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BTSとファン・エコノミーの未来

このnoteはJudy Knowsさんが書いた記事「BTS and the Future of the Fan Economy」を翻訳させて頂いたnoteです。

実はこの記事、3月頃に出会って翻訳しながら読んでいたのですが内容があまりにも学びになったので、Judy Knowsさんにメールさせていただき、翻訳のご許可をいただきました。できる限り調べて翻訳をしていますが、ニュアンスや謝りがある点もあるかもしれませんし、情報が古い点もあります。
21年1月2日公開記事で当時の情報のままにしているので。(会社名がBig Hitだったり、再生数等の数字がその時のままだったり)

内容に誤りがあった際は、コメントでご指摘いただけますと幸いです。

3万字近いですが、学びが多いのでぜひご覧ください。数回に分けて読むことをオススメしますし、お時間が無い方は「ファンの働き」あたりから読んでもいいかもしれません。

以下、翻訳記事となります。
翻訳があまりうまくはありませんが、ご容赦ください!

BTSとファン・エコノミーの未来

これをお読みになる頃には、もしあなたがネットを使っていなくても、あるいは10代の若者じゃなくても、BTSの名前を聞いたことがあり、彼らの曲を1曲は知っているでしょう。

BTS(Bangtan Sonyeondan、韓国語では「防弾少年団」、英語では「Beyond The Scene」)は、2020年8月21日、これまでで最大のアメリカ市場への進出を果たし、グループ初の英詞シングル「Dynamite」のリリースに向けて強力なプロモーションを展開しました。

しかし実は、これ以前にBTSは世界で最も人気があり、支配的な音楽グループになっていたのです。そして彼らは出身国である韓国と、世界の音楽市場で最も価値・影響力があるアメリカの両方で、音楽業界の教科書を完全に覆し、それを成し遂げました。

「Dynamite」は1億110万回再生され、YouTubeの24時間ビデオデビューの最大記録を更新しました。

2020年に予定されていたニューアルバムのワールドワイドスタジアムツアーを延期しなければならなかったにもかかわらず、BTSを擁するエンターテインメント企業のBig Hit Entertainment(現HYBE・記事当時のBig Hitで以下記載します)は、世界パンデミックの中で記録的な利益を報告しました。

同社の会長兼CEOであるBang Si-Hyuk氏は、8月12日の会社説明会で次のように話しています。

アルバム販売、ストリーミング、オンラインコンサート、マーチャンダイジング、ビデオコンテンツで収益を上げました。苦難の中でしたが、私たちは常に大切にしてきたファンとコンテンツに集中しました。

この記事を読んでいる方は、韓国で今年最も熱く(そして2017年以来最大の)IPOの1つが、ボーイズグループを支えるエンターテインメント企業であり、そのボーイズグループが収益の87.7%を占め、そのメンバーが徴兵年齢に近づいているという事実を知りたいかもしれません。

しかし、この2つの事実だけでは、高額な評価を得るための完璧なビジネスケースとは言えません。

Big Hitの公募価格は1株あたり13万5,000ウォン(約116米ドル)で、企業評価額は40億米ドル、フォワードEBITDAは41倍となっています。フィナンシャル・タイムズ紙によると、この株価は「2021年の予想利益の60~70倍であり、韓国のライバル企業であるエンターテインメントグループの22~45倍、韓国最大の企業であるサムスン電子のわずか6倍と比較しても遜色ない」とのことです(2020年10月15日)。
※現在の株価は同社のBloombergのページで確認できます。

Big Hitは単なる「レコード会社」ではありませんし、BTSは単なる「ボーイズグループ」でもありません。

Big Hit社はファンエンゲージメントの手段に非常に精通していることを示しました。BTSに非常に愛が深く、組織化されたグローバルなARMYが育まれたことで、彼らがファン・エコノミーの達人であることが証明されたのです。

Big Hitは、韓国の地方に住む7人の才能ある若者を、世界的なスーパーヒーローに育て上げ、映画テレビシリーズビデオゲームグッズなどを含む、マーベルのような知的財産権を持つエンターテインメント・フランチャイズにしました。

その、ファン・エコノミー(経済圏)とは?


ファン・エコノミーの威力

消費者があなたの会社や製品を応援したいがために、製品を何個も買ったり、他の消費者も応援できるようにお金を寄付したり、街全体を製品へのオマージュに変えるような壮大な取り組みに時間とお金を費やす世界がある、と言ったらどう感じますか?

ファン・エコノミーへようこそ。
これが、BTSとBig Hit Entertainmentの住む世界です。

彼らの成功の裏にあるファンの情熱を否定する前に、彼らの記録を見直してみましょう。これらの記録のほとんどは「Dynamite」がリリースされる前に達成されています。数字はすべて2020年10月のものです。

セールス:

ストリーミング(2020年、米国音楽業界では売上の85%を占めた)の時代にあって、BTSはフィジカルとデジタルの両方で、多くの楽曲を販売しているという点で、実は古い手法をとっています。

●2020年2月のアルバム『Map of the Soul: 7』の発売と同時に、アジアアーティストとして初めて世界5大音楽市場(アメリカ、日本、ドイツ、フランス、イギリス)の全てで1位を獲得

●ビルボード200チャートで3枚のアルバムが1位を獲得。獲得した期間が11ヶ月以内(2018年6月~2019年4月)となり、ビートルズの最短記録を更新

●韓国で400万枚以上のアルバムを販売し、韓国史上最も売れたアルバムに。参考までに、韓国の人口はおよそ5,000万人

ストリーミング:

YouTube(メインアカウント:BANGTANTVのフォロワー数は3,900万人以上)。「Dynamite」のMVは、プレミア公開で300万人以上の同時視聴者数と、1億100万回以上の再生回数を誇る、最大の24時間ビデオデビューを果たした。
※12/1時点でYouTube約6,130万フォロワー

●2020年6月に開催されたバーチャルライブ「Bang Bang Con: The Live」では、音楽コンサートのライブストリームにおける最多視聴者数(756,000人)でギネス世界記録を達成しました。(2020年10月のバーチャルコンサート「Map of the Soul ON:E」で993,000人のファンを獲得し、自らの記録を更新したばかりですが、ギネスはまだ正式に確認していません)

iTunes 最も多くの国(104カ国)のiTunesチャートで1位を獲得した楽曲「Black Swan」で、それまで5年以上タイトルを保持していたアデルの「Hello」の記録を破った。この記録はその後、BTSのメンバーであるVのソロ曲「Sweet Night」117カ国で1位を獲得したことにより、一気に更新されました。「Dynamite」は、リリース後8時間以内に100カ国で1位を獲得したiTunes史上最速の曲となりました。

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YouTube、Music Charts & InsightsのBTS過去12ヶ月間の推移(2020年10月16日のスクリーンショット)

SNSエンゲージメント:

Twitter(グループが管理するメインアカウント:@BTS_twtのフォロワー数は3,000万人以上)。422,228人のアカウントで最も多くのエンゲージメント(平均リツイート数で測定)を獲得
※12/1時点で約4,174.3万フォロワー

●TikTok(公式アカウントのフォロワー数2,300万人以上:@bts_official_bighit)。フォロワー100万人達成までの最速記録(3時間31分
※12/1時点で約4,420万フォロワー

BTSはあまりにも多くの記録を更新しているため、英語圏以外のアーティストとして、彼らの功績がいかに並外れて歴史的なものであるか、少し麻痺してしまうかもしれませんし、彼らがあまりにも早く達成してしまうため、少し前までどれほどありえないことであったかを忘れてしまうかもしれません。

