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衛星画像で見る世界の遺跡 ー テオティワカン/メキシコー

 ESA(欧州宇宙機関)が運用している陸域観測衛星Sentinel-1とSentinel-2の観測画像を使って世界の遺跡を見てみます。衛星画像はGoogle Earth Engineから取得しています

 有名どころですね。
 南から、ケツァルコアトルの神殿、太陽のピラミッド、月のピラミッドが並んでいて、それらを大きな参道「死者の通り」が繋いでいます。Google Mapでみると下のリンクのとおりです。

 まずは、上のGoogle Mapと同程度じ範囲をSentinel-2のTrueColor画像(2023年11月7日観測)でみます。下の画像です。案外、街中にありました。「メキシコの大森林を抜けると突如として広大な遺跡が出現する」という風景を想像していましたが、勝手にガッカリしています。

Sentinel-2観測のTrueColor画像(2023年11月7日観測)

 次にSentinel-1の後方散乱強度の画像です。赤色にVV偏波強度、緑色にVH偏波強度を割り当てています。太陽のピラミッドはさすが規模が大きいだけに良く電波を反射するのでしょう、VV偏波強度(赤色)が強いですね。月のピラミッドもなかなか良く反射していることが分かります。面白いのは電波がよく反射しているところが観測日ごとに交互に現れているところでしょうか。これは別に考古学的に面白いと言うことではないのですが、Sentinel-1から照射される電波の照射方向が観測日によって異なるからでしょう。11月9日は東側から照射しているけど11月12日は西側から、11月21日は再び東側から、という具合にこの辺一帯を観測するとき、東側と西側から交互に電波を照射する軌道になるのでしょうね。
 
 画像上で太陽のピラミッドの電波反射強度が強い部分をよく見ると三角形になっていることが分かります。そして、その三角形が東側と西側で交互に東西対象の形で現れます。このことから反射強度の高い部分に三角錘状の構造物があるのだと言うことが分かりそうです。もし、太陽のピラミッドの様な未知の構造物がどこかにあって、Sentinel-1観測で同じようなシグナルを見つけることができれば、今回のような画像で見えてくるのかも知れません。そんなことができたらいいなぁと思いながら、この記事を書いています。

Sentinel-1観測の後方散乱強度画像