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まつりのあと

職場の広大な駐車場を掃除する。毎朝の仕事だ。
左手にちり取り、右手にトングを持ち、暑さに揺れる駐車場にぽちりぽちりと落ちているゴミを拾う。

ゴミのほとんどはタバコの吸い殻で、だから私はどうしても喫煙者に良い感情を持つことができない。

いや、良い感情、ってなんかヘンか。
一人一人の人生なんだから、タバコを吸おうが吸おうまいが自由。みんなそれぞれ好きにしたらいい。

だったらこの感情はなんなんだと言うと、要は、うちの店の駐車場に吸い殻を捨てるなっていう、それだけだな。
めっちゃばかなんじゃないかなと思っているよ。こんなさ、しょーもない店に夜な夜なだか昼だか知らんけど、わざわざ来てさ、タバコ捨ててさ。しょーもなくてばかだな、と。

拾いながらずっと、ばかばかばかばか。ばかばっかかよ、ここは、って思ってる。暑いから余計に。500円玉でも落ちてたら、全然多分、大丈夫なのに。

タバコの他に、今日は焼鳥の串がいっぱいと、唐揚げ入ってたんだろうなっていう橙と白のストライプの紙コップと、焼きとうもろこしの芯が落ちてた。

めっちゃ祭りラインナップやん、と思いながら拾って、心がちょっとだけ祭りに触ったから吸い殻みたいなことにはならなかった。

焼きとうもろこしの残骸をトングで掴んだときにちょっと腹立ったけど、橙と白のストライプでセーフ。ちり取りにインしたバリボリの残骸でプラマイゼロ。
心がマイナスに振れないように、次に見るものを慎重に選んでいたら、車止めの上に薄汚れたポムポムプリンのぬいぐるみがあった。

プラマイゼロの心のまんまポムポムプリンをトングで掴む。
無意識のうちに、だけどさっきのバリボリ焼きとうもろこしの汁を拭おうと、トングの内側をポムポムプリンのボディに強く擦り付けている自分に気付き、アウト。

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