2020年2月にアルバム「Map of the Soul: 7」をリリースしてから11日後に発表された業績リストは、すでにかなり古くなっていますが、BTSがすべての地域、すべてのプラットフォームでどれだけ強いか確認できます。

The Billboard Hot 100 #1:

「すべてのポップスターがNo.1ヒットという同じ賞をめぐって競争しており、最大のファンベースを持つ最も賢明なアーティストが金を手にする。評論家がどれだけ文句を言っても、ファンは自分のお金をどう使うかを選ぶもので、『Dynamite』の数字がそれを物語っている。BTSはゲームのやり方を学び、自分の音楽を売ることよりもはるかに悪い勝ち方があることを知ったのだ。」ブライアン・ロリー

Forbes
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Billboard Hot 100での1位獲得は、世界の音楽業界の聖なる目標です。確立されたスーパースターであっても、このシステムをハックしたり、ゲーム化するためのプロモーション戦略を立てます。フォーブス誌によると、「スウェットパンツ、ロリポップ、コンドームなどの無関係な商品に楽曲をバンドルする」というのが重要な戦術のひとつだそうです。 したがって、韓国のアーティストが7週間の間に2つの異なる楽曲(「Dynamite」と「Savage Love」BTS Remix)で、1度だけでなく4度もBillboard Hot 100のトップを獲得したことの重要性と歴史的意義は強調するまでもないと思います。

BTSは昔ながらの、自分たちの音楽をファンに販売することでこの偉業を成し遂げましたが、無駄なグッズは一切ありません。BTSと彼らのファンは2020年11月に最新アルバム『BE』のリードシングルで、主に韓国語で歌われている「Life Goes On」が初登場1位を獲得し、偉業を達成しました。これは、外国語の楽曲で初登場1位を獲得した史上初の快挙です。

BTSとBig Hitが1位を獲得する際に採用した戦術の1つは、ファンが購入できる9つの追加リミックス(この「Dynamite」アルバムには、4つの追加リミックスを収録したNightTimeバージョンがある)をリリースし、すべてがメインシングル「Dynamite」の売り上げに加算されるというものだった。

BTSのファンは3つの楽曲で、凄まじい忠誠心と組織的な力を持っていることを証明しています。これは米国音楽業界の伝統的なレーベルを脅かすものであり、彼らは自分たちの古いやり方がすぐに無意味になることを学んでいます。


経済効果

文化的な影響や音楽業界への影響だけでなく、この7人が高度に発達した工業国である韓国に与えた経済的な影響は、驚異的なものです。彼らのことを知り始めたとき、私はこの数字に目を奪われました。通常のアーティストサクセスストーリーではないのです。

●BTSは2018年に韓国経済に46.5億米ドルの貢献をし、ナショナルエアラインである大韓航空の経済効果を射程圏内に収めました。現在の時価総額で計算すると、Big Hit Entertainmentは大韓航空よりも価値があります。

●「Dynamite」単体で、韓国政府は韓国経済に1兆7000億ウォン(~14億米ドル)の効果があったと推定しています。

●現代研究所のレポート "Economics Effects of BTS "によると、BTSの10年間の経済効果は500億米ドル近くに達し、2018年の平昌冬季オリンピックの経済効果を上回ると推定されています。2017年、同研究所は韓国を訪れた外国人観光客1,040万人のうち7.6%(~80万人、13人に1人)、消費者向け輸出の1.7%をBTSが占めていると推定しています。

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Statistaによるインフォグラフィック

BTSが口を揃えて言うように、ARMY(Adorable Representative MC for Youth)と呼ばれる彼らのファンの並々ならぬサポートがなければ、これらの記録もこのようなインパクトも実現できなかったでしょう。

BTSの成功は、いくつかの見出しに目を通しただけの人にとっては、SNSの影響力の一つの事例として見えるでしょう。というのも、パフォーマンスやMVで見る彼らは、高度に洗練された魅力的なK-POPや世界的なエンターテイナー達と、見た目も声もそれほど変わらなく見えるかもしれないからです。

しかし、デビュー当時は違いました。2013年のデビュー当時、K-POP業界では、資金力のない小さな会社の出身であること、真面目だがカッコ悪い名前であること、メンバー全員が「アイドル」(K-POPでは、技術、外見、行動のすべての面で完璧さが求められるアーティストを指す言葉)になるほど魅力的ではないと考えられていたため、その容姿を揶揄されていました。

若者に対する社会の期待に反発するという彼らの音楽に込められたメッセージは、業界ではかなり物議を醸し、攻撃的で突飛なものと見なされていたのです。

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韓国の音楽番組のひとつ「M Countdown」で、2013年のデビューステージでのBTSの反応を2019年に撮影した画面

しかし、彼らのメッセージに深く共感し、成長、自己愛、自己理解の旅を共にするファンがどんどん増えてきたのです。今ではこのARMYは数千万人(おそらく数億人)にのぼり、BTSは世界で最もパワフルで影響力のある声の一つとなっています。
そして彼らは、自分たちのルーツである韓国に忠実であり続け、多くの人に促され、さらに大きなメインストリームでの成功というニンジンをぶら下げられたにもかかわらず、自分たちの物語のほとんどを韓国語で歌い、語ることを堅持した上で、これらすべてを成し遂げたのです。

BTSが達成した成功の規模は、2010年代のSNSプラットフォームの台頭によって可能になった大規模な破壊的流通力によって、間違いなく加速されました。
しかし、最終的には、ミュージシャン、パフォーマー、そして人間としての彼らの本質に忠実であり続ける姿と、コンテンツ、プロダクト、ブランドの全てにおいて彼らの本質が維持され、紹介されていることを保証するBig Hitの能力が、ARMYのエンゲージメントとロイヤリティの畏敬の念を駆り立て続けているのです。


心理的な親密さがファンの経済を動かす

「ここ韓国のソウルという街に、あなたを理解してくれる人がいることを忘れないでください。私たちは世界の異なる場所にいます...でも...みんなで背中を叩いて、"大丈夫だよ "と言ってあげられるといいですね。」JIMIN

YouTubeのDear Class of 2020 BTS Commencement Speech

オンラインでARMYを観察していると、多くのファンがメンバーを親友のように考えていることに気づくでしょう。つまり、自分の心の重荷を本当に理解し「わかってくれる」友人なのです。

ファンがアイドルに傾倒するのは、”アーティストとファンの間に心理的な親密さを築く”という戦略の結果です。

中国のビジネスやエンターテインメント業界は、ファンエコノミーの仕組みを理解しコントロールすることにおいて、欧米よりも少なくとも10年は進んでいます。
以下にリンクした中国語の記事のタイトルは「Big Hit: 如何把偶像团体的 "粉丝经济 "做到极致」であり、大まかに訳すと「Big Hitはどのようにしてアイドルグループの「ファンエコノミー」を最高度にマスターしたか」ということになります。

私たちは西洋における「ファンエコノミー」の可能性を理解する非常に初期の段階にあり、BTSはその力を真に世界的に示した最初の存在です。
しかし、中国ではファンエコノミーの商業的な力は非常に驚くべきものであるため、私たちは物事がどのように展開する可能性があるかについて、中国から学ぶことができます。

エンターテインメント業界のコンサルタント会社であるEntgroupによると、中国のアイドル市場は2020年までに140億ドル(1,000億円)の価値があるとされており、「アイドル関連のプロダクトやサービスの消費を通じて、ファンが全体の約半分を占める」とされています。
欧米では「ファンダムの頂点は、スターのライブを見ること」ですが、中国では「ファンはあらゆる手段を使って自分のアイドルを守り、より成功させること」なのです。

