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FF16のそれぞれのドミナントに対して思う事。その①ベネディクタ

各ドミナントに関して思う事、またそれにまつわるイベントで感じた事なんかを、自分の感想や考察も含めて、またちょっと雑に書いてみます。
(3割くらいは本編で出ている断片的な情報を繋ぎ合わせて推察や想像しているので、そういうの大目に見て貰えると助かります)

それぞれのドミナントに思う事①
・ベネディクタ・ハーマン(ガルーダ)

ベネディクタに関しては、序盤で退場してしまった事やシドとの関係性が見えなかった事でモヤモヤしてる人が多い印象があります。個人的には全然モヤモヤしてないですが、ベネディクタの、想像も含めた考察書きますね。

本編では特に、ベネディクタは過去ずっと愛されずに育った、愛を知らない人間として描かれている感じがずっとしていました。

ベネディクタが暴走しガルーダになる前に映った子供の頃のカットシーン、あれは暴漢に襲われそうになった所をシドに助けられたシーンに見えました。両親がいる家に押し入って両親が先に殺された後とも考えられますが、大人になってからあれだけ「捨てられる」事に怯えているベネディクタを考えると、おそらく両親にはもっと前に捨てられ、1人で生きていく中、そこを狙われ襲われそうになった所をシドに救われたように見えました。

シドはベネディクタをベナと呼び、ある意味では娘として、またある部分では1人の女性として、ベネディクタの根底にある自己否定から救ってあげたいと思っていたんだと思います。

実際、シドとミドにも血の繋がりが無いので(ミドのロアに書いてあります)シドは昔から色々な人と関わっては、その人たちが救われる色々な居場所を与えようとしていたんだと思います。その1つが隠れ家だったり、自分の娘として育てる事だったり、そういった事だったのだと思います。


シドがどういう経緯でウォール―ドから出たかはわかりません。しかし、ベネディクタと出会った先でバルナバスと出会い、バルナバスに救われ、2人共ウォール―ドで過ごした時期があったはずです。

シドはその中でバルナバスの恩に報いる為騎士長のポジションにまでなりましたが、ある時からおかしくなってしまったバルナバスに気付き、ウォールードを出たんのかな、と思いました。アルテマに初めて会った時に「お前が奴を狂わせたのか...」と言っていたのは、あの場面でようやくバルナバスを狂わせた元凶がアルテマだとわかり、怒りが沸いたんだと思います。

もしかすると、シドにとっては変わってしまったバルナバス自身も、いつか救いたい1人だったんじゃないでしょうか...。バルナバスがおかしくなった原因も、最初は「黒の一帯が何か影響を及ぼしているのか?」と考え、黒の一帯を調べ出した、そんな事もあるかもしれないと思いました。


ベネディクタはウォール―ドでシドと共に騎士として戦う中で、初めて多くの他人に必要とされ、認められ、居場所や責任感が出来た事で安易にウォール―ドから離れられなくなった気がします。愛を知らない子供が故に、不可解な存在から引き離そうとする大人(シド)よりも、自分を簡単に必要としてくれる身近な存在を優先して、ウォール―ドに残ったのかなと感じました。

おそらくウォール―ドをシドが出る際には、シドが感じるバルナバスの不可解さにまだ子供のベネディクタは理解出来ず、その際シドが残したネックレスを、シドが出て行った後もずっと大事に持っていたのかなと考えてます。ネックレスにはグリフォンと2つの剣がデザインしてあったので、二刀流でバルナバスを守る騎士長というポジションだったシドに、バルナバスが与えたものの様な気がしました。

序盤のバルナバスとのベッドシーンや、フーゴとの恋愛的なシーンも、FF16が大人向けだからああいうシーンを入れた訳ではなく、ベネディクタが必要以上に人に必要とされたがっている、また、誰かに捨てられない為には人との肉体的な関りにも手段を選ばない、という印象付けだと思います。
特にバルナバスとのシーンでは、興味を持って欲しいベネディクタと、興味をそこまで持たないバルナバスという2人の関係性、逆にフーゴは、フーゴ自身の孤独さも感じとれる人は感じ取れる様にあのシーンを入れてる気がしました。

愛されない中で育ち、自分が愛だと思っているものは違うんじゃないか、と薄々本人が気付きながらも、自分が必死で作った居場所を無くさないように、シドに続いて次はバルナバスに捨てられない様に、ベネディクタは必至でしがみ付いていたんだと思います。

しかしクライヴに負け、シドにも「自分を持っている奴は強いんだ」と言われてしまい(暗にベネディクタが自分の意志で動いていない事を指摘した)、更に逃げていく途中、小さくても大切な居場所だった仲間を殺され、ドミナントとして暴走してしまいました。盗賊に襲われる状況で過去のフラッシュバックのシーンを見せているのは、シドに助けられた状況が暴漢に襲われていた状況を示していて、それを思い出した事も暴走の要因の1つになっているのかな、と思いました。

あの場所でベネディクタを襲った盗賊もアルテマに指示されたバルナバスの差し金だと思いますが、どうでしょうか?

