人生40にして不惑というらしい。
40年人間やったら何事も惑うことなどないそうだ。
本当だろうか？

かくいう私もまもなく40を迎えようとしているのだが、まだ人生で一度もやり切ったことのないものがある。これが非常に心残りである。
40になった瞬間に本当に惑うことがなくなるかは、正直眉唾であるがこのシコリを残したままでは確実に惑うことは間違いない。ならば、達成しなければならないだろう「大河ドラマを最終話まで観切る」ということを。

大河挫折の歴史

これまでに大河に挑戦しようとした事がないわけではない。三谷幸喜作品の「新撰組！」、岡田くんが主演した「軍師官兵衛」、KJが新撰組の斉藤一を演じたと噂の「八重の桜」など、興味も持った作品はいくつかある。数話みたりもした。しかし、続かなかったのである。
日曜の夜という時間帯が最も高い壁となって襲いかかるのだ。必ずその壁にぶつかり、1話見逃し、モチベーションが下がりさらに次を見逃し、その次を見る気をなくさせるのだ。加えて大河はTverにもない。もはやNHKには視聴を継続をさせる気などないのではないかとすら思えてくる。

かと言って、NHKプラスに加入する気にはならない。そこまでのモチベーションを得る前に挫けるのだ。がっつりその大河の世界観にハマるには10話は欲しいところである。
過去に一度、NHKプラスに加入してまで見た作品はある。「あまちゃん」だけはNHKプラスを使って完走した。あれは良い作品だった。無限に時間があれば2週目をしたいほどである。つまり朝ドラ完走童貞は卒業済みである。

心残りはあくまで「大河の完走」である。
しかし、まさに八方塞がりであった。

鎌倉殿が面白いという噂

2022年春頃から、やけに鎌倉殿が面白いと聞くようになった。同僚から、部下から、佐久間さんのラジオから、WEBの記事で、Twitterで。幅広い層の琴線に触れているらしい。
この時点では「鎌倉どの」なのか「鎌倉でん」なのかもちゃんと分かっていない。しかし、エンタメを愛する者として流行っているものに触れない訳にはいかない。なんとかして見てみたいと思うも、この時点で15話ほど進んでいる。先程の法則に従うと既にかなり手遅れである。見たいという気持ちは蕾を見せる程にはなったが、花開く事なくしばし成長を止めるのである。

しかし、その蕾の成長を促すきっかけが生まれたのである。海外ドラマ「Game of Thrones」の新作が公開されたのである。私はこのドラマが好きである。どれほど好きかと言うと、このドラマのTシャツが欲しいためにイギリスに行くほどである。そのTシャツを着て飛行機に乗る際に、保安検査場でスタッフとドラマの感想で盛り上がるほどである。
視聴者にとってはこのドラマを観る前と観た後では、ドラマというものに抱く感情が大きく変わる転換点となるドラマだと確信している。この話の触りはポッドキャストで話しているので聞いてみてほしい。そして、「Game of Thrones」を観てほしい。

さて、話が横道に逸れたが、「Game of Thrones」を好きなことと鎌倉殿がどう繋がってるのか、順を追って説明しよう。

「Game of Thrones」の前日譚「House of the Dragon」は海外ではHBO MAXというサブスクで配信している。しかし、現在日本はHBO MAXのサービスエリア外となっている。そのため、スターチャンネルで配信しているのだが、これを見る方法は今のところU-NEXTというサブスクに加入するしかない。
初月無料とのことなので、我慢できずに加入してしまった。

一通りお目当ての「House of the Dragon」を観ると、せっかくU-NEXTに入ったのだから、何かNETFLIXでは観られない作品を観たいと思うのは至極真っ当な発想だろう。そこで検索ウィンドウに入れたのが「鎌倉殿」である。
果たして、U-NEXTに鎌倉殿はあった。しかし、だからと言ってそう簡単に視聴できるものではないのだ。いくらU-NEXTと言えどNHK作品はU-NEXT内でNHKプラスに加入する必要がある。
あのアイテムを入手するには、あの祠に行く必要がある、といったRPGを想起させる処遇。だがU-NEXTにはポイントというものがあった。
初月無料登録をした私にももれなくその恩恵は訪れた。600ポイントほどが最初から付与されたのだ。NHKに入るには990ポイントが必要であった。
残りの390ポイントは大人の力(金)で消滅させて、いざ鎌倉へと足を踏み入れたのだった。