ファン経済の主な原動力は、ファンがアーティストのために行う3つの主な行動にあります。

1. Purchase(購入する):アーティストに金銭的利益をもたらす製品やサービスを購入すること
2. Promote(宣伝する):コンテンツや商品を知り、消費し、購入することを他の人に宣伝し、奨励すること
3. Protect(守る):批判的な意見やその他の否定的な力からアーティストの評判を守ること

ファンエコノミーの学術的な分析によると、ファンがこうした行動をするようになるのは、アーティストが社会学や人的資源管理、ブランド管理でよく使われる用語である「感情資本」を十分に生み出している場合に限られると言います。もしファンが「自分の感情的なニーズを理解し満足させてくれるアーティストだ」と感じれば、ファンはそれに応じてそのアーティストをサポートするモチベーションを高めることになります。

この感情資本(エモーショナル・キャピタル)は、中国の音楽業界では、ARPU(Average Revenue Per Unit)というIT業界でよく使われる指標で数値化されています。収益を最大化するためには、単にファンの数だけではなく、そのファンが「質の高い」、つまり高い感情移入をしているかどうかを確認する必要があるのです。

Economist誌は最近、中国のセレブリティ・ファン文化を紹介し、中国のファンエコノミーを牽引する消費者の大半は20代の女性だが、「2000年以降に生まれたファンの約15%は、毎月少なくとも5,000元(8万円)をお気に入りのスターにつぎ込んでおり、これは都市部の平均的な可処分所得の約40%以上にあたる」と報告しています。

ファンの「Promote:宣伝」と「Protect:保護」に必要な高い感情的関与は、中国の多くのファンクラブを通して観察することができます。
ファンクラブは通常、コアマネジメント、アートデザイン、コピーライティング、データ、コメントコントロール、広報、財務、フロントラインなどの正式な部門で構成される会社のような構造をしており、最後の部門はオフラインでの直接的な関与を扱っています。

これらのクラブに所属する何百人ものファンは、自分の好きなアイドルをサポートし、視聴者やブランドにとってそのアイドルがより魅力的で影響力のある存在に見えるように、オンラインおよびオフラインでの努力を協調して行うのです。

ベンチャー投資家のLi Jinは、中国で生まれた「インフルエンサー・スタック」業界のエコシステムについて、Twitterで素晴らしいスレッドを書いています。

私がファンエコノミーの一種であるインフルエンサーエコノミーに強気なのは、混沌とした競争の激しい購買環境の中で、口コミがこれまで以上に重要になるからです。

現在、特定の製品やサービスを探しているときには、友人の推薦を信頼して検討することが多くなっています。インフルエンサーは、フォロワーが1,000人に満たないマイクロインフルエンサーであれ、BTSのようなメガインフルエンサーであれ、フォロワーやファンベースとの友情や感情的なつながりを育むことが全てです。

ファンとアーティストの間に高度な「感情的資本」と心理的な親密さが築かれていれば、ファンエコノミーの中でアーティストがどれだけ経済的に成功できるかに限界はありません。


中国ファン経済の深層

Global Media & Chinaの査読付き学術論文。中国語が堪能な読者のために、あるアイドルファンが "サイトシスター "としての活動を通じてファンエコノミーに没頭し、最終的に幻滅するまでを詳細に描写した魅力的な論文です。


次世代のファンエンゲージメント

「Big Hit、そしてK-POP音楽ビジネス全般は、デジタルプラットフォームや専用アプリ、そしてファンが感情移入できるような舞台裏のコンテンツを駆使した消費者との直接の関係を通じて、グループや企業がどれだけ繁栄できるかを証明しています。これは、何十年にもわたって行われてきたラジオプロモーションや最高の小売戦略にもかかわらず、欧米のアーティストが成し遂げられなかった規模のエンゲージメントです。」
レベッカ・デイビス

Variety誌のカバーストーリー "How BTS and Its ARMY Could Change the Music Industry "にて

Big HitとBTSのファン・エンゲージメント・モデルを理解するために、私は以下のインフォグラフィックを作成しました。このインフォグラフィックは、ARMYとの心理的な親密さがバンドのビジネス活動をどのように促進するかを理解するために、知っておくべきことをまとめたものです。

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このインフォグラフィックのPDF版をGoogle Driveでダウンロード

レーベル

Big Hit Entertainmentは、BTSを支えるエンターテインメント企業です。同社は、K-POP業界のベテランであるパン・シヒョクによって2005年に設立され、「Music & Artist for Healing」というミッションステートメントを掲げ、アーティストや音楽を通じて世界中のオーディエンスを癒し、感動させることを目的としています。

90年代に誕生したK-POP業界は、伝統的なレコード会社の構造ではなく、フルサービスのエンターテインメント・エージェンシー・モデルで長い間運営されてきました。そのため、同社はアーティストの育成、開発、創造、レコードやマルチメディア公演の制作・配給、オフラインのコンサートやオンライン・コンテンツ活動のすべての管理に至るまで、アーティスト・マネジメントに「360度のアプローチ」を採用しています。戦略的には、制作するコンテンツとファン(顧客)の体験の両方について、継続的な改善と革新にフォーカスすることで知られています。
NYTimesの記事によると、「Big Hitはディズニーのようなコンテンツクリエーターとしての地位を確立し、BTSは基本的にミッキーマウスの役割を果たしている。」とされています。

アーティスト

BTSのRMは世界的なパンデミックを背景に、2020年8月「Dynamite」をシングルとしてリリースすることを決めた理由について、『これまで以上に、自分たちの音楽やパフォーマンスを通じて人々を慰め、喜びを与えたいという気持ちが強くなりました。』と説明しています。

NME「BTS: “We’re eager to give comfort and joy through our music now more than ever”」

Big Hitは、2010年から2012年にかけてBTSのメンバーとなる若者たちをオーディションし、彼らがアーティストやパフォーマーとしてのスキルを磨くトレーニー制度を導入。BTSは、2013年6月13日にRM、JIN、SUGA、J-HOPE、JIMIN、V、JUNG KOOKの7人でアイドルグループとして正式にデビューしました。

音楽、パフォーマンス、リアリティコンテンツ、SNSへの投稿等、あらゆるコンテンツに浸透しているBTSのブランド・エッセンスは、3つの主要属性に集約されています。

Joy(楽しさ):素晴らしい音楽を作り、共有し、お互いやファンと交流することに喜びや楽しさを感じること。BTSはこの喜びをファンに伝える力が非常に高く、「ヘドノメーター」と呼ばれる幸福度計算機を作ったデータサイエンティストは、英語版Twitterで最も幸福度が高い時期はクリスマスとBTSメンバーの誕生日であると報告しています。

Delight(喜び):アーティストやパフォーマーとしての外見、技術、シンクロニシティによる視覚的・聴覚的な魅力や、コンセプトや物語のまとまりにおける思慮深さに、喜び、驚き、畏敬の念を感じます。

Comfort(心地よさ):アイドルであり、(今では大金持ちの)セレブであるにもかかわらず、BTSによるARMYへのメッセージは「私はあなたを理解しています。あなたは私たちを理解しています。お互いに慰めあって一緒に自分の可能性を引き出しましょう」です。


