見出し画像

レコード芸術ONLINEの成否は、初心者の獲得にかかっている

レコード芸術ONLINEのクラウドファンディングに注目しています。雑誌という視点に限ると、どうやって存続するかという、界隈の話になってしまいますが、大枠で考えると、今回の件は、「クラシック」が抱える問題そのものであり、今後の試金石になるようにも思うからです。

どうやって新たなファンを獲得するのか。
問題は、ほぼ、この一言に集約されるように思います。

レコ芸ONLINEのターゲットは、コア層、潜在層、ビギナー層(レコード芸術初心者)とのことですが、今回のクラウドファンディングで支援をするのは、恐らく、大半がコア層です。

でも、コア層だけで雑誌「レコード芸術」を支えきれなくなったから、休刊、クラウドファンディングとなったわけです。仮にクラウドファンディングが成立しても、コア層以外の層を開拓し、有料会員を増やしていかなければ、結局、2年目以降は継続できなくなってしまうように思います。

有料会員を増やしていくためには、支援してくれたコア層だけを向いて運営をするわけにはいかない。ビギナー層の獲得につながるコンテンツの提供を視野に入れなければならない。ここに大きなジレンマが生じるように思います。

でも、これって、今回始まった話でなく、コンサートも、音楽本も、「売れるとわかっている人に売る」という思考の呪縛から、逃れられないでいるように思います。

先細っていく需要を、どうやって大きくしていくか。

他業界を見てみると、初心者を取り込む工夫を精力的に行った業界が、時間をかけて実を結び、今、盛り上がっているように感じます。野球ではボールパークを作り、野球に興味が薄い人もまずは球場に来られるようにしています。バスケ、バレー、卓球などでも、会場をショーアップして、積極的に初心者を取り込んでいますね。将棋では戦況を可視化することによって、初心者でもハラハラドキドキする中継を実現しました。その他、競技のルールにまで踏み込んで、改善を図っている例も出てきています。

コアなファンからすると、受け入れ難い変更でも、業界がしぼんでしまったら、結局、共倒れになってしまう。それを見越して、リーダーシップを発揮し、改革に踏み切れるか。そういうことが問われているように思います。

「一般の人の感覚」を音楽教室に取り込むことを仕事としている身としては、今回のクラウドファンディング、注目しないではいられません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?