての人を自我のないアカシアに変えようとした。

(英語)
The fellow feeling that binds a person with those they love, and who love them. So long as these bonds remain strong, so too does a human’s grip upon their will. Ultima cast Primogenesis in order to sever these bonds of consciousness, that humanity might lose their wills and turn Akashic, and that his vessel might be perfected.

(翻訳)
愛する人、そして愛してくれる人と人とを結びつける仲間の感情。この絆が強い限り、人間の意志もまた強く握られる。アルテマはこれらの意識の絆を断ち切るため、そして人類が意志を失いアカシアとなることで自分の器を完成させるため、原初の楔を唱えた。

続いて思念の鎖。

「The fellow feeling that binds a person with those they love, and who love them. So long as these bonds remain strong, so too does a human’s grip upon their will. (愛する人、そして愛してくれる人と人とを結びつける仲間の感情。この絆が強い限り、人間の意志もまた強く握られる)

これも凄く好きなロアですね。新しい新情報が書いてあるようなロアも好きですが、こういう感情に踏み込んだロア、凄く好きです。

これは特段改めて何か書く必要もないんですが、ロアに書いてある通り、愛する人がいて、愛してくれる人同士が強く結びついていれば、人間の意志はそう簡単にはブレないってことですね。その通りだと思います。自分も誰かを愛して、そして愛される人間でありたいと思いました。


24.理

(日本語)
決して揺らぐことがない世界の規律。世界を創造した神という立場から、アルテマが自らのことを称する際にも使う。

(英語)
In Ultima’s eyes, mankind’s greatest sin is the awakening of free will—his servants straying from the path their creator laid out for them and forging one of their own. However, Clive contends that this is a sin by which Ultima is equally bestained—and indeed, if humanity is indeed Ultima’s creation, does not their every action, every emotion stem from him?

(翻訳)
アルテマの目には、人類の最大の罪は自由意志の目覚め、つまり、彼のしもべたちが創造主の定めた道を踏み外し、自ら道を切り開いてしまったことであると映る。クライヴは、この罪はアルテマも同じだと主張する。実際、もし人類がアルテマの創造物であるならば、彼らのあらゆる行動や感情は彼から生じたものではないだろうか?

続いて理。

最後が「?」の疑問形で終わる数少ない英語ロアのひとつです。日本語ロアには疑問形で終わるロアは無かったはずです。

ここまでのアルテマ周りの英語ロアで読み取れた内容が、もう一度詳しく書いてありますね。

「アルテマの目には、人類の最大の罪は自由意志の目覚め、つまり、彼のしもべたちが創造主の定めた道を踏み外し、自ら道を切り開いてしまったことであると映る」と書いてあります。

アルテマはどこまでいっても、この概念から抜け出せなかった、ある意味そこが可哀想な生命体でもあります。しかし、創造主とするなら、やはりそこから派生した全てのものが、自分へのリスペクトもなく勝手に意図しない方向に行くのは、やはり納得いかないことなのでしょう。そしてこの文章、

「クライヴは、この罪はアルテマも同じだと主張する。実際、もし人類がアルテマの創造物であるならば、彼らのあらゆる行動や感情は彼から生じたものではないだろうか?」

このクライヴの言い分も正しく見えますね。Twitterでアルテマを「ブラック企業の社長」なんて例え方をしていましたが、正確に言えば「親」ですよね。子供は親を見て育ち、良くも悪くも親の能力や素質を継承していきます。なので、アルテマvsクライヴは、時代を超えた壮大な親子喧嘩の様な状況に見えます。現実でも親が子供に思うエゴと、子供が親に思う憤りの様な感情に近い気がします。

親は子供をひとりの人間として認識して見下さないこと、そして子供は親もまたひとりの人間として完璧ではないと理解すること、そういうことが必要なんだと思いましたが、きっとそれが難しいんですよね。

アルテマはある意味純粋で、完全な悪意をもっているわけではないからこそ、少し切なくなってしまいます。人間から見ればそのアルテマの純粋さこそが悪意に映るんですけどね。


25.真あるべき世界

(日本語)
アルテマが創世する世界。バルナバスを含めた救世主信仰の信者は、創世によって誰もが等しく静かな生を全うできる世界ができると信じていた。だが実際は、黒の脅威から逃れたヴァリスゼアへと流れ着いたアルテマが、新たな理に基づき自らのためだけに構築する世界であり、創世をもって人を滅せられる計画であった。

(英語)
The paradise Ultima seeks to summon into creation— one free from the Blight that almost ended his race. Though Barnabas believed that he and his fellow faithful would be allowed to join his deity there, he was mistaken. Only Ultima and his kin shall have a place in this new paradise—a paradise freed not only from Blight, but from humanity.

