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同舟

日々の新しい芽を綴ろう!と始めながら、先週は北海道行きや、その前後のあれやこれやにぎゅうぎゅうになって、さっそくお休みしておりました。

noteを使って、あんなこと、こんなことをしよう、、と構想があって始めたので、まずは習うより慣れろという感じなのですが、始めてみると早速noteならではの使い方、活用法が感じられてきました。
日々のことを綴る場ではなくって、論文的?にまとめてみたりが効果的かなぁと気づいてしまったり(笑

とはいえ、ひとまず、「マガジン」という機能を使って、「日々の芽吹き」はゆるりと続けつつ、やってみよう構想のひとつだった「ものづくりの人と共にある中で残したい言葉」をまとめていくことも始めようと思います。

ヒナタノオトや工房からの風のブログに中で以前に綴った言葉を、時を経て推敲してみることにしました。
何かが起こって、その折々に深く考えて書いた文章を、「その時」ではなくても読めるものであったらうれしく思います。
作ることを仕事にしていくひとや、その人たちの仕事に共感するひとと共にこのマガジンが在ったらいいな、と願っています。

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画像のエメラルドグリーンの水は支笏湖。
札幌、夕張と作家を訪ねていった北海道行きで、急遽カヌーに乗ることになったのでした。
連れて行ってくださり、一緒にカヌーを漕ぐことになったのは、昨年「工房からの風」に出展された方と、2007年に初めて出展された方。
2019年の初夏の日に、碧の湖で同舟!することになるなんて、思ってもみないことでした。

というか、そもそも新千歳空港に着いた時、翌日にこのようなことになるとは思ってもみなかったのです。
2019年に初出展のHさんが空港までお迎えに来てくださって、そのまま拉致されるかの如く行き先を告げずに
「稲垣さんをお連れしたいところがあるので・・・」
と車を走らせてくれたのでした。
どこか景色のよいところか、素敵なギャラリーでも連れて行ってくださるのかしら?と言われるままに助手席に座って呑気に構えていると、どうも小樽方面に向かっているようだなぁと。

小樽地方には二回来たことがありました。
一度目は2012年、その2007年初出展の作家Kさんが移転した工房を訪ねて。
その次は2016年、小樽・余市地方を雑誌の取材で行きました。そのときもKさんにお手伝いをいただいたのでした。

その後、制作発表形態を変えられたとうっすらと耳に入りながら、時が過ぎていく中で、折々どうされているのかなぁと気になり、でも、私から問うよりも機が熟した時に、またご一緒できるだろうなぁと思っていたのでした。
なので、今回の北海道行きでも連絡を取らずにいたのでした。

景勝か素敵ギャラリーか?と思いながら車が停まった先には、Kさんが立っていました。
思ってもみなかったので、びっくりしすぎて笑顔になれず、たぶんフリーズしていたような気がします。
でも、じわじわうれしさがこみあげてきた再会だったのでした。

車で連れてきてくださったHさんは、Kさんに「工房からの風」を勧められて応募をしたとのこと。
当日作ってこられた素敵な什器も、その作家の方が拵えてくださったものだったのだと。
(当日「こんないい什器、どうされたの?」ってお尋ねしたら、「知り合いに作ってもらったんです」って答えていましたっけ・・・)
Kさんと知り合いだったなんて、まったく話の中で出たことはなかったのです。

新しい展開を始めたKさんが、工房からの風をとても大切に想ってくださっていて、だからこそ、ちゃんと展開が軌道に乗るまで私に話ができなかったということ。
その想いを深く理解するがゆえに、気軽にKさんの名前を出せなかったHさん。
ふたりのそれぞれの誠実な想いに、胸がいっぱいになりました。

「迷いましたが、稲垣さんがせっかく北海道に来られるのだから、なんとかKさんの新工房にお連れしようと」
そんなHさんのあたたかな想いに気づきもせずに助手席に乗っていた私。
新しいKさんの工房で、新しい作品群に囲まれながら、ふと閃いたこともあり、これからの展開が楽しみになってきたのでした。

翌日、運転が得意なKさんが急遽加わってくださって、あちらこちらに案内をしてくださいました。思いがけず支笏湖でカヌーに乗ることになったのも、そんな流れの中のこと。

大きな意味では、今ここに生きていること自体が大きな船に同舟しているようなもの。
その中で小さな舟に折々乗り合わせ、共に時を漕ぎ進めていくのですね。
絵のような碧い水の上、眩しい光と澄んだ空気の中で、おっかなびっくり櫂(パドル)を運びながら、KさんHさんとのこれからの漕ぐ時間を豊かに感じたのでした。





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