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【過去作発掘】子どもの頃の遊び。

Sケン、大根抜きにハイハイ鬼ごっこ!?
子どものころやった、懐かしい遊び
https://gakumado.mynavi.jp/freshers/articles/11226?refID=13165


……え?子供のころにやった遊び、ですか?
そうだなぁ、鬼ごっことか隠れんぼとか、良くやってましたね。

あ、でもね、やっぱり他の人と同じで、独自ルール、ってのはありましたよ。
特に鬼ごっこはオリジナリティ溢れてましたね。うん。
なんせ、鬼は必ず姿を見せちゃいけなかったんですから。


確か、小学生の頃でした。
私、福井市の北東側に住んでましてね。ほら、田んぼばっかりのところ。
当時は新興住宅地でね、色んな所から人がやってきて家を次々と建ててたんで、ほんのちょっとした遊びでも、地域限定のご当地ルールみたいなものがごちゃまぜになってたりしたんですよ。
例えば隠れんぼなら、10分以内に見つけられなかったら鬼の負けで、もう一度鬼をするとか。例えばだるまさんがころんだの『だるまさん』が狐だったり狸だったり坊さんだったりするとか。家屋の屋根の上には上がらないとか、田んぼの排水溝に潜って隠れない、とか決まってたり、まあそんな感じでね。

そんななかでも、鬼ごっこにはみんな一家言持ってて。やれ動物を見かけたら終了だの、家屋の中も逃走経路として認めるだの、追い詰められても鬼の股間は蹴らないだの、犬の糞を見つけても投げつけないだの、まあそれまでにそれぞれがやられてトラウマになってたあれこれをルールにおっつけていったんです。

で、ある日。確かあれは、小学5年生の頃かな。近所に引っ越してきた家族があってね。
確か……いや、ここではYさんとしておきます。痩せっぽちで暗くて、私よりも根暗っぽいタイプのヤツでしたね。
年上だったんで、多分6年生くらいかと。

そのYさんがね、少し一緒に遊ぶようになってからかな、鬼ごっこに奇妙なルールを付け足したんですよ。
『鬼になった人は、捕まえるまで他の人に見つかったら負けだから』って。

そんなの無理だろ、ってみんな反論したかったんですけど、なんせ不気味な子で、しかも親父さんがなんだか怪しげな宗教やってそうな感じの人だったもんだから言い返せなくてね。だからみんな、大人しく受け入れることにしたんです。

結果的にはね、やっぱり無理でした(笑)
そりゃそうですよ、鬼ごっこって相手に触れないと捕まえたことにならないでしょ?ってことは近づかなきゃいけないのに、見つかったらそこで終了なんですよ?
子供ですもん、普通は見つかりますって。

でもね、そのYさんはね、凄かった。
始まってすぐ、みんな散り散りになって逃げるじゃないですか。おもいっきり走って、もうここまでくれば大丈夫だろう、って安心した時に、ぽん、って肩を叩かれるんですよ。息も切らしていないYさんに。

どんなに隠れ方を工夫しても、絶対に見つけられて肩を叩かれて。 中にはルールを破って屋根に隠れてた奴も居たんですが、そいつも気づけば肩にぽん、と。

瓦葺の屋根ですよ?
近づけばカチャカチャ言いそうなものなのに、気づけばそこに居たってんでもう、ビックリで。

そうそう。
一度ね、Yさんがどうやって追いかけてるのかってんで、私ともう一人でたくらんでね、20m位走った後すぐ身を潜めて彼の様子を見ていたことがあったんです。

そしたらね、彼、一度その場をすうっと離れたか、と思ったらね。

数秒後に私の肩を

ぽん

って、叩いたんですよ。
背後から。 

『なに隠れてんだよ』

って、ボソボソ声で。

結局その冬には結構な雪が降っちゃったり、テレビゲームにみんなハマっちゃってたりしてね、鬼ごっこはしなくなったんですけども、結局半年くらいはその『鬼ごっこ』で遊んでた気がします。

だからかなぁ、今でも気になるんですよね。
結局彼がどうやってあの距離を数秒で走り抜けて来れたのかとか。
彼の父親と彼が全然似てなかったのは血が繋がってなかったのかとか。
そもそも彼がどこの学校に行ってたのかとか。
――そんな些細な事なんですけども。

まあどうせ、もう25年くらい前に家族全員行方不明になっちゃったんで、今じゃ聞くことも出来ないんですけどね。
ほんと、懐かしいなぁ。

  ※

……という夢を見た、っていうネタはいかがでしょうか(笑) 


【2013年11月3日執筆】

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