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#43 ボーイジーニアス『ザ・レコード』

服部さんへ

  しかるべき時期まで、休止にしてもいいのでは? こういうのって、多分に気分に左右されますし。いや、休止にして、マック・デマルコもパラモアも聴けたタイミングで、リスタートすべきだと思います。仕事ではないし、服部さんがやりたかった『往復書簡』じゃなくなってしまいますので。
 さて、東儀秀樹ですが、アルバム・ジャケットがいいですね。すっとぼけていて、笑わせてくれます。内容的には、プログレ・ファンゆえに勝手にハードルを上げてしまっていたのか、正直あまりプログレっぽさを感じることができず、むしろフュージョンに近く聴こえました。
 ただこの方、『2001年宇宙の旅』やら『ゴッドファーザー』やら、映画音楽をヒチリキでカヴァーしたりしているし、面白いことをやっていますね。雅楽師でありながらも、その凝り固められたイメージを自ら壊そうとしているように感じられて、僕は好きです。

ボーイジーニアス『ザ・レコード』

 前回のパラモアで「つながった!」と書いたボーイジーニアス(ジュリアン・ベイカー、フィービー・ブリジャーズ、ルーシー・ダッカスによるプロジェクト)が、タイミング良くニュー・アルバムをリリースした。まずはとにかく、アルバム・タイトルが最高。そして、前作EPにも増して、バンドのケミストリーが最高だ。
 何か取り立てて特別なことをやっているわけでもないのに、聴いていて深く心に沁みてくるのは、曲と歌とコーラス・ワークが美しく、サウンドがナチュラルで、体温が伝わってくるような感覚を味わえるからだろう。歌詞の意味がほとんどわからないままで聴いても、感情や心象風景といったものが浮かび上がってくるし。いや、曲も歌もコーラス・ワークも美しいことが普通になっていること自体、普通のバンドじゃないってことか。

 僕は、MVでアーティストの印象が変わることが、あまりない。いや、あるかな。まあどっちでもいいとして、自分たちで撮影したというこのリード曲(?)のMVが、また最高だ。彼女たちをさらに好きになってしまった。異性間の友情否定派ではあるけど(聞いちゃいないですね)、こういう友達がいたら楽しいだろうなあ。
 このバンド、実は歌詞の評価も高い。入手して、ぜひチェックしたいと思う。3人それぞれの個性もしっかり反映されているので、1曲ずつ、誰が詞と曲を書いたのかを考えながら聴き進めるのもおもしろそうだ。
                              鈴木宏和

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