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ベルリンの壁を壊したDavid Bowie

1987年6月6日、イギリスのロック・ミュージシャン、デヴィッド・ボウイが、ベルリンの壁の西ベルリン側でコンサートを開催した。

 第二次大戦後、分断国家となったドイツは、かつての首都ベルリンも東西に分かれた。社会主義国である東ドイツの建国にともない東ベルリンが同国の首都となったのに対し、資本主義圏である西ベルリンは、東ドイツ領内に取り残された陸の孤島と化した。ベルリンの壁は、東西ベルリン間の住民の移動を遮断するため、1961年に東ドイツにより東西ベルリンの境界線上に築かれたものだ。ベルリンでのコンサートで、ボウイは観衆にドイツ語で「今夜はみんなで幸せを祈ろう。壁の向こう側にいる友人たちのために」と呼びかけた。このとき会場に設置されたスピーカーのうち4分の1は、東ベルリンに向けられていた。壁の向こう側には、コンサート前から若者たちが集まり、その数は5000人にもふくれあがる。終演後も群集はなかなか立ち去らず、東ドイツ当局による逮捕者も出た。

 コンサートを通じて西側の「自由」を知った人々は、その2年後、1989年11月にベルリンの壁を崩壊させることになる。昨年、2016年1月にボウイが亡くなったとき、ドイツ外務省はツイッターで「壁の崩壊に力を貸してくれてありがとう」と弔辞を送った。
文春オンライン

そのライブの時に、壁の向こう側の人々を最も興奮させた曲が、Heroesだと言われています。
このHeroesという曲は、ベルリンの壁の監視塔の下でデートを重ねる恋人達について歌った曲です。

この曲に関して自分が特にとても好きなのは、「Heroes」という曲名です。
Heroes は、ヒーロー達、英雄達、のような訳し方も出来ますが、自分は「主人公達」という訳がこの曲の場合一番しっくりくる気がします。
主人公達、つまり、壁の向こう側の人々(壁の向こう側に閉じ込められた人々)も、一人一人が主人公達である。一人一人自分の物語があって、恋人がいて、家族がいて、友人がいる。
という事も、この曲は言っていたように思います。

そして自分は、この曲がただの"東ドイツ政府への批判の曲"ではなく、"ラブソング"である事にとても大きな意味があると思います。だからこそ「Heroes」であり、「主人公達」である事が伝わったのだと思います。
人間がドラマや映画を見て涙するのは基本的に、パーソナルな問題や、パーソナルな葛藤に共感するからだと自分は考えています。それと全く同じで、"ラブソング"は、とてもパーソナルなものです。
敵を作り批判するのではなく、切実に、曲の主人公達の抱えている葛藤、想いを表現した事。
それが、当時この曲を聴いた人達の心を震わせたのではないかと感じています。

David Bowieから離れますが、Green Dayの名盤 "21st Century Breakdown"にも、自分は似たようなものを感じます。
そのアルバムの中の曲は、当時のアメリカの抱えていた問題(貧困、自殺、戦争等)についての曲もありながら、それらの社会問題に一切関係ない純粋なラブソング"Last Night on Earth"等もあります。
そのような、ただただパーソナルで切実な曲がある事で、生きている全員一人一人が、「Heroes(主人公達)」である事を実感出来て、そんな主人公達が生きている世界がこの世界であると実感する事が出来る。だからこそ、より社会問題の深刻さの実感や、どうにかしなくてはという想いが湧いてくるのかもしれないと自分は思いました。

お読みいただきありがとうございました。

最後に、Heroesの和訳動画をお借りして貼り付けておきます。





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