(翻訳)
アルテマが創り出そうとしている楽園は、彼の種族を滅ぼしかけた疫病から解放されたものだ。バルナバスは、自分や仲間の信仰者たちがそこで神に合流することを許されると信じていたが、それは間違いだった。アルテマとその一族だけが、この新しい楽園に住むことができる、つまり疫病からだけでなく、人間性からも解放された楽園だ。

続いて真あるべき世界。

これは「11.救世の予言」の内容でも書いた部分の補足にもなります。救世の予言の真相、本来のアルテマの考えが書いてあるロアですね。

バルナバスが信じていた救世の予言、日本語ロアでは「忠篤き守り人は、稀なる幸いを手に入れるであろう」と書いてありましたが、この「稀なる幸い」、英語ロアで言えば「最大の喜び」と表現されていた部分を、マリアス教信者達は「神と合流出来る」と読み取っていましたが、実際はアカシア化して自我を放棄させられるだけでした。

アルテマが仲間の為に、みんなで暮らせる場所をなんとか作ろうと考えるところまではクライヴやシドが作った隠れ家と一緒なんですよね。ただ、そこで暮らす仲間達と力を合わせて対等に生きようとしたクライヴ達と、自分達が見下す人間という創作物にその全てを任せて眠りについてしまったアルテマの違いがあったんだと思います。


26.創生

(日本語)
完全生命魔法レイズを発動し、その先で真あるべき世界をつくり出すこと。アルテマの目的はレイズによる一族の復活であり、復活した彼らはひとつとなって新たな世界の理、すなわち神として君臨する。人はアルテマにとって、自身の器を生み出すためにつくり出した肉塊に過ぎず、創世をもって滅ぼそうとしていた。

(英語)
Many of the savior myths of the Valisthean tradition speak of the "Raise"—the ascension of the faithful to paradise. Assuming these myths have their roots in the teachings of the Circle of Malius, one might assume that this feat is one and the same with the spell that Ultima requires his vessel to cast—though Ultima's "Raise" will not save his faithful, only revive his own race and usher them and them alone to the remade world.

(翻訳)
ヴァリスゼア伝承の救世主神話の多くは「Raise(レイズ)」、つまり信仰者の楽園への昇天について語っている。これらの神話のルーツがマリアス教の教えにあると仮定すると、この偉業はアルテマがその器に唱えるよう要求する呪文と同じものだと考えることができるかもしれない、しかし、アルテマの「Raise(レイズ)」は、信仰者を救うのではなく、自分の種族をよみがえらせ、彼らだけを作り直された世界へと導くだけなのだ。

続いて創生。

これもひとつ前の「真あるべき世界」を補足するようなロアでもあります。楽園(天上)へと導かれるような表現は、信奉者を救う表現ではなく、あくまでアルテマの同胞を救う為の表現だったということですね。

これは、勝手にそう読み取って勘違いした人間側が悪いとも取れるし、アルテマが人間達を信仰によってコントロールしやすくすため、意図してそういう表現を残したのかもしれません。

おそらくこうした、ロアの翻訳や残されたテキストで考察している自分自身も、おそらく創造主 (FF16開発メンバー) が入れ込んだ以上の余計な内容を勝手に読み込んでいたり、多々誤解して理解していたりすると思うので、この先、新情報が出た時にはちゃんとその内容も理解・納得して、自分なりの新しい考えや考察に繋げていきたいですね(自戒)


27.古き竜

(日本語)
マザークリスタルに付けられた名の由来。マザークリスタルとそのコアは、ヴァリスゼアに辿り着いたアルテマの同胞たちがその身を変化させた姿である。ひとり残されたアルテマは、ヴァリスゼアに存在した古き竜を創世につなぐ翼として、かつて同胞であったマザークリスタルに竜の部位の名を付け、自らも眠りについた。

(英語)
Having conceived their plan to siphon the land's aether and use it to restore the planet, Ultima's brethren transformed themselves into the Mothercrystals and the hearts contained within them, leaving only Ultima behind. To hide their true purpose, Ultima then named each Mothercrystal after the parts of an ancient dragon, and left mankind with the legend that remains today.

