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誰かの人生の分岐点になる仕事

自分の関わった仕事が誰かの人生の分岐点になる時もある。前職の「イケウチな人たち。」というオウンドメディアでは、独自の哲学を持つプロフェッショナルにインタビューをする機会が多かった。

その中の一人に、後々になって「イケウチな人たち。に救われたんです」と言われた事がある。聞けば、記事を公開する前に資金繰りがあと2、3か月でショートするかもしれないという状況に陥っていたそうだ。そんな状況下での取材とは、夢にも思わなかったが、記事は想像以上に多くの人に読まれた。

記事を読み、感銘を受けた人がお店に行くことでファンが増え、結果として他のメディアでも取材されるようになり、今ではとても順調にビジネスを展開している。

こんなエピソードもある。3年ほど前に、高円寺の銭湯「小杉湯」で使用しているタオルをコインランドリーで洗濯・乾燥をして、みんなで丁寧に畳むというイベントを開催した。

皆で円になって無心になってたくさんのタオルを畳む、ただそれだけのイベントだったが、15人ほど集まり心が整うイベントとして意外にも好評を博した。その中に高校生が1人がいた。こんな風変りなイベントによく参加をしていただいて、と驚いた覚えがある。

その彼と、先日久しぶりにIKEUCHI ORGANIC東京ストアのイベントで再開した。僕はどこかで見た事のある人だな、と思ったら彼の方から声をかけてくれて即座に思い出した。聞けば、あのイベントをきっかけにIKEUCHI ORGANICにのめりこみ、ファンになってついには今年開催された工場見学イベントに、今治まで訪れたそうだ。

ファンイベントでは、IKEUCHI ORGANICを知るきっかけになった小杉湯のイベントがいかに面白かったか、参加者の前で熱弁をふるってくれたらしい。

小さなブランドであっても、こうしたたくさんのファンの声により、ブランドは長く長く続いていく。

数値的に会社の売上がどれだけ上がったか、そんなつまらない話を持ち込んでしまえば、跳ね返されてしまう話だ。だけど、確実に、自分の想像もしなかったところで、誰かの、ちょっとした人生が変わるきっかけになっている。

誰かの記憶に残るような、人生の分岐点になるような仕事に関われた時間が多ければ多いほど、自分自身の心も豊かになるし、少しでも誰かの心の拠り所になっていたかと思うと嬉しくなる。

大企業にいると、なかなか一人の人が喜んだ顔を想像するのが難しいと感じる瞬間があるが、仕事をする上で意味のない仕事なんて一つもないはずで、きっと誰かのちょっとした幸せに貢献できていると信じている。



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