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#77 ザ・ラスト・ディナー・パーティー『プレリュード・トゥ・エクスタシー』

服部さんへ
 『カラーパープル』のサントラ紹介、ありがとうございます。おっしゃる通りミュージカルが苦手なので、劇中歌部門は至って冷静に聴いていたつもりでしたが、ファンタジアという人の歌声に胸が熱くなりました。映画の主人公でもあるんですね。映画もちょっとだけ、観てみたくなりました。
 そして後半。ほんと、メンツがすごいことになっていますね。うれしかったのが、セレステが参加していること。最近のお気に入りなんです。まさに僕が好きなセレステの歌唱表現で、聴きごたえ十分でした。以前ここで服部さんが紹介してくれた、ジョルジャ・スミスのゴスペルとのコラボ(?)も、いいですね。メアリー・J姉御のブルージーなヴォーカルにも唸らされるし、特にR&Bやヒップホップのファンは絶対にチェックしておくべき一作だと思います。
 さて、今回の僕からのレコメンドは、イギリスの新世代5人組バンドのデビュー・アルバムです。

ザ・ラスト・ディナー・パーティー『プレリュード・トゥ・エクスタシー』

 今どき5人組ロック・バンドって、なかなか珍しいなと思っていたら、全員が女性。ブリット・アウォード新人賞に選出されるなど、すでに本国UKで大きなバズを起こしている、サウス・ロンドンの超個性派だ。
 ライヴには強制ではないもののドレスコードを設けているという、彼女たちが鳴らすのは、グラム・ロックやゴス、ポスト・パンク、ニュー・ウェイヴなどに通じる、妖艶でダークな美をまとった魅惑のサウンドで、聴くほどに天使にも悪魔にも思えてくるヴォーカルのアビゲイルの澄んだ歌声がまた、病みつきになってしまう。
 ソフィア・コッポラやデヴィッド・リンチらの影響を感じさせるMVも秀逸で、楽曲のあまりの素晴らしさも含めて、僕はこのデビュー・シングル「No
thing Matters」で、一発で打ちのめされてしまった。

 記事などで見るヴィジュアルからも、バンドとしてのこだわりが伝わってくるし、デビュー作のジャケット写真を遺影(ですよね、間違いなく)にするセンスも、ベタと言えばベタだが僕は断固支持したい。
 サウス・ロンドンは、個人的に好きなブラック・ミディやシェイム、ブラック・カントリー・ニュー・ロードらの拠点でもあるだけに、信頼度は大。新世代からまた楽しみなロック・バンドが出てきてくれて、うれしい限りだ。ライヴもぜひぜひ観てみたい。
                              鈴木宏和


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