パイロット2nd

<茫漠たる手前勝手なCD名盤ご紹介>#8

パイロット 2ndアルバム1975年発売『Second Flight』

これをamazonで見つけた時は目を疑った。この名アルバムが2014年、日本でリマスタリングされ初CD化。なんと1080円(税別)で音質向上された新盤が入手出来るなんて、ワーナーの名盤探検隊グッジョブ!

ワーナーはEMI(パーロフォン・レーベル)を買収した甲斐があったね、だってアナログから買い直した当時(90年代初期)の輸入盤CD、音悪かったもの・・。

さらにパイロットはなんと今月、9年ぶりの来日が決定しており、その記念も併せて今回のご紹介に選んだ。来日公演の詳細はこちら

 パイロットは1974年~1977年にイギリスで数奇な運命を辿ったポップロックバンドである。この二枚目以外にその期間に3枚のアルバムがあり計4枚のオリジナルアルバムを出している。

その中でまあ異論もあろうが、個人的にはこの2ndが最高傑作だと思う。

1970年代初頭ビートルズ解散以降、イギリスの音楽シーンはある種の混沌を極めていた。

クイーンも大ブレイク前で、バッドフィンガーなどのパワーポップ路線や、ベイ・シティ・ローラーズなどのポップアイドル系路線など、小振りなヒットで糊口を凌いでいた状態。

海の向こう、全米でのロック隆盛に比べイギリス国内の経済状態も悪く、マーケットの小ささやレコード会社の経営悪化などで、ミュージシャンの流出も止められない時代だった。

とはいえ、なぜか日本ではルックス先行でBCRは超人気があったな-。

そんな1973年、売れる前のベイ・シティ・ローラーズに在籍してたデヴィッド・ペイトンとビル・ライオールが中心となりパイロットを結成する。

あのアラン・パーソンズがプロデュースを手がけ、74年9月2ndシングル”Magic”が全英11位・全米5位というヒットを飛ばし、1stアルバム『パイロット』をリリース、表舞台に登場する。

*ヒットシングルとなった”Magic” ルックス重視は否めない笑。

ただ悲しいかな当時の風潮で、またも出てきた単なるアイドルバンドと位置づけされ、評論家からは酷評、アルバムヒットには繋がらない。

しかしそのキャッチーでポップな楽曲は大衆からは支持され、75年1月先行シングル”January”は全英1位を記録した。

*名曲”January” このPOP感は比類ない!

さらに75年4月シングル”Call Me Round”発売。こちらもめっちゃ良い曲なんだが全英34位止まり。

そして、翌5月に上記先行シングル二曲を含むこの2ndアルバム『Second Flight』を発表する。

特にシングルカットされた二曲は詩曲の分かり易さと、サビにクラップが入るお決まりの高揚感が珠玉で、当時僕はラジオで一回流れただけで探し求めたほど大好きな曲だった。

だが結局追い風は吹かず、アルバムはたいして売れないまま、英48位止まりで失速。

その結果二人のソングライターを持つパイロット内部でメンバー間の対立が深まり、KEY/Voのライオールが脱退。

残ったバンドはその後2枚の秀逸なアルバムを出すが、やはりさほど売れずに自然消滅の憂き目にあう。

そんな紆余曲折を経て消えていったパイロットだが、さりとてこの名盤『Second Flight』、今聴くとサウンド感はさすがに古いが、ブリティッシュポップの王道を見据えたアレンジとメロディの出来はかなり高く、インスト曲含めたアルバムの充実度もビートルズフォロワーとしてよく練り込まれていると思う。

Gのイアン・ベアンソンは名手で、プロミュージシャンの間では今でも高い評価を付ける方々が多い。

とにかくパイロットというバンドは、ビートルズが開拓したメロディアスロック路線にパワーポップ感を足し、バッドフィンガーと並び古くはゾンビーズから続く見事なブリティッシュポップロックの継承者だと思う。

しかし70年代後半頃、パイロットが好き、などと言おうものなら周りの音楽関係者から「けっ、そんなお子ちゃまバンドのどこが良いんだよ!」と一蹴されるのは判っていたので(一部に愛好家連中はいましたが)、なかなか口に出せないバンド名だったのだ笑。

まあ今時の若い人に聴かせても「ふーん?」って感じになっちゃう人も多いだろうなー笑。

でもプロの作曲家の人が聴けば、前後のアルバム含め今でもパクリ甲斐あるメロディ、いっぱい詰められていると思いますよ-ふふふ。

この稿終わり。

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