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新・オーディオ入門123 『2024.1.12 真空管パワーアンプのメリット、デメリット』の用語解説

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

これまで書いてきた新・オーディオ入門の記事の中から解説が必要な用語を取り上げています。

● 出力トランス
トランジスター等の半導体素子は低電圧・高電流で動作し、インピーダンスの低いスピーカーをドライブするには最適な素子です。 しかし、真空管はその特性上、高電圧・低電流で動作する増幅素子で、 スピーカーを直接ドライブすると大きなロスが発生してしまい効率的ではありません。 そこで、高インピーダンスの真空管増幅回路と低インピーダンスのスピーカーとの間に使用し、 インピーダンスが適正値となるようにする電子部品が出力トランスです。 出力トランスは鉄芯に銅線が巻いてあるという単純な構造で、戦前から実用化されている古い電子部品です。 その特性は良いとは言えませんし、とても高価です。良い特性を得るためには、大容量のトランスを使用したり、 高品位な鉄芯を使用する必要がありさらに高価なパーツとなってしまいます。現在では真空管アンプ以外で使用されることは稀です。

● OTL(アウトプット・トランス・レス)
高インピーダンスの真空管増幅回路を並列に多数使用しインピーダンスを下げて、 出力トランスを使用することなく直接スピーカーと接続する回路方式です。 出力トランスはあまり特性が良くありませんので、これを排除するために考え出されました。 真空管を多数使用する必要があるため出力トランスを使用したときよりも高価になってしまいます。 また、多数の真空管のバランスをとることが困難で故障が多いため現在ではほとんど使用されません。

● ヒーター回路
真空管は電子をカソードからプレートに飛ばし増幅を行っていますが、カソードが飛び出す際にはエネルギーを与えなければなりません。 そのエネルギーを熱という形で担うのがヒーター回路です。真空管は電極の中に明るい光を発している部分があります。ここがヒーターです。 ヒーターには2v~12v程度の低い電圧が用いられます。これは電池を使用していた時代の名残です。

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