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小説執筆スキルを「計画的」に育成する(まずは小説作りの基本から)

基本的に自分は「書きながらスキルを上げる」というスタンスで常にスキルアップを図っているのですが…

そんな中でも「育てるべき執筆スキル」に優先順位をつけ、物書きとしてのスキルを「計画的」に育成しています。

特に大切にしているのが「小説の基礎力」を身につけること。

なぜなら、どれほど面白いアイディアが頭の中にあったとしても、その面白さを小説として「表現」できなければ意味が無いからです。

1.まずは「文章」よりも「内容(中身)」

皆さん、小説の「文章」って細かく覚えていますか?

国語の授業で「覚えさせられた」ものや、好きな小説の印象的な文章の1つ2つは覚えていらっしゃるかも知れませんが…

ほとんどの文章は、だんだん記憶の中で曖昧あいまいになっていって、ボヤッとした「雰囲気」しか思い出せなくなっていませんか?

一方で、物語の「筋」や「シーン」はどうでしょうか?

細部は忘れてしまっても、物語の「流れ」や、「どういう場面でどういう人物がどんな行動を起こしたか」といったことは、比較的カンタンに思い出せませんか?

人の心に残るのは、結局のところ、文章よりもストーリー(内容)なのではないでしょうか?

文章に価値が無いとは言いませんが、中身の無い「文章だけ」の小説では、読者の心に何も残せないのではないでしょうか?

なので自分は「文章(外側)」と「内容(中身)」のどちらを先にスキルアップさせるかと問われれば、まず「内容」と答えます。

これは「美意識」の問題でもあるのですが…

自分は「文章ばかり美しくて、中身はスカスカな小説」は嫌だな…と思うのです。

だったら「荒削りだけど、妙に心が惹かれる小説」の方が良いのです。

もちろん、美しさも中身も、両方備わっていた方が良いに決まってはいるのですが…

初心者がそこまで欲張ってアレコレ手を出しても「どれもこれも中途半端に終わる」気がしますので、まずは「中身」から意識していこうと思うのです。

2.筋の通ったストーリーと、起承転結の構成力(結末まで、ちゃんと書けるスキル)

初心者がまずつまずくのが「ストーリーを完結させられない」「結末まで持っていけない」ということなのではないでしょうか?

「はじまり」から「おわり」まで、ちゃんと筋の通った1本の物語を作り上げるというのは、そんなに簡単なことではありません。

まずは、ここのスキルをちゃんと育てておかないと「どれもこれも途中で筆が止まって書けなくなる」「未完の作品が乱立してしまう」ことになります。

それを防ぐためには、頭の中だけでも良いので、とにかく「始まりから終わりまでの1本のストーリー」のプロットを作っておくことです。

詳細しょうさいの無い、大雑把おおざっぱな「あらすじ」で良いので、とにかく「終わりまでの流れ」を思い描いておくことです。

そうすれば「結末からの逆算」で、ある程度ストーリーが作れるようになります

ゴールが全く決まっていないまま、闇雲に走り出しても「迷子」になるだけです。

逆にゴールさえ決まっているなら、少なくとも「どの方向へ行けば良いか」は分かるのです。

アマチュアの物書きさんの中には、このゴール(結末)設定をおろそかにして、そのせいで「方向性が見えない」「これ以上どこへも進めない」状態になってしまっている方が多いのではないでしょうか?

小説の基本は「起承転結」ですが、「承」や「転」は「結」からの逆算で作れます。

むしろ「結末」へつながるための道筋として「承」「転」を作ることで、ストーリーに一貫した「流れ」ができるのです。

「起承転結」のスキルをUPさせるには、とにかく「起承転結」で小説を書いてみることです。

クオリティーがどうだったとしても、ともかく最後の「結」まで書き上げてみないことには、起承転結の「流れ」がつかめません。

数をこなすなら「短編」が良いですが、より高度な「起承転結」を求めるなら「長編」にもチャレンジしてみた方が良いかと思います。

3.「美しい文章」より「分かりやすい文章」を心がける

どれほどの美文でも、読者に理解してもらえないことには「伝えたいこと」が伝わりません。

そして、ただ美しいだけで何も伝わって来ない作品は、結局のところ、読者の心には残らないのではないでしょうか?

