名曲532 「時の扉」【WANDS】

ーーこの曲ばかり置いてある、ある意味品揃えのよい店があるらしいーー

【WANDS 時の扉 (Door of Time) Live!】

 90年代に生まれた私にとって、もっと早く生まれていればとつくづく思う。趣味嗜好が同世代の人間と違うのだ。よく例えで「生まれる時代を間違えた」という表現があるが、私はまさにそうだと思う。1970年代が適切だった。

 「時の扉」は90年代を生きとし生けるものなら誰もが知っているだろう。ミリオンヒットにもなったWANDSの代表曲のひとつだ。私は実はすぐにこの曲にハマったわけではなかった。ほかのWANDSの曲に比べてサビのインパクトが薄いように思ったのである。

 ただ、安定していつまでも聞き続けたくなったのはこの曲だった。私の中で知らず知らずのうちにいわゆるスルメ曲に分類されていた。そうしていくうちに、「さすがミリオンだな」と思い直すようになった。

{時の扉たたいて ここから今飛び出そう 風に吹かれ気ままに 見知らぬ自由を抱きしめよう}

{夜明け前眠れずに 壁の写真見つめてる ねえもう一度やるせない 今夜君にハマりそう}

{少しだけテレながら 君がくれたこの腕時計 今も胸の中 悲しみだけ刻むけれど}

 時の扉はいまの私にとってかなり胸に響く。

{散らかったテーブルも この心をまぎらわすから そのままにしよう 胸の傷が癒える日まで}

 優しい歌詞だ。

{時の扉たたいて 明日を一人歩こう 失うこと恐れず 忘れえぬ痛み 笑い飛ばそう}

{時の扉たたいて ここから今飛び出そう 風に吹かれ気ままに 見知らぬ自由を抱きしめよう}

 まだ自分は若い(と思いたい)。最近はいろんな偉人の年表を見ることが多いのだが、大成したのは30代になってからという人もちらほら。そろそろ30が見えてきた私にとって、今こそ扉をノックするべきか。

 忘れえぬ痛みはもういくつも刻んだ。見返すならば早いうちに行動するのがいいだろうか。そうすれば長い間笑い飛ばすことができる。

 WANDSもきっと多くの障害や壁に当たったことだろう。それでも乗り越えていまがある。そして過去の栄光や経験を無駄にすることなく、後世まで受け継がれていく。人生を見ているようだ。形を変えながらもWANDSはWANDS。ひとりの人生もまた同じ。

       【今日の名歌詞】

時の扉たたいて 明日を一人歩こう 失うこと恐れず 忘れえぬ痛み 笑い飛ばそう



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