チャネル

「私たちは、アーティストの許可と理解を得て、常にカメラをつけています。メンバーがリラックスして遊んでいるときはもちろん、舞台裏のシリアスな場面も撮影しています。そして、メンバー間の個人的なやりとりも見せています。現在、ほとんどのK-POP企業がこのアプローチを真似しようとしています。」
ハーバード・ビジネス・スクールのケーススタディ「2020年」に引用されている、Big Hit社のコンテンツ制作責任者、Woo Jung Bang氏。

Big Hit Entertainment and Blockbuster Band BTS: K-Pop Goes Global

世界的なアーティストでありセレブであるBTSは、FacebookやTikTokのようなグローバルなものであれ、中国のWeiboやYoukuのような国別のものであれ、もちろんすべての主要なソーシャルプラットフォームを利用しています。

ここでは5つのプラットフォームを取り上げます。これは、BTS・Big Hitがこれらのプラットフォームの機能を真に理解し、ファンとのデジタル・エンゲージメントとインタラクティブの中心的な導線として機能させているからです。

Twitter:BTSのメンバーは、メンバーが管理する1つのアカウント(@BTS_twt)を共有しており、ファンと一緒に自分の考えや活動、舞台裏の写真や動画を投稿しています。フォロワー数はそれほど多くありませんが、エンゲージメントはどのアカウントよりも高くなっています。

YouTube:BTSのMVをはじめ、公式(パフォーマンスやプロモーション)および舞台裏(Vログやライブストリーム)のビデオコンテンツの大半がここに集まっています。

SoundCloud:Soundcloudは、BTSの公式レコードやアルバムとして発売されていない、グループやソロ、リミックスやカバーなど、BTSが制作したすべての音楽を投稿する場所です。

V Live:V Liveは、韓国の大手テクノロジー企業Naver国内トップの検索エンジンや人気メッセージアプリLINEも運営)が2015年に開始したライブビデオストリーミングプラットフォームで、K-POPアーティストとの関わりが深いプラットフォームです。V LiveがK-POP業界に支持されている理由は、直感的なファン翻訳のユーザー体験(ファンが簡単に翻訳を投稿できる)と、大きなK-POP市場である中国(YouTubeはブロックされています)で制限されていないことにあります。BTSは最も人気のあるアカウントで、彼らのV Liveチャンネルにホストされているビデオコンテンツの膨大なバックカタログを持っていますが、Big Hitは、独自のプラットフォームであるWeverseにコンテンツを徐々に移行し始めています。

2019年に行われたFast Companyのインタビューで、パン・シヒョク
のWeverseへの抱負をご紹介しています。

FAST COMPANY「How the man behind K-pop sensation BTS is reinventing the music business」

Weverse:Big Hitのテクノロジー子会社であるbeNXが開発し、2019年に初めてリリースされたWeverseは、目的に応じたファン交流プラットフォームです。Web、iOSAndroidのアプリケーションが用意されており、現在、ファンフィード(ファンが投稿して他のファンと交流したり、BTSのメンバーからコメントをもらえる可能性がある)、アーティストフィード(BTSのメンバーがFacebookやInstagramのストーリーズのような形式でステータスアップデートを投稿できる)、メディアライブラリ(ファンが無料のビデオコンテンツを見たり、有料のコンテンツを購入できる)を備えています。Big Hitは明らかにWeverseに大きな期待を寄せており、自分たちのレーベルのエコシステムに属さないアーティストの参加を始めています。このプラットフォームは、BTSの運命とは直接関係のない彼らのビジネスの重要な側面の一つであり、彼らを伝統的なエンターテインメント企業というよりもむしろテクノロジー企業と見る人もいる理由でもあります。

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Weverse上のBTSのプロフィールの「アーティスト」フィード。上部のアーティスト写真をクリックすると、「アーティスト・モーメント」(Instagram Storiesのようなもの)機能が表示されます。J-HOPEの最新の投稿には、BTSの公式ペンライト(アミボム)が登場しています。


「これを見て、僕らも普通の人なんだと気づいてもらえればと思います。」
SUGA、2020年のリアリティシリーズ「In the Soop」エピソード8でのインタビュー

映画やテレビ番組を見ているうちに、ある俳優に恋をしてしまい、YouTubeやインターネットでその俳優のインタビューやメディアへの出演情報を見まくってしまうという経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。気がつくと、一晩が終わっていたという経験もあるでしょう。

しかし、BTSの場合は、コンテンツが終わらないように感じます。ウサギの穴ではなく、コンテンツのブラックホールです。かなりの量の有料コンテンツがあるとはいえ、Big HitやBTSの影響力と視聴率を追い求める他のメディアが出しているかどうかに関わらず、これらのプラットフォームで「無料」で視聴できるBTSコンテンツの大部分に比べれば、見劣りするものです。また、ファンが作成した膨大な量のコンテンツにも目を向ける必要があります。

BTSがすべてのコンテンツで伝える重要な感情的品質は、誠実さ(Sincerity)、飾らなさ(Authenticity)、親近感(Relatability)、そして弱さ(Vulnerability)です。これらの資質は、オンラインでもオフラインでも感情的な結びつきを形成する上で特にユニークなものではありませんが、BTSの全てのコンテンツが、これら4つの資質のうち少なくとも1つ、時にはそれ以上の資質を強化するような、純粋で一貫した方法をとっていることが、すべてのコンテンツを並外れたものにしています。

誠実さ(Sincerity):7人の行動のほとんどすべてに、圧倒的な誠実さと真面目さが感じられます。BTSが音楽、パフォーマンス、そしてファンとの関わりに情熱を注いでいることは、ファンの間で疑う余地がありません。K-POPはハリウッドのようにスキャンダルの多い業界ですが、BTSは他のグループに比べてスキャンダルが少ないです。

飾らなさ(Authenticity):膨大な量のコンテンツと、メンバーが自分自身を表現する際の一貫性が、信憑性のある印象を与えています。BTSがカメラに映っていない時には、有名人も一般人も、彼らがどれほど純粋で素晴らしいかを報告しています。

親近感(Relatability):BTSは夢にも思わないような大金持ちになりましたが、彼らには権利や甘えがあるようには見えません。グループのリアリティ・コンテンツでは、Big Hitは「彼らはあなたと同じです!」というイメージを番組を通して提示しています。それは、グループがスナック菓子(バラエティ番組「Run BTS!」で非常に低い賞品)を得るために友情を裏切ったり、一緒に旅行したときに公共交通機関や外国のスーパーマーケットで苦労したりする姿を見せることです(有料シリーズ「Bon Voyage」)。また、V Liveでのライブ配信は、ファンにとって「友達」としての親近感を持つための重要な柱となっています。その多くは、まるで友人を呼び出して「一緒に遊ぼう」と言っているかのように、目的のない内容です。

弱さ(Vulnerability):主に歌詞(苦悩や不安を吐露している)やドキュメンタリー・シリーズや映画(仕事上の激しい負荷や監視が精神に与える影響を率直に語っている)で焦点を当てています。各メンバーは、カメラや公の場で何度も率直に涙を流しており、多くのファンは、有害な男らしさに対抗する、より優しく親切なロールモデルとして彼らに惹かれています。


ファンの働き

このインフォグラフィックでは、チャネルと製品・サービスの間にファンの活動を配置し、消費行動を促すためにBig Hit・BTS・ファンの間でどれだけインタラクティブな活動が行われているかを示しています。

購入:製品やサービスの購入を促すことは、もちろんファンエンゲージメントの最も重要な商業目的であり、ファンは時間とお金を費やしてBTSやARMY、慈善活動を支援しています。