ネタバレへの恐怖

後追いで観る大河ドラマにおける最大の壁。それはネタバレである。腐っても全国のお茶の間を席巻するテレビ局である。ツイートなどでネタバレを受ける可能性は多分にある。これまでにネタバレに出くわさなかったのは、私のセンサーが立っていなかったというところに寄るものが大きい。一度見始めてしまうからには細心の注意が必要である。
もちろん、歴史をテーマにしている大河ドラマにネタバレも何もない、という意見は理解できる。

しかし、いしかわは日本史がわからぬ。いしかわは政治経済を選択した牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らして来た。けれどもネタバレに対しては、人一倍に敏感であった。

ネタバレへの恐怖心は人をメロスにさせてしまうのである。
そっと「#鎌倉殿の13人」をTwitterのミュートワードを設定した。
ここからはスピードとの勝負となる。

鎌倉殿との蜜月

U-NEXTに加入し、NHKプラスも設定し、障害はすべて取り除いたので、あとは鎌倉へと思いを馳せるのみである。
一抹の不安はある。ここまで前評判を聞いて期待値を高くし、本当に心から楽しめるのか。この時点で相当面白い作品なのだろうと思ってしまっている。設定されたバーの高さはかなりのものである。深呼吸をし、パンパンと頭上でテンポを刻むように手を叩きながら助走に入る。

かくして、鎌倉殿は面白かった。観始めた時点で35話くらい進んでいたのだが、1週間で追いついた。朝歯磨きしながら、電車に乗っている間、トイレ、余剰時間を全て使った。その時間を使える、使いたいと思える作品に出会えることが幸福だと思う。
もちろんエンタメとして高めに設定されたバーも余裕のはさみ飛びでクリアしたのだった。
家族愛、裏切り、組織、恋愛、複数の要素が絡み合って、笑いあり、緊張あり、爽快感ありのストーリーは時に前半の笑いが後半の悲しみに繋がるなど、まさに大河のごとく観る者の感情を激しく揺さぶりながら、やがて果てしない歴史の海へと繋がる。なるほど、これが大河ドラマか。

鎌倉殿の13人の感想

正直、鎌倉殿の感想は他にたくさんの方がnoteに記しているだろう。興味があったら検索してみてほしい。ここでは語り尽くせないくらい面白いのは間違いないから。

鎌倉のその後

この土曜で鎌倉殿は終わってしまう。
早くも義時ロス、政子ロスが始まりかけている。
漫画やドラマなど最終回を迎えた後、キャラクターがどうなったのかスピンオフでも描いてほしいと思う事がある。その願いが叶ったとしても大抵はおまけ程度で、大切に思っていたキャラクターたちのその後がさらっと描かれてしまうことには、感謝と共に寂しさも残る。
ここまで長い事付き合って来たのに、こんなにあっさりと描かれてしまったのか。もっと詳細が知りたいと。
鎌倉殿にしても、最終回を観終えた後、そう思うに違いない。
太郎は？トキューサは？三浦は？北条は？鎌倉は？と。

しかし大河は歴史。膨大なネタバレが残っている。さらっと描かれてなどいない。wikipedaだけでもとんでもない文字量が残っている。
これは、年末年始忙しくなるな。

40目前に惑いはなくなったのか

現時点ではない。とは、言えない。私は、今年の大河ドラマを1月スタートの最初からリアタイすることができていないのである。心残りだ。
やはり、リアタイで１年間伴走してこその大河完走なのではないか、という思いが残ってしまっている。鎌倉殿にとって私は新参者である。叶うのならもっと長いことお支えしたかった。惑っている。。。

次の大河ドラマの主人公は「徳川家康」
明智、織田、と来て最後にさらっと紹介される人。ホトトギスを待っている人。つまり、そんなによく知らない。

主人公はあの松潤、脚本は「コンフィデスマンJP」の小沢亮太さん。期待しかない！1月8日（日）20:00放送開始です。
一緒にリアタイして、むしゃラジで大河トークしましょう！！

いつか、大河ドラマのナレーションをやりたいな。

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というわけで、本日は「大河ドラマ」をいただきました。
ご馳走様でした。
お相手はいしかわでした。バイバイ