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晩秋のアブ(ムダ知識)

最初の投稿からだいぶ間が空いてしまいました、、
何かを継続することは本当に苦手です。

件の感染症により外出の頻度も減り、なかなかフィールドにも出れずにおりましたが、先日やっとフィールドに繰り出すことができました。
その時に見つけたアブでございます。

アイノヒゲボソムシヒキ Grypoctonus aino Speiser, 1928

判りづらいが、かなり毛むくじゃら(2021年11月28日)

おそらくアイノヒゲボソムシヒキ、またはハタケヤマヒゲボソムシヒキと推測されますが、写真しか撮っていませんので正確には判りません。
ネット情報では、なんか黒っぽいのがアイノヒゲボソムシヒキで、黄色っぽいのがハタケヤマヒゲボソムシヒキ、みたいな雰囲気だけつかめましたが、誤同定もあるんだと思います…
この季節で標高1000m付近ですから、それなりに寒かったのですが、まだまだ虫はいますね。個体数に限って言えば、このアブと、あとガガンボの一種が相当数発生していました。
イシアブ亜科っぽい風貌ですが、詳細はこれから調べてみようと思います。腹部の体節の間から剛毛を生じているのがなかなかクリーチャーっぽさがありキモかっこいいですね(褒めてます)。

こいつはかなり黒っぽい。雌雄で差があるのか
日の当たる場所でだけ、飛んでは止まりを繰り返す。日陰には止まらない
こいつもかなり黒っぽい

ムシヒキアブと言えば、シオヤアブが超有名(?)ですが、彼ら彼女らのピークは大体8月前後だと思いますし、他のムシヒキアブも5月くらいから現れ、10月以降はあまり見かけない気がします。私の中でムシヒキアブは真夏の昆虫というイメージでしたが、さすがは圧倒的多様性を誇る双翅目昆虫、探せばこの季節にも見られるようです。
ほぼ通年、成虫を観察できるのがこの人たちの素晴らしいところですね。(ガガンボダマシの仲間は12月にも成虫は見られます。ハナアブ類も温暖な場所であれば2月頃にもみられると思います。)
ムシヒキアブは捕食者としての形態の完成度もさることながら、その大きな複眼や粗い体毛が非常に粗暴なイメージを想起させます。昆虫界のDQNです。

ルリオオムシヒキ Microstylum oberthurii Wulp,1896(国立科学博物館,大地のハンター展 展示標本)。台湾や東南アジアに生息している模様。判り辛いが、翅がメタリックブルーの美麗種。超でかい
山奥で終バスを逃し、タクシーを呼ぶ羽目になった私の相手をしてくれていたマガリケムシヒキ。頸部の体毛だけ、他の体毛と逆方向にカールしていることからこの標準和名である。なおタクシー代は1万円を超えた模様。
超有名人シオヤアブの胸部側面。剛毛に隠れる胸部は、様々なパーツがギチギチに組み上げられたマシーンの如き精巧さ。内部にはバッチバチに筋肉が詰め込まれており、繰り出される飛翔はまさに超絶技巧。加えてその脚には、獲物を逃がさないよう無数の棘を生じている。ムシヒキアブ科の昆虫は双翅目きってのプレデター(捕食者)である。

今回は晩秋にみられるアブを一種紹介しました。この時期でも意外と昆虫は見られます。秋の野山と言えば紅葉がもてはやされますが、あえて虫を探してみるのはいかがでしょうか(?)。普段注目しないところにこそ、新たな知識を見出せるのではないしょうか。

※ムシヒキアブは口器から消化液を注入し、獲物を溶かしてから捕食します。ムシヒキアブがあえてリスクを冒して人間に襲い掛かってくることはほぼ100%ありませんが、刺されると痛みますので、近づき過ぎたり、むやみに手づかみしないようにしましょう。

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