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マッドネスだより

やはり疲れている。疲れないわけがない。なぜなら春だから。むろん夏は夏で疲れる。屋外は暑く、屋内は冷房が効きすぎていて寒いからだ。冷たい飲み物を飲んだりアイスを食べたりするから腹も下しやすい。腹の調子が悪ければ当然胆力も湧かない。日の出が早いのも夜型生活者にはつらい。夏に比べるとたしかに秋は過ごしやすい。けれども、過ごしやすいからこそ活動的になり、疲労を招きやすいといえる。スポーツに芸術に読書に食欲に欲張りすぎてしまうのだ。冬は寒いから当然疲れる。冬は生きているだけでカロリーの消費が半端ではなく夏よりもむしろ痩せやすいそうだ。師走の忙しさをなんとかやり過ごし、年末年始はゆっくり休めるかと思いきや、帰省や旅行をし、人混みにもみくちゃにされて疲れる羽目になる。かようにして疲労には四季折々の表情があり、どれも甲乙つけがたい。結局のところ、この地上に疲れない季節など存在しないのだと悟り、落涙した。

空気がぬめぬめしていて気持ちが悪い。春は詐欺師のような物腰をしている。不安をつんつん刺激したり、調子の良いことを並べ立てて人を良い気にさせたりしたうえで、身ぐるみを剥がし、破滅へと追い込んできそうな雰囲気がある。その口ぶりは意識をとろんとさせ、我々を眠った状態に留めおこうとしている。だから春は無限に眠い。もはや詐欺にあっていようが一生寝ていたいし、一生起きたくない。こんな状態では頭も冴えないし、無力感にも苛まれて何も捗らない。

日曜日に美容院で髪を切り、紀伊国屋で買い物して、モンスナックでカレーを食べたのち、コメダ珈琲で読書して、TOHOシネマズで映画を一本観たら、とてつもなく疲れてしまった。客観的には充実した休日の過ごし方だとはいえるものの、主観的には到底リフレッシュにはなったとはいえない。平日の疲れにトドメを刺す結果となった。

既に多くの人が気づいているように休日が週に二日程度ではどう考えても足りていない。最低でももう一日必要だ。水曜あたりを本来的な意味での休日にし、もっぱら休養にあてたら良いと思う。そして土日は、好日(すきじつ)、遊日(あそじつ)、楽日(たのじつ)、最高日(さいこうじつ)、イェイ日(いぇいじつ)、ワァ日(わぁじつ)、キャア日(きゃあじつ)、うひょう日(うひょうじつ)、たまらん日(たまらんじつ)のようなテンションが高まる名前を当てて、皆が思い思いにアクティブに過ごしたら良いのではないか。要するに体を休めることに特化した休日が週にもう一日ほしいという話である。

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