1)動員

K-POPファンは、デジタル動員に非常に精通しています。その理由は、音楽のカウントダウンショーが業界のプロモーション戦略を支配しているからです。番組で優勝することは、アイドルのキャリアの中で最も切望されるマイルストーンの一つであり、業界で本当に成功したことを示すものです。しかし、番組には複雑な採点基準があるため、優勝するためには、高いモチベーションと組織化されたファンベースが必要です。これらのランキングには常に売上が関係しており、ファンはアイドルがトップになるために喜んで購入します。

BTSは「Dynamite」の成功により、K-POP史上最多の音楽番組勝利数のタイトルに急速に近づいていますが、曲を演奏するために一度も出演しておらず(主なプロモーションはアメリカのプラットフォームで行われています)、ARMYの動員力の強さを示しています。

音楽番組のフォーマットは、他のグローバル市場では必ずしも普及していませんが、「ファン投票」という戦術があり、すべてのアワードショーには何らかの「ソーシャル賞」があります。BTSは、2017年のBBMAsで「トップ・ソーシャル・アーティスト」を受賞したことで、初めてアメリカの音楽業界に登場しましたが、2017年以降、このタイトルを手放していません
世界的に著名な投票アカウントのひとつが「@btsvotingorg」です。

ARMYはこの夏、BTS以外のことでも動員力を発揮しました。#BlackLivesMatterのために24時間で100万米ドルを調達し、グループの寄付金と同額を運動に提供したのです。


2)組織化

ARMYは、BTSが成功し彼らの音楽や影響力が世界的に認められ、尊敬されるようになることに大きなモチベーションを感じています。ファンが彼らの音楽や個性をどれだけ好きかという内発的動機に加え、BTSのK-POP業界での "負け犬 "的な生い立ちと、現在の世界の主流である音楽業界での "外国人嫌いや人種差別的な偏見に直面してきた "というストーリーが、この欲求に拍車をかけています。

2020年11月のBTSのカムバック(K-POP用語で新曲発表前後のプロモーション期間)に向けて、ARMYは売上と記録についてかなり高い目標を掲げています。

アルバム「BE」の世界的なカムバック目標です . #BTS #BE 
- Charts For BTS ᴮᴱ (@chartsforbts) 2020年9月28日

ファンアカウントは、その目標を達成するために何をすべきかを確認するために、戦略を練り(例:ストリーミングプラットフォームの再生回数をカウントするアルゴリズムのリバースエンジニアリングを試みる)、その戦略が望ましい結果をもたらすかどうかを確認するためのテストを行い、それを広くファンベースに伝えていきます。


3)募金活動

ARMYはBTSを応援したい全ての人が、金銭的に余裕があるわけではないことを理解しています。さらに、どんなに懐が深くても、特定のユーザーが様々なプラットフォームで購入できる楽曲数には厳しい制限があります。(Appleは1つのiTunesアカウントで1曲を複数回購入することを認めていません)。

目標を達成するために寄付を募ったり、ファンに資金を分配したりする専門のアカウントがいくつもあります。米国で最も有名な資金調達アカウントは、@fundsforbangtan@borahaefundsです。これらは素人の運営ではなく、財務管理者、リーンシックスシグマの黒帯、データサイエンティストであるファンが運営しています。これは、資金調達の最新情報&ストリーミングレポートです。

K-POPファンの資金調達については、PAPER誌の "Stan Story "をご覧ください。


プロモーション

「このグループのA&RやPRは、ファンベースが行っているんです。」
ソングライター、Jessica Agombar

Billboardのインタビュー

SNSのおかげで、インターネットに接続している人なら誰でもメガホンになることができます。著名なBTSファンのアカウントには何百万人ものフォロワーがいて、ファンや「ローカル」(まだARMYのメンバーになっていない人)がBTSについて知るための情報を共有するのに大きな役割を果たしています。


4)翻訳

BTSを知り始めたばかりの多くの人にとって、最大の障壁は言語の壁です。「Dynamite」はグループ初の完全な英語で歌われた曲であり、BTSのメンバーの中で英語を流暢に話せるのはRMだけです。韓国語以外にも、BTSは日本語で多くのアルバムをリリースしていますが、これはK-POPが世界で2番目に大きな音楽市場に経済的に依存し、人気を博していたことを反映しています。BTSの韓国語の歌詞は、Big Hitが全てのMVに翻訳を提供していますが、ファンは、ファン翻訳者の仕事を頼りにしています。

Big Hitは、BTSに関する膨大な量のコンテンツをリリースしていますが、世界的に知名度を上げるために、メディアへの露出も積極的に行っています。母国語である韓国語でのライブ配信、日本語でのインタビュー、アメリカの雑誌記事など、ARMYはBTSのすべてに強い関心を持っているため、翻訳サービスへの需要が高いのです。

翻訳の方向性としては、もちろん韓国語→英語がメインです。しかし、BTSはまさにグローバルなARMYであり、世界の主要言語を話す大規模なファンが存在します。BTS関連の新しいコンテンツが公開されると、数分後にはツイッターなどに翻訳版が登場します。ARMYはこの絵文字を使って、どのメンバーが何を言っているのかをすぐに見分けることができます。

翻訳されるのは、メンバー固有のコンテンツだけではありません。ファンはグループに関するあらゆることに興味があります。特に、Big HitのIPO申請書類の韓国語翻訳はありがたかったですね。

Big HitのIPOファイリングの翻訳です。このセクションでは、アーティストとトレイニーのパイプラインについて説明します。

ビデオについては、Big Hitはリリースするコンテンツのほとんどをファンベースの主要言語(英語、日本語、中国語)に翻訳しています。2020年までの大きな例外は、グループのYouTubeページにあるVlogコンテンツでした。そのため、ファンは、Bangtan Subs(Twitterで150万人のフォロワーを持つ@BTS_Trans)のような大規模なファン運営の翻訳サイトに頼らざるを得ませんでした。彼らは、ビデオをホストし、翻訳し、世界中のファンのために文化的背景を提供する専用リソースを持っています。

ファンが運営する主要な翻訳サイトの一つ

ファンとのコミュニケーションや感情的なつながりの多くは、このファン翻訳者の仕事に依存しています。彼らがいなければ、世界的な人気をここまで急速に獲得することはできなかったでしょう。


5)シェア

BTS関連のコンテンツがあまりにも多いため、ファンたちは他の人たちが遅れないようにするためのリソースをいくつも作っています。BTSに関するニュースや記事を配信するPRアカウント(@BTSPressData@BTSdailyinfo、統計データ(@btschartdata)、「今日見逃したこと」のまとめ、さらにはGoogleカレンダーなどです。

BTSの近況を共有することに加えて、もちろん、ユーザー生成コンテンツ(ミーム、編集、概要、分析、反応など)の世界があらゆるソーシャルプラットフォーム上に存在し、ファンが愛するBTSの側面を共有しています(それが彼らの容姿、行動、友情、才能、芸術であればなおさら)。

BTSのツイッターを見ていると、BTSのファンが運営する企業のツイッターアカウントの数が多く、彼らが時にBTSについて投稿しているのを見て興奮しました(ただし、それが「いいね!」や「影響力」を得るための意図的な策略であることが明らかな場合もあります)。

