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買取業者と思い出と

父からもらったプラチナ万年筆が、何度洗浄してもインクを入れ替えても復活しなかったので、ペン先はホワイトゴールドだしと思い、買取業者に持って行ってみました。(書ければ使いました。)
ペン先でどのくらいの値段が