絶望の歌

何をやってもうまくいかない

何をやっても楽しくない

やるべきこともなければやりたいこともない

何をやってもうまくいかない

何をやっても楽しくない

やるべきこともなければやりたいこともない


なんでこんな言葉を見せつけるのかって?

理由なんてないさ

ただ私は私の苦しみを終わらせたいから

文字に乗せて誤魔化しているのさ


結局言葉は身代わりなんだ

私の代わりに苦しんでくれる

私が苦しいと書けば

言葉の中で私が苦しみ

私の体は指がただ疲れるだけ

ただそれだけさ

私が望むのはたったそれだけ


私はつまらない人間だから

誰かの慰めになる言葉も

誰かの気晴らしになる物語も

全然描けない思い浮かばない

絵を描けば「自己満足だね」

歌を歌えば「夜中にうるさいぞ」

結局私は何にもならない

自分で楽しむことさえできないからさ

せめて意味のない文章を書くことくらいは許してほしい

それを人が触れられる場所において

君たちの時間と心を削ってしまったとして

悪いのは私の言葉であって私自身じゃないから

どうか私のことは許してほしい


私はいつでも情けない

つまらない人間すぎて

何をやっても空回り


そのくせプライドばっかり高くって

もっと頑張ればもっとできるはず

なんで私は頑張れない?

そんな言葉で自分を埋めて

這いつくばって枕を濡らす

結局私は反応乞食

誰かに認めて欲しいだけ

そのくせプライドばっかり高くって

せっかく認めてもらっても

「私は認められるためにやってるんじゃない」

なんて言い張るんだ


どうせ私は頭の悪いお嬢様

得意なことは何もなく

仕方ないから自分を見つめ

いいところひとつ見つけては

大げさに喜ぼうとする

全部誤魔化してるだけだって分かってるくせに

それでも自分を何とか高い場所に保っていたい

何をやってもうまくいかない

誰と一緒にいても気分が悪い

何をやってもうまくいかない


私は世界一の大馬鹿者

神に祈ることすらできず

ぽかんと口を開けてはネットサーフィン

時々くすりと笑っては

もうひとりの私がしかめ面

お前はいったい何をやっているんだと

私を咎める

私を叱る

でも私にできることは何にもない


ただ正直にこうやって書いている時だけは

私の弱さと情けなさを

意味もなく描いている時だけは

私の心も体も

私という存在を許してくれる


私は弱い

弱すぎるくらいだ

どうしようもなく無能で

どうしようもなく怠惰だ


私は暗い

暗すぎるくらいだ

どうしようもなく暗愚で

どうしようもなく低劣だ


こんな夜は死んでしまいたくなる

昔の私は死ぬことができた

でも今の私はそうじゃない

死ぬことが怖くなったのではなくて

死ぬことが無意味であることに気づいたからだ

私の空しさにも悲しさにも意味なんてなくて

耐えること自体に慣れてしまって

生を呪って憎んでそれを終わらせようとするだけの気力すら

私にはもう残っていないんだ


どうして私は生き残ってしまったのだろうと

生きる価値のない私はひとり

明るい照明のついた部屋で不思議がる

どうして私は何もせずに生きていくことが許されているのだろうと

生きる価値のない私はひとり

コンピュータの前でキーボードに手をのせて

そんな言葉を書き続けている


私は空っぽだ

私に中身なんてない

どうしようもなくてくだらない人間だ

そのくせ他人に嫉妬することすらしない

嫉妬しないから尊敬もしない

結局他人のやることに興味がないのだ

他人の作ったものを楽しむことができないのだ

才能もないくせに消費に徹することすらできないのだ

くだらない人間として己を認めそのように生きることすらできないのだ


私は欠陥人間

何をやっても満たされない


世界に足りないものはないけれど

私に足りないものはあまりに多い

でも何が足りないのか分からないし

何が余分なのかも分からない


人生に価値などなく

そろそろ夏も終わり

嫌な季節がやってくる

秋も冬も春も嫌いだ

夏だけが私の味方だった

夏だけが私を愉快にさせてくれた

夏が去っていく

夏が終わっていく

私は寂しくて仕方がない

暗い一年が始まる


私を探さないでくれ

私を元気づけないでくれ

私を頑張らせないでくれ

私を放っておいてくれ


哀れでどうしようもないこんな私のことなど

どうか忘れ去ってくれ


私はあまりにも私自身だ

芸術性のかけらもない


そこにいるのはありふれた醜いひとりの人間

みんな人間には見飽きていて

少しも興味はない


ある人は言った

人間が裸で姿を現したら誰もがこう思う

「とっとと失せろ」

私は死んでしまいたい


この世からとっとと失せてしまいたい

私は終わっている

私はくだらない存在だ

私はどうしようもない存在だ


いつかは報われるなんて

まだそんなことを信じてるのだろうか私は

もはや自分の望んでいることすらわからない

自分が救われている姿が想像できない

自分が喜んでいる姿が想像できない


褒められるのにも慣れてしまって

飽きられるのにも慣れてしまって

生きることの痛みにも死ぬことの悲しみにも慣れてしまって

私はもはや自分が何のために生きているのかわからない


ただそこにいるから生きているだけ

空しくて寂しい


それが人生なのかと思えば思うほど

死が恋しくなる


私の人生に意味なんてない

私は私のこの感情が

私の死の間際にも訪れることを確信している


私は少なくとも私が生きている間に

私が何か意味のあることをしたことにはならないような気がしている

誰からも認められず誰からも愛されず

ただ無駄な存在として生き

ただ無駄な存在として死ぬ

そんな自分の一生が

いつも私の頭に浮かんできては

優れた自分であろうとする私を嘲笑っている

私には何もない

何かあるはずだと思ったのは勘違いだった

私のやったことは全部ただの気晴らしだった

私のやったことは全部自分が少しでも楽に呼吸をするためのことだった

私はどうしようもなく空しい人間で

空しいままに死んでいくのだと

私は今ここで確信し

それを自分の本質にしようとしてしまっている


もう何もかもがどうでもよくなって

ただそれを書くことだけでしか

ただそれを率直に描き出すことでしか

私はそんな自分を捨て去ることができないような気がしたから

私は私の感じたことをそのままこうして言葉にうつす


祈ることさえもはやできない

「いつか私が私の想像もできないくらい豊かな私になりますように」

なんて無邪気に願うこともできなくなって

私は疑いではなく

絶望的な確信とともに生きている

「そんなの誰も知りえないさ」

なんて希望的推論は

私の直感的絶望の前では無力だ


私は絶望的に絶望している

私の人生は絶望的に無意味だ

無意味なのだ

無意味でなければならないのだ


どうか私を救い出してくれ

それができる人間なんていないのは分かっているけれど

その願いがどうしても消えてくれないんだ

私は自ら私の想像できない自分になることはできないし

なるために努力したり環境を変えることはできないけれど

他者はいつでも私の想像を容易に超えていくから

私はただ待つことしかできない

誰かが私を救い出してくれることを

誰かが私を連れ出してくれることを

誰かが私を愛し認めてくれることを

誰かが私を……私という絶望的な存在を

許し 認めず 守り 壊してくれることを

私はずっと望んでいる


私は私の心を壊してくれる人を探している

私の心は壊されたがっている

私を揺さぶってくれ

私を破滅に導いてくれ

私をこの絶望的なぬるま湯から引きずり出してくれ

私を……私を……私を……

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