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(音楽話)104: Sheena Easton “The Lover In Me” (1988)

【たまには何も考えずに】

10代の若造には、思春期的な視点と刺激、ビートの心地良さとリズムの決まり具合が音楽を聴く上でかなりのウェイトを占めていたのは、偽らざる事実だと思います。特に80年代、音楽の目まぐるしい変化は、エンターテインメントの持つ興奮と驚きを常に提供し続けていました。

Sheena Easton。てっきり米国人かと思っていましたが、英国・グラスゴー郊外出身。1959年生まれで、80年にデビューし(21歳)、なんと翌年81年には映画・007シリーズ「For Your Eyes Only」で主題歌"For Your Eyes Only"を歌い世界規模で名声を獲得。82年の第24回グラミー賞で最優秀新人賞を受賞。84年にはスペイン語アルバム「Todo Me Recuerda a Ti」を発表、第27回グラミー賞ラテン部門で受賞。まさに破竹の勢い。最近でいうところのBillie Irishみたいな感じ。

個人的には、Princeとの共演が印象に残っています。彼の1987年アルバム「Sign “O” The Times」は、それまで大人気だったバンド形態(Prince & the Revolution)を解体し、音楽性を追究して更なる高みに行こうとする野心が溢れた名作。ここで彼はSheenaとデュエット曲"You Got A Look"をリリースしています。いかにもPrinceなファンクネスとポップネスに、Sheenaの透き通りながらもパワーのある歌声が伸びやかに響く佳曲です。

Sheenaはその後もアルバムをリリースし続け、シングルも数曲ヒット。しかし彼女、元々シンガーというよりは「歌って踊れる俳優」を目指していたフシがあり、流行り物の歌を徐々に歌わなくなっていきました。2001年のアルバム発表以降、目立った活動はありません。

"The Lover In Me"は1989年発表。同名アルバムのリード曲でした。真っ赤なボディコンシャスな服を着て、艶かしく踊りながら「素敵な恋愛を語りたいなら 私の中の恋人に話しかけてみて」と歌っています。いかにも80年代末、90年代初頭のサウンドですが、これはBabyfaceプロデュース。当時世界最高峰のプロデューサーは、彼女の妖艶さを引き立てるように、少しファンク寄りなビートと最新サウンドを融合させたわけです。
この曲、私は好きでした。サビ・コーラスの"Shoo do wap"とシンセサイザーのブレイク音が心地良くて…今でもお気に入りです。

歌詞の深読みは今回はしません。どちらかというと単純にサウンドとビートに身を委ねて揺れてみてください。たまには何も考えずに…。

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