(翻訳)
大地のエーテルを吸い上げ、そのエーテルで惑星を修復するという計画を思いついたアルテマの同胞たちは、アルテマだけを残してマザークリスタルとその中に宿るコアに姿を変えた。そして彼らは真の目的を隠すため、それぞれのマザークリスタルを古代のドラゴンの部位にちなんだ名前にし、今日に残る伝説を人類に残した。

最後は古き竜。

ひとつ前で「自戒しなきゃ」とか反省しながらも、この「世界と事象」最後のロアにはどうしても気になって妄想してしまう文章が入っています。

「Having conceived their plan to siphon the land's aether and use it to restore the planet,Ultima's brethren (大地のエーテルを吸い上げ、そのエーテルで惑星を修復するという計画を思いついたアルテマの同胞たち)

「the planet」、惑星です。何回訳しても「惑星」と出ました。この「planet」という単語は、本編中ではわかりませんが、英語のロアでは690種類中、このロアにしか登場しません。そしてこのロア中には「真の目的を隠すため」とも書いてあります。これは「アルテマの仲間を蘇らせる」というのが真の目的なのか、「惑星を修復する」というのが真の目的なのか、どっちの意味なんでしょうか?

アルテマは最初からヴァリスゼアには興味がなくて、あくまで興味があったのはヴァリスゼアのエーテルだった。ヴァリスゼアのエーテルで、同胞と自身が生まれた星の修復さえ出来れば、オリジンに乗って、またその星に帰るつもりだったんでしょうか?

そう仮定すれば、ヴァリスゼアの黒の一帯化が進むことにも割と無頓着だったのも納得いく気がしますよね。アルテマからすれば、大地を生かさず殺さず、黒の一帯が出ないように長時間エーテルを吸う事が一番望ましかったけれど、自身が作り出した人の手によって黒の一帯が発生し、もうさっさと必要量集めて切り上げたかったのかもしれないです。

ヴァリスゼアという量さえ守れば無尽蔵にエーテルを引き出せる大陸に、それを不用意に利用する人間さえいなければ、今後は自分の星は割と安定しますよね。現実で言えば、大国が小国の燃料資源に目を付けて、そこの人間を逆らえない支配下に置き、そこの資源を使い続ける事が出来れば、大国の土地は豊かなままで済む感じでしょうか。

日本語版で本編をやっている時、最後のオリジン内の会話でずっと気になったことがあったんですよね。ここなんですが、

アルテマは「かの地で蘇る」と言っています。

かの地とは、「聞き手話し手どちらにとっても遠い場所」を示すのが一般的です。つまり、この時のアルテマは、同胞は「遠い場所」で蘇ると言っているんですよね。確かに、普通に考えれば亡くなった人が生き還るのは、その亡骸がある場所なのが自然です。しかし、アルテマのいた星は黒の一帯に沈んだはずですよね。

つまりアルテマは、自分の同胞を生き返らせるにしても、星に枯渇したエーテルを戻さないと、結局同胞はまた黒によって死んでしまうと考え、星そのものを甦らせるだけのエーテルと、同胞を甦らせるエーテル、その両方を必要とした、もしくは、アルテマはエーテル体のようなので、星さえ甦れば同胞も必然的に甦るのかもしれません。それならば、このシーンで「かの地で蘇る」と表現するのも納得がいきます。

では、その「かの地」、アルテマがいた星とはどこなんでしょうか。一番可能性が高そうなのはそう、メティアです。

これも実は可能性や考察の1つとして頭にはあったんですが、根拠もなにもない想像だったので、特に触れてはいませんでした。今回の英語ロア翻訳で唐突に「planet」が出てきた事で、その可能性が少し現実的になった気がします。上記の「かの地」表記と繋がった感じもしました。

「アルテマの元いた星はメティアであり、マザークリスタルとオリジンを介して、メティアにひたすらエーテルを送り込んでた説」です。

オリジン崩壊後、エーテルを送る機能が停止し、完全復活とならなかったメティアは、取り巻いてるエーテルが消えた事で赤くなくなった、という解釈ですね。勿論そうであってもそうでなくても、ジルがメティアが消えたことで不安になって泣きだしたような解釈に変化は無いのですが、少なくとも、メティアが唐突に消えたわけではない事の、理由の1つにはなりそうだなと思っています。

皆さんはどう思いますか?



という事で英語翻訳ロア「世界と事象」編はこれで終わりにします。133ロア中27ロアをピックアップしましたが、247ロアあった前回の「登場人物」編よりも長くなってしまいました。他にも読んでいて面白いロアはあるので、この記事の最初に貼ったPDFを暇な時にでも読んでみて下さい。

次は「地理と情勢」「召喚獣と魔物」編のどちらかを書こうと思います(翻訳終わり次第)。

読んでくれてありがとうございました!
FF16と読んでくれた方に愛を込めて!!!

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