これはBTSとLionsgateの世界が交差する、楽しいスレッドでした。


6)書く

BTSの才能、芸術性、そしてビジョンを広めるために、ファンは熱心に膨大な数の説明文を書き、他の人がBTSを評価できるようにしています。

こうしたファンの努力が、文字通りBTSに商業的な機会をもたらしました。BTSは、韓国のビタミンブランド「Lemona」の公式スポークスモデルを務めていますが、これはファンがSNS上でBTSを「人間のビタミン」と表現したことが、同社のマーケティング担当者の目に留まり、相乗効果のあるパートナーシップの可能性を見出したためです。

ARMYは、BTSの音楽やパフォーマンスには、象徴的な表現や文化的・哲学的な言及が多く含まれており、そのような考えや配慮に特に感謝しています。

韓国のファンに最も感情移入されている曲は、セウォル号フェリー悲劇の若い犠牲者へのオマージュであると広く信じられている「SPRING DAY」です。このスレッドでは、2013年に公開されたポン・ジュノ監督の映画「スノーピアサー」と、アーシュラ・K・ル・グインのSF短編小説「オメラスから立ち去る者たち」のテーマ性を取り入れたMVについて解説しています。

ファンダムにおける最大の憶測の源であり、説明文の必要性を最も感じさせるのが、Bangtan(またはBTS)ユニバースです。BUとは、Big HitがMV、書籍、ブログ、ウェブトゥーン、ビデオゲームなどで展開している別世界の物語です。知らない人には非常にわかりづらく、テーマも非常に暗い(虐待された子供時代、自傷行為、死)ため、ファンがすべてを理解するのに役立つARMY Theorists' Societyのようなアカウントが必要とされています。


守る

「ARMYが成長するにつれ、彼らはDavid対Goliathの物語の一部であるように感じ、おそらく他のファンダムよりもBTSを保護するようになりました。ARMYがなければ、この特別なグループは熾烈な業界で生き残れないかもしれないという(実際の)理解があったので、彼らはセプテットのパフォーマンスのキャリアを守り、サポートし、前進させることを求められていると感じました。これにより、ファンダム内にBTSを積極的にサポートする文化が生まれ、BTSがK-POPグループ史上最も成功した(収益、業績、ファンダムの大きさの点で)グループになっても続いています。」
CedarBough Saeji氏(@TheKpopProf

ARMYファンダムの慣習の観察

Big HitはBTSを守るために物理的なセキュリティと法的な代理権を持っていますが、ARMYは自らの手でBTSを守っています。

BTSとARMYのオンラインとオフラインのセキュリティに特化した、クリエイティブ、調査、危機管理を備えた文字通り「ARMYプロテクション・スクワッド」があります。


7)レスポンス

ファンがBTSを守るために活動する主なオフラインの脅威は、空港や会場での人混みと、サセンファン(アイドルの注目を集めて親近感を得るために、アイドルのプライバシーを侵害する強迫観念的なストーカーファン)です。例えば、ファンは地元の空港と連絡を取り合い、BTSとファンの両方を守るために、バンドの人気を考慮した追加のセキュリティ対策の必要性と組織を認識するようにします。

また、オンラインでは、ファンはBig Hitと相乗効果を発揮し、悪質な行為の証拠を専用の受信箱(protect@bighitcorp.com)で共有します。


8)編集

BTSの評判を守るための主な方法の一つは、グループやメンバー個人に対する批判に直接対応する「編集」を行うことです。

製造されたイメージを持つK-POPでは、BTSが指示されただけのアイドルではなく、本物のアーティストであることを証明するために、BTSがどれだけ音楽制作に関わっているかに焦点を当てた編集が多くあります。

K-POPのスキルカテゴリーであるボーカル、ラップ、ダンスのうち、BTSは他のK-POPグループに比べてボーカルが苦手だと考える評論家がいます。そのような意見に対して、ファンはボーカルの専門家からの情報を共有して、それを証明しています。


9)調査

BTSに対する主な偏見の一つは、このグループが単なる「ボーイズグループ」であり、ファンはホルモンに狂わされてまともな思考ができない10代の女の子であるというものです。これに対抗するために、ファンは団結して、BTSが様々な学術分野に与える影響を議論し、共有するための研究的なフォーラムをいくつか作りました。

2020年1月には第1回BTS学術会議が開催され、ファンの学者たちがアイデンティティ・ポリティクスからマーケティング戦略まで、さまざまなテーマで論文や発表を行った。第2回は2021年5月に開催される予定です。

ファンの学者たちは、"BTSとARMYが生み出すアート、ファンダム、経済効果、社会文化的な力に焦点を当てた、オンラインでオープンアクセスの査読付きジャーナルであるThe Rhizomatic Revolution Reviewを作成し、寄稿しています。

アイドルを応援するためのファンの労力は計り知れないものがあります。BTSのファンダムであるARMYにおけるこれらの行動の概要を知るには、ファンが作成した網羅的な「BTS & ARMY Starter's Guide」をチェックしてください。驚くことではありませんが、このほとんどはファンが作成したものです。

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Google Document:BTS & ARMY Starter's Guide

BTSとBig Hitほど豊かな物語世界を展開し、それがファンのBTS成功への情熱を高めている音楽グループは他にないと思います。メディアアナリストのMatthew Ball氏はこう説明しています。

映画 やメディアではなく、「ストーリーテリング・フランチャイズ」を中心としたビジネスは、無形のオペレーティング・レバレッジに基づいて優れています。
誰かにコンテンツをより好きになってもらう際、実際にコストがかかるわけではなく、「その価値」が大きいため、ディズニーのような企業は膨大な「限界親和性へのリターン」を得ることができるのです。そして、この愛を利用する機会が多ければ多いほど、また、それが得意であればあるほど、レバレッジは大きくなるのです。

Matthew Ball


プロダクト&サービス

「BTSのファンダムとの共同作業は、Big Hitが提供する最大のサービスのひとつです。」パン・シヒョク、TIMEの2019年のインタビューにて

TIME

このグループを見たり調べたりする時間が増えるにつれ、私は個人的に、7人のメンバーとの感情的な結びつきが深まっていくのを経験するようになりました。合理的に考えれば、私はメンバーに会えるとは思っていませんし、ましてや友人になれるとも思っていません。しかし、私はこれまで他の有名人に対して経験したことのない方法で、彼らの成功と幸せに投資していると感じました。

このように、メディアに登場する人物との間に築かれる一方的な絆を表す心理学の用語があることを知りました。1950年代後半に初めて作られた言葉で、「パラソーシャル関係」というものです。

PBSの科学ドキュメンタリー番組「NOVA」は、デジタル時代における「パラソーシャル現象」の増加について、「パラソーシャルな関係は、関係者が実際に知り合ったり、顔を合わせて交流したりしないという点で "現実 "ではないが、その心理的影響は本物である可能性がある」と説明しています。

K-POP業界では、(最近のインフルエンサーの台頭までは)欧米のセレブ文化ではほとんど見られないほど、ファンとの間にこうしたパラソーシャルな関係を構築することに明確な焦点が当てられており、プロモーションや「ファンサービス」の主要な活動の多くは、ファンがアイドルと友達であるかのように、あるいは「デート」しているかのように感じさせることを中心に行われています。このような心理的な親密さを築くことは、もちろん、消費や購買行動のためになります。NOVAの番組で紹介された研究者の一人、ヒューストン大学の心理学助教授であるジェイ・デリック氏は、パラソーシャルな関係が強い帰属意識を生み出し"自尊心の低い人が理想の自分に近づいたと感じることができる "という研究結果を発表しています。**