たとえば「マンガ」の世界でも、ヒットするのは必ずしも「絵のうまい」作家さんではありませんよね?

たとえ荒々しいタッチであろうと、絵の技術的には「まだまだ」だとしても、ヒットを飛ばす作家さんはたくさんいます。
 
大事なのは「ただ美しい」「ただ巧い」ではなく、伝えたい「おもしろさ」をちゃんと読者に伝えられることなのです。

そのために必要なスキルの1つが「分かりやすさ」です。

文章の基本は5W1Hですが、文章のレベルと読者のレベル(読解力)次第では、この5W1Hがちゃんと伝わらないことがあります。

マンガで例えると、描き込みの多いマンガは逆に見づらくて、何がどうなっているのか分からないことがありますよね?

逆にある程度デフォルメしてシンプルな絵にした方が、見やすくて分かりやすいということがありませんか?

「分かりやすさ」は「美しい絵を描く」「美しい文章を書く」とは全く別のスキルなのです。

おそらく読者はもちろん作者でさえ、絵や文章の「美しさ」「巧さ」には気づけても「分かりやすさ」に気づいて評価している人は少ないでしょうが…

今この場面で、どの登場人物が何をしているのか…これがちゃんと伝わらなければ、小説の中身を理解するどころではありません

なので自分は「まず最優先は、分かりやすい文章。余裕が出てきたら美しい文章も考えてみる」というスタンスで創作活動を行っています。

ちなみに、難易度高めな漢字にルビを振るのも「分かりやすさ」の一環。

漢字スキルの高くない読者をふるい落とさないための工夫の一つです。

「基本」は評価されないことも多い。だけど大切なこと。

上で挙げてきたような「小説の基本」は、きっと多くの読者には気づかれずにスルーされてしまう類のものでしょう。

人間は「何かヘン」なことにはよく気づきますが、逆に何も変でなく「きっちりできている」ことには気づきません。

インパクトのあるタイトルや凝った文章には早い段階で気づくでしょうが、構成の巧さや内容のクオリティーは最後まで読み終わらなければ気づきません。

(よって、〇話切りする読者には決して気づけないのです…。)

「分かりやすさ」の工夫に至っては、逆にその分かりやすさを「レベルの低さ」と誤解される恐れさえあります。

(小学生に分かるような文章で書いているからと言って、作者の語彙力も小学生レベルなわけはないのですが…あえて語彙の取捨選択をしているということが分からない方々も世の中にはそれなりにいらっしゃるのでしょう。)

総じて言えば「基本的なこと」というのはコスパが悪いのです。

それでも自分がそれを最優先に習得しようとするのは、それが「本当におもしろい小説」を「結末まできっちり」書くために不可欠だと思うからです。

以前の記事にも書きましたが「おもしろそう」と「おもしろい」は別物です。

った文章や派手なアイディアは「おもしろそう」で人を集め、評価や順位も爆発的に上がったりします。

ですが「おもしろそう」な作品が、最後まで本当に「おもしろい」とは限りません

メッキががれるようにアラが目立ち始め、そのうちポロポロ読者が離れていく…そんな作品も山ほどあります。

それは結局のところ、うわべはどんなに「おもしろそう」に取りつくろえても、本当の「おもしろさ」を表現するための「基礎力」が無いからなのではないでしょうか?

文章やアイディアでどんなに人を集められても、結局はおもしろくないと見放される…それは嫌だな、むなしいな…と、自分は思うのです。

なので自分はどんなにコスパが悪くても、評価してくれる人が少なかったとしても、まずは「基本的なこと」からきっちりと始めるのです。



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