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#76 サントラ『カラーパープル』

鈴木さんへ
 ザ・キッド・ラロイ、20歳ですか~。21世紀生まれだもんなぁ、と思いつつ聴いたら、さすがコラボしただけあって、ジャスティン・ビーバーに声が似ていますよね。さらに共演者にロバート・グラスパーがいるとのことで、親近感を覚えました。確かにいい楽曲だし、将来性もある新人だと思うので、ついつい老婆心が発動されてしまって、成功しても周囲に惑わされることなく、自分の音楽を極め続けてほしいなどと思ってしまいます。
 さて、私が今回取り上げるのはミュージカル映画『カラーパープル』です。鈴木さんは、もしかしたら、ミュージカルはそんなに得意じゃないかもしれないけれど、後半にぜひ注目して欲しいです。ただ、それらの動画があまりないので、映画の予告編も添えますね。
 それから『カラーパープル』とは全然関係ないところで、このところまたハマっている楽曲と動画があります。ひとつがアイスランド出身のアウスゲイルとアーニー・マーグレットがデュエットした『パート・オブ・ミー』。さらにこちらは動画はないのですが、マムフォード&サンズとファレル・ウィリアムスが初コラボした『Good People』、カッコいいですね。

サントラ『カラーパープル』

 1985年の映画『カラーパープル』が20年後にブロードウェイでミュージカル化されて、さらに今回ミュージカル映画となった。85年の映画ではクインシー・ジョーンズが音楽を担当し、劇中では手遊び歌、ゴスペル、労働歌など黒人文化にはなくてはならない音楽が日常風景を描くなかで登場していた。その作品を今あらためて観ると、ミュージカル化を提案した人の目は、確かだし、自然な流れだったように思う。
 そして、ミュージカル化された際は、新たにブレンダ・ラッセル、そう80年代に『ピアノ・イン・ザ・ダーク』などをヒットさせたシンガー・ソングライターの彼女を中心としたチームが楽曲を制作した。そこでもゴスペルや労働歌は、当然生かされていて、劇中ではそれらがダンスパフォーマンスを伴って歌われるなか、私が心奪われたシーンと歌は、姉妹の絆を象徴する手遊び歌「ハックルベリー・パイ」。映画の冒頭を飾るこの歌に、子供って遊びを生む天才って思う。貧しくて何もないなかでも歌であんなに楽しく遊べるのだから…。
 劇中歌は、当然ながらセリフでもあるので、前作映画の核となるセリフがちゃんと歌詞に組み込まれていて、言葉に新たな生命が吹き込まれていることを実感できる。それでも、もしこのサントラが劇中歌のみだったら、ここで取り上げることはなかったかもしれない。

 というのは、全37曲収録の後半は、この名作にインスパイアされて書かれた新曲とリミックス版が収録されているのだが、その人選と楽曲が素晴らしい。アッシャーやアリシア・キーズ、メアリー・J.ブライジといったR&B界のビッグネームもいて、思わず誰が仕掛けたのだろう?と裏事情を探りたくなってくるのだが、その豪華メンバーのなかでも私自身は、以前から気になっていたオクトーバー・ロンドンの歌に心惹かれるし、オススメしたい。マーヴィン・ゲイの再来とも言われる甘美で、高音がとりわけ艶やかなヴォーカルで、ピアノの伴奏のみで歌っていく。そのシンプルさのなかで、コーラスも自身の声を重ねているのだけれど、それがまた良くて、妙にドキドキしてしまうのだ。
                                             服部のり子

こちらがアウスゲイル&アーニー・マーグレットの動画です。

さらに『Good People』は、こちらで聴けます!


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