エンターテインメント製品やサービスは、マズローの欲求階層の最下層にある基本的欲求には対応していませんが、帰属意識や自尊心などの中心的な心理的欲求には確実に対応しています。Big Hit社がBTSのために作ったすべての収益源を見てみると、マズローの階層構造は、BTSのすべての製品やサービスを整理するのに役立つフレームワークであることがわかりました。

大多数の芸能人は、映画やアルバム、商業的な推薦など、売れるためには自分のアウトプットや個性に強く依存しています。今回のBTSのビジネスモデルで興味深いのは、アイドルグループであるBTSという「オリジナルIP」から派生した「セカンダリIP」のブランドを多数展開していることです。


オリジナルIP

音楽活動としてのBTSと7人のメンバーはもちろん、音楽、コンサート、ファンクラブ会員権、グッズなど、Big Hitが販売する典型的な音楽商品・サービスのソース、またはオリジナルの知的財産です。

特に注目すべきは、グループがリリースする有料コンテンツの多さで、2019年にはBig Hit全体の収益の13%を占めています。ファンは、公開されたすべての無料コンテンツを通じてグループに心理的に投資するようになり、お金を使って有料コンテンツを購入したいと思うようになります。

それは、グループとさらに多くの時間を過ごすことができ、旅行しているときの彼ら(Bon Voyage)、リラックスしているときの彼ら(In the Soop)、コンサートの舞台裏(docuseries / Film like Break the Silence)やエンターテイナーとしての日常生活(「Memories of [2019, 2018, etc.]」DVDセット)を見ることができるものです。

BTSがエンドースした商品やコラボ商品を購入することで、ファンはお気に入りのアーティストと関連しているというステータスや検証を感じることができます。多くの芸能人(特にK-POP界)が行っているこのような典型的なエンドースメントを超えて、Big Hitは、ファンの自尊心や自尊心を高めるための共創(ビデオゲームやデジタルアーカイブ)や教育(韓国語の学習や現代アートについての学習)に関与する数多くのプロダクトやサービスを開発しています。


セカンダリーIP

BTSの音楽制作やパフォーマンスに直接依存しない、より安定した継続的な収益基盤を生み出す「アーティスト間接関与」のビジネスモデルを実現するために、Big Hitが開発した主な2次IPブランドは3つあります。それらは

Bangtan Universe(BU):メンバーをベースにして、悲劇的な背景を持つ架空のキャラクターを登場させたパラレルワールドのことです。このトランスメディア・ストーリーテリングは、2015年にグループのアルバム「The Most Beautiful Moment in Life(花樣年華、hwayangyeonhwa、英語ではHYYHと略される)」シリーズから始まり、現在ではMVやショートフィルムから、ブログ、ウェブトゥーンシリーズ(Save Me)、書籍、ビデオゲーム(BTS Universe Story)へと拡大しています。


TinyTANBTSのデジタル・ドッペルゲンガーとして活躍するアニメーション・キャラクター。2019年後半に登場し、すでに自身のミュージックビデオや短編映画「Magic Door」、韓国Downyの初のCMエンドースメントなどに出演しています。

BTSのアニメーション・ドッペルゲンガーであるTinyTANの公式デビュービデオです。Twitterでは、ファンが(10代ではなく)20代の若い女性であることを表現していることに感動し、BTSとその会社に「見られている」と感じたというコメントが多く寄せられました。

BT21:BTSとグッズブランド「LINE Friends」とのコラボレーションによるBT21は、7人のメンバーによって作られたアニメーションキャラクターの世界です。それぞれのキャラクターはメンバーによって作られており(例:ChimmyはJIMIN、RJはJINなど)、ファンは一連のYouTubeプレイリストの中で、キャラクターの裏話やストーリーを作り、ブレストする様子を見ることができました。


自己実現

2018年にBTSを代表して国連で行った演説でRMは 「Love Yourselfアルバムをリリースし、Love Myselfキャンペーンを開始した後、私たちは世界中のファンから、私たちのメッセージによって人生の苦難を乗り越え、自分自身を愛するようになったという驚くべきストーリーを聞くようになりました。このような話を聞くと、私たちの責任を痛感します。だからこそ、みんなでもう一歩踏み出しましょう。私たちは自分自身を愛することを学んだのですから、今度は皆さんに「自分自身を語る」ことを勧めます。」

マズローの欲求階層の頂点は「自己実現」です。製品やサービスを公式にこの層に入れることにはためらいがありましたが、ARMYを何ヶ月も観察していると、BTSが「自分を愛し、自分を語り、自分であれ」というメッセージを通じて、ファンが自らの自己実現を達成するための導線となっていることが明らかになりました。

YouTubeクリエイターでARMYの@xCeleste___さんは、@BTS_twtが夢を追う勇気を与えてくれたと語っています!
フルビデオをご覧ください! 
ブライアン・パトリック・バーンᴮᴱ (@bybrianbyrne) 2020年10月10日


私のBTS 「アハ体験」

2020年1月28日にYouTubeで初めてBTSの動画を見たとき、私はファンになるとは思っていませんでした。その日は、BTSがグラミー賞のパフォーマーとしてデビューした2020年のグラミー賞の翌週の火曜日で、私が2000年代前半からフォローしているゴシップブロガーのOGの一人で、ゴシップ、カルチャー、ビジネスの交差点で美味しくて鼻につく洞察力に富んだ投稿をしているLaineyGossipレイニーが、「なぜあなたはまだBTSにハマっていないのかあなたに問題があるんじゃない?」という投稿をまたしても、していました(少なくとも2017年以降、彼女が緊急性と定期性を増して投稿しているバージョンがあります)。

その日は暇だったので、最終的に大騒ぎになっていることを理解しようと考えました。その時点での私の印象は、欧米の主流メディアでは「K-POPボーイズグループ」というレッテルが貼られていることから、BTSはSnapchatやTikTokのように、ミレニアム世代の高齢者である私には、その楽しさを完全に理解して理解するには年齢的に無理があるものの一つになるだろうというものでした。

仕事ではデジタル・カスタマー・ストラテジスト(デジタル顧客戦略家)として、プライベートではInstagramを熱心に利用し、YouTubeやSpotify Premiumにも加入している私は、ラッダイトではありませんでしたが、完璧にヘアスタイルを整えた7人の男性(K-POPに対する私の印象は、その威圧的なまでの大人数)を見分けることや、主に韓国語で歌われる曲を理解し、関連付けることの難しさを感じていました。私のボキャブラリーは「こんにちは」「ありがとう」「好きな韓国料理の名前」くらいですが、これだけ素晴らしい英語のコンテンツがある中で、エンターテイメントのために克服するには、学習曲線が大きすぎるように思えました。また、外国語の音楽を聴くことは、外国語のテレビシリーズや映画を字幕付きで観ることとは全く異なる感覚があります。例えば、私は「パラサイト」の大ファンで、アカデミー賞の作品賞を受賞するまでに3回観ましたが、私にとって音楽は外出先で聴くメディアなので、BTSの曲を聴くために歌詞の翻訳を読む労力を楽しむことは想像できませんでした。

YouTubeのアルゴリズムのおかげで、一つのBTSビデオが次のBTSビデオにつながり、さらに次のBTSビデオと、BTSコンテンツのパンドラの箱が開かれていきました。私が意識的に登録する前に、BTSは私のエンターテイメントの帯域をすべて占領していました。私は7年分のコンテンツに遅れをとっており、彼らのコンテンツ・フットプリントの膨大な範囲を理解するには数ヶ月を要するでしょう。

