見出し画像

音楽療法におけるソングライティング ①


音楽療法におけるソングライティングとは

音楽療法の活動の中に「ソングライティング」があります。
これは、いわゆる一般的な音楽活動である「歌を作ること」だけでなく、クライエントのニーズに沿った「目的あるソングライティング」が行われます。
また、特にクライエントと共に曲を作るときは、作品(プロダクト)だけでなくその作る過程(プロセス)が重要となります。

具体的な活動として例えば、
・動きを促すような曲を作る
・発語を促すような曲を作る
・クライエント(達)が自分の気持ちや思いを表現するために作る
・覚えたい情報を整理して、覚えやすいように歌にする
といった目的が考えられます。

音楽療法士が一人でセッション用の曲を作るときもあれば、セッションの中で即興的に作ったり、既存の曲の歌詞だけを変えて作ったり、クライエントにアイデアを出してもらいながら一緒に作ったり、クライエントが主に全ての曲を作り、セラピストはサポートする。といった様々な作り方も考えられます。

音楽療法でソングライティングをするための第一歩

何はともあれ、どの方法や臨床的場面で使うにしても、音楽療法士はまずは「ソングライティング」に慣れておかなければいけません。
私もしょっちゅうセッションの中で即興的にメロディーや言葉を考えて歌を作っています。
「素敵な音楽を作らなきゃ!」
ではなく、
「どうやったらクライエントのニーズをサポートする曲が、前もって、又はその場で作れるか」が音楽療法士にとってのキーとなってきます。

曲を作る作業をあまりしたことがないという方は、以下のことをまずやってみることをお勧めします。この時、クライエントのニーズに沿った曲にすることはまず、考えずに、自分の好きな音楽を作ってみて楽しんでみましょう。

①既存の曲の言葉だけを変えて替え歌を作ってみる。
②童謡やわらべ歌など簡単な曲のコード進行を使い、メロディーやリズムを変えて曲を作ってみる。
③ポップスや歌謡曲などもう少し複雑なコード進行を使い、メロディーやリズムを変えて曲を作ってみる。
④ピアノ、ギター、ウクレレなど音楽療法で伴奏楽器として使う、いくつかの楽器で①②③をやってみる。

音楽療法でソングライティングができるようになるためには

まず、上記のことに慣れたら今度は音楽療法で使う曲を作ってみましょう。
この時、「始まりの歌」や「終わりの歌」から作ってみると始めやすいかもしれません。もう10年以上同じ曲を使っているという人はいませんか?
本来、これらの曲にももっと音楽療法の目的を含めて良いはずです。

クライエントが成長したら、それに伴って始まりの歌もアップデートされるべきですし、「同じ曲を使うことがどうしても意味がある」という方以外であれば、季節ごとや年に数回は曲を変えても問題はないでしょう。また、その時のクライエントさんの状態によって合う始まりの曲がいくつかあっても良いかもしれません。

いつも同じ始まりの曲を使ってしまうという方は、同じ曲を歌うことは本当に「クライエントのため」なのか「自分の安心材料のためなのか」考えてみる必要があるかもしれません。

臨床で使える曲を作れるようになるには「スーパービジョン」を受けながら、客観的に第三者にみてもらうのが効果的です。特に音楽療法の目標などを考えることが苦手という方は、ソングライティングの過程でも目的のない曲、またはクライエントのサポートにならない曲を作ってしまう可能性も高いので、そういう方は目標のたて方からのスーパービジョンを受けることをお勧めします。

曲作りに慣れたら、最後は臨床の中で即興的に曲を作る練習をしてみましょう。
「即興演奏」の定義は広く、臨床のアプローチ方法によってその使い方や考え方は様々です。その多様な考え方とまた即興演奏に対する恐れから、固まってしまう音楽療法士さんも多いようです。

そういう方は、まずは臨床的な即興演奏から離れ、自身が楽しめる即興演奏を体験してから戻ってくる方が良いかもしれません。

挫折しないために。。。 自分の得意・不得意を知る

ソングライティングといっても様々な方法や目的、使い方があります。
自分にとって得意、不得意の分野もあるかもしれません。
苦手意識でソングライティングから遠ざかっている音楽療法士さんも多いようで、残念に思っています。最近は便利なアプリやテクノロジーがあるので、そういうものを使えば楽しめるものになるかもしれません。

私自身の話をすると、私は音楽はどちらかというと不得意で演奏にも自信がありません。ですが、ソングライティングは楽しくて大好きです。
だからといって、自由自在になんでも作って演奏できるわけではありませんが、自分の得意とするところと不得意なところを理解しており、それをカバーするスキルを身につけているので、苦ではないのかもしれません。以下に、私のソングライティングにおける得意な事と不得意な事をまとめてみました。

*******************************
私は、歌詞を考えるのが一番得意で、即興でも割とスラスラ言葉が出てきます。
しかし楽譜におこすことが大変不得意です。ですので、記録はもっぱら歌詞を書いて、コードを書いて、録音で乗り切ってます。ギターでのソングライティングが一番やりやすいので、ギターをよく使います。
メロディーも割とすぐいろんなパターンが出てくるのですが、コード進行を考えるのは苦手なので、既存の曲のコード進行を真似たりしています。
いろんなジャンルの曲を聴くのが好きなので、〇〇風の曲を言われれば、割とリズムやメロディーは出てきますが、コード進行を考えたり楽器でそれを再現することは苦手です。ですので、よく使うコードパターンが書いてくれている教則本を愛用してます。
********************************

このように、自分の得意なことと不得意なこととその対策方法がわかっていれば、ソングライティングをやってみようという気持ちが湧いてこないでしょうか?

音楽療法士だから全て自分でできなければ、またはオリジナルでなければという思い込みは捨てて、利用できるツールや資料は大いに活用して、少しでもクライエントさんに役立つ音楽を提供しましょう。音楽療法士は音楽を道具として使い、クライエントをサポートする専門家です。

まずは、自分がどの道具を使うのが得意で不得意なのか、そしてどのようなツールを使えば使いこなすことができるのか再考してみましょう。

゚・*:.。..。.:*・' *゚・*:.。..。.:*・' *゚・*:.。..。.:*・' *゚・*:.。..。.:*・' *゚・*:.。..。.:*・' *
音楽療法自習室のご利用ありがとうございます♪
自習室は24時間、365日いつでも無料でご利用できます。
総合案内所に戻る
゚・*:.。..。.:*・' *゚・*:.。..。.:*・' *゚・*:.。..。.:*・' *゚・*:.。..。.:*・' *゚・*:.。..。.:*・' *゚

・初めての方はこちらをお読みください
  音楽療法の自習室について
  音楽療法自習室の総合案内所
・音楽療法に関する様々な情報&学びの場については
  Music Fits Japan ウェブサイト
・細江のSNSはこちらです〜。随時音楽療法に関する情報を発信してます♪
      Twitter
      Instagram
      Youtube 
  アメブロ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?