ベネディクタを暴走させクライヴ(ミュトス)に食わせる為、ベネディクタ暴走後、アルテマはフードの男としてクライヴの前に現れガルーダまで誘導していました。おそらく、クライヴにガルーダを殺させ、その首をフーゴに送り付けて次はフーゴとの因縁を作る事も、アルテマがバルナバスへ指示していた事なんだと思います。クライヴ達がいなくなった後、ベネディクタの首をそのまま回収する為に、スレイプニルが待機していたんじゃないでしょうか…。(フーゴに届けるまでが凄く予定調和に見えたので)

結局ベネディクタは誰にも愛されないまま(本当は愛されていたけどそれに気付けないまま)、亡くなってしまう。非常に悲しくて、それでいて人間らしいキャラで、個人的には大好きでした。でもちょっと言い方が良くないですけど、こういう女の子リアルでも沢山見ます。そういう意味では凄く現実的というか、愛がわからないけれど愛されたい、誰かに捨てられたくない、と思って生きている今の時代の女性にも重なる部分が多くあるなと思いました。


シドとベネディクタが砦で最初に話した、
シド「こんな夜更けにお祈りか?」
ベネ「異国の神にすがるほど私が飢えてる様に見えるのか?」
の会話も、シドはウォール―ドにいた頃、メティアに祈るベネディクタをよく見ていたのかもしれないなと思うセリフでした。

その頃はただ祈る事しか出来なかったベネディクタも、大人になった今「私はもう飢えてはいない」とシドにアンサーしてる様に見えます。しかし、シドが砦に来ることを知った屋上のシーン、その後クライヴと戦う前に屋上で待っていたシーン、そのどちらもベネディクタは空を見ていました。「私はもう飢えてはいない」とシドに言ったベネディクタですが、今でもシドを想い、きっと何か叶わない願いをメティアにしていたのかなと、そう思ってしまいます。


また、同じく砦でのベネディクタとの会話で、シドは「それでもいつだったかお前は言った、人として死にたいと」と言っていました。

シドは、ベネディクタが唯一本心で言っていたと感じた「人として死にたい」という言葉がきっかけで、いつかベネディクタがウォール―ドから逃げてきた時に、人として死ねる環境を作って待っていたいと思い、ベアラーを救う様な環境を作っていたのかな...と想像してしまいます。

もっと言えば、自分が救えないまま逃げてしまったベネディクタへの罪悪感を薄める為に、ベアラーを救っていた様な気さえします。

クライヴがあっさり口にした「人が人として生きられる場所」という言葉をずっと言えなかったのも、ベネディクタの言った言葉が「人として生きたい」では無く「人として死にたい」だった為に、シド自身「人が人として死ねる場所」なんて後ろ向きな環境を作る事に違和感を覚えながら、いつかベネディクタが自分の場所に逃げてきたらと思うと、「人が人として生きられる場所」というスタンスには出来なかったんじゃないかとも思いました。

生きようとする人間よりも、死にたいと思う人間の受け皿になろうとしたシドの苦悩がとても悲しいし、どれだけの葛藤や後悔を抱えて生きてきたのか考えると、凄く辛くなります。

余談になりますが、個人的に「死にたい」と相談された経験が俺もあります。生きようとする人ではなくて、死にたいと思う人に何か出来る事って本当に少ないんですよね。きっと死んだ方が辛い事から解放される、生きる方がきっと苦しいとわかっていながらも、やっぱり「死にたい」と言われるのは、言われる側もとても辛いです。

シドにとってはそれが、自分が救った生きて欲しいと思う愛する人の1人な訳で、きっと数えきれないくらいの葛藤があったと思うんですよね。

何をしても救えず、唯一本心だと思えるのは死にたいと思っている事で、仮に、バルナバスに対しての想いが信仰対象の様なものだとしても、バルナバスと一緒にいてベネディクタが生きようと思えるなら、それでもいいんじゃないか、自分はいない方がいいんじゃないか、とか色々考えたのかな、とか想像してしまいます。

もし、その先でシドが自分が出来ると思ってやっていた事が、いつかベネディクタが人として死にたいと思った時に、そう出来る場所を用意する事だとしたら、なんて悲しいんだろうと辛くなります。

ベネディクタが亡くなった時、シドはベネディクタに
「お前の望みじゃないだろう、こんなの」
と言っていました。

あれはベネディクタが言っていた「人として死にたい」最期は、ドミナントとして戦った先で死ぬことじゃないだろうっていう意味だと思います。そして、ベネディクタが亡くなった事を悲しみながらも、どこかで「これでもう苦しまなくてすむんだ...」と安堵しているシドがいる気もします。

FF16という作品の中で一番最初に亡くなってしまったドミナントのベネディクタ。それでも個人的に、その人生とシドへの想い、そして、シドの背景を思わせるのにこれ以上無いくらいの人間性を持って現れてくれたキャラだと思います。

シドもベネディクタもお互いがお互いを強く想うからこそ引けないものが出来てしまい最後まで素直になれなかった。どちらかが先に愛してるとちゃんと伝えられて歩み寄れていたら...、と考えずにはいられない、そんなキャラでした。

ベネディクタだけでも一生書き続けられるんですが、長いのでこの辺にしておきます。

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