BTSのウサギの穴に入りながら、私はよく、なぜこのグループ、この7人の男性が、非英語圏の音楽グループとして、最終的に世界的なスーパースターダムにクロスオーバーすることができたのかと考えていました。何が彼らを特別な存在にしたのか?彼らの成功を説明しようとするいくつかの特集を読んだことがありますが、その議論は非常に浅く、辛口で、過度に偏ったものでした。

Vultureの分析によると、「BTSのアメリカのファンベースは、PRや慈善活動の腕を十分に発揮して、複合体のような構造に進化している」と称賛されていますが、なぜBTSが、この10年間にデビューした何百ものグループの中で、このような支持者を刺激した唯一のK-POPアクトなのかについては、ほとんど推測されていません。韓国のメディアでさえ、BTSのユニークなコードを解読するのに苦労していることを認めています。

BTSがまさにそうであるように、ファンに支えられた現象の物語を理解するとき、読者として見つけたかったのは、彼らのファンの心理を理解するためのマルチメディアのハイライトと文脈を私のためにまとめてくれた作品でした。もし、これが自動車部品業界の分析であれば、市場や競争力、最終市場の予測、コアコンピタンスなど、かなりドライな分析になり、車の楽しさを語る必要はないでしょう。

しかし、エンターテインメント業界とクリエイティブ業界は本質的に異なります。Big Hitは、2020年6月に発表されたハーバード・ビジネス・スクールのケーススタディに、BTSの経営における重要な事実、数値、原則について幅広く参加しました。 私は個人的にこのケーススタディに魅力を感じましたが、それは主に私がすでに数ヶ月間BTSに浸っていたからです。そうでなくても、そもそもBTSの音楽やコンテンツを知らなければ、特に革新的な消費者向けパッケージ商品(CPG)の会社についてのケーススタディを読んでいるのとあまり変わりませんでした。

BTSのコンテンツの渦中に入って数週間後、私はBig Hit Entertainmentの会社説明会を偶然見つけました。同社は、IPOに向けてより広い投資家コミュニティに自分たちのストーリーを伝えるために、2019年からこうした活動を始めていました。

創業者のパン・シヒョクと彼の部下たちが話している間に、ビジネスフレームワークや組織モデルの洗練されたグラフィックが背後で点滅していたのですが、私は「ハッ」としました。そのコンテンツは、私が戦略のプロとして日々の生活の中で経営幹部に提供するために準備しているものと全く同じだったのです。

私は当初、BTSの成功をビジネスのレンズを通して分析したいとは思っていませんでした。ビヨンセの成功を理解するのに、非常に優れた才能と芸術的なビジョンを超えたフレームワークが必要でしょうか?

しかし、多くのファン(消費者)が彼らのアートにアクセスするための障壁を考えると、この企業説明会、そしてBig Hitが彼らの「勝利の方程式」として説明した「アーティスト-企業-ファン」のフレームワークを通して、私は満足のいくようにピースを組み合わせ始めたのです。

なぜなら、私がBTSの世界に深く入り込んでいく中で、ずっと心の奥底にあった疑問は「なぜこのグループなのか?なぜこの7人なのか?なぜ彼らは世界的なスーパースターダムにクロスオーバーするために選ばれたのか?それは本当に運が良かっただけなのか、適切な場所に適切なタイミングで適切なメッセージを受け取っただけなのか?」どの記事やビデオを見ても、本当に納得のいく答えが得られなかったので、自分で答えを出してみることにしました。

では、BTSはどのようにしてここまで大きくなったのでしょうか?


なぜBTSなのか?

「時には、自分の世界とは別の世界が存在していて、自分には見えない色が溢れていたり、誰かのためだと思っている喜びで弾けていたり、踊り終わったと思っていたビートがあったり...。理由が何であれ、結果として、あなたはパラダイムシフトとポップスの偉大さの歴史的瞬間を見逃しているかもしれません。」
デイブ・ホームズ

『Esquire』2020年冬号カバーストーリー「The Boundless Optimism of BTS

では、彼らのどこが特別なのか?なぜ彼らはこれほどまでに大成功したのか?韓国の男性アイドルグループが、英語を話さないミュージシャンとして初めて世界のメインストリームに進出したのはなぜか?

それは、7人の若者、彼らの会社(Big Hit Entertainment)、そして彼らの巨大な世界的ファンベース(ARMY)のうらやましいほどの相乗効果に起因しています。

このシリーズの最初の部分では、7人のメンバーに焦点を当て、この文化的な瞬間における彼らの個人的および集団的な特徴が、多くの人々の共感を得ていることを紹介したいと思います。BTSは、K-POPアイドルとしてのすべての面で才能があるだけでなく、ほとんどのスポーツチームがうらやむほどのチームワークを理解し、大切にしています。彼らは、自分たちの経験や感情を込めた音楽や芸術を生み出し、それが偶然にも、若者や社会が次世代のロールモデルに求めていたものだったのです。

そして、彼らの会社であるBig Hit Entertainmentが、革新的な戦略と戦術的な知識によって、BTSの世界でよく使われる比喩を使えば、このグループに「飛ぶための翼」を与えるためのあらゆるインフラを整えたことを説明します。(2016年10月に発売された2枚目のフルアルバム『Wings』が、韓国内外での成功のポイントだと指摘する人は多いですね。)

Big Hit は BTS とともに、アーティストに音楽とキャリアに関するより多くの意見と自由度を与える新しいアーティスト管理モデルを開拓し、従来の非常に制限的で硬直した K-POP のトレーニング、開発、管理モデルから脱却しました。このマネジメント哲学は、BTSの成功に貢献したBig Hit社の最も重要な要素である、キャラクター開発とストーリーテリングへの投資への重要なインプットとなっています。コンテンツの制作と配信に莫大な時間と資源を投入することで、BTSのメンバーは自分たちの魅力的な特徴を4次元的に表現することができ、ファンとの間に驚くほどの親密さ、信頼性、関与を築くことができました。

Big Hitは、音楽、パフォーマンス、ミュージックビデオという伝統的な音楽業界の柱を、ビデオゲーム、アニメーションキャラクターや漫画、パラレルワールドやストーリーラインなど、新たな領域やフォーマットに拡張し、マルチメディア・ストーリーテリングを通じて、没入型の「BTSユニバース」を構築しました。

そして最後に、BTSの愛すべきARMY、つまり彼らの "すべて "についてお話します。このようなファンは、スポーツやエンターテインメントの分野で活躍する人やグループ、チームの羨望の的です。彼らは、主にYouTubeなどのストリーミング・プラットフォームやソーシャルメディアなど、2010年代のテクノロジー・ツールの台頭によって力を得て、増幅されています。

BTSの世界的な成功には、既存のプレイブックはありませんでした。そして今、BTSとBig Hitは、ソーシャルメディア時代にファンを育成するための全く新しいプレイブックを少しずつ構築しています。

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翻訳記事は、以上となります!
ラストでお気づきの通りJudy Knowsさんは全10回の記事でBTSさんを分析されています。リクエストが多ければそちらの翻訳記事もJudyさんにご相談しようと思いますが、ご興味がある方はぜひぜひJudy Knowsさんの記事を見ていただければと!DeepL使えば簡単に読めますので!

読んできて感じるのは、「エンターテイメントは勿論、テクノロジー業界の先端事例をどんどん吸収し、自分たちのスタイルに昇華する。ARMYとメンバーのために!」というチームの指針です。
常時アップデートされ続けるBTSのファンエコノミーから、これからもたくさんの学びと感動を享受したいと思います。

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参考になった方はぜひ、Judyさんにご感想を送ってくださると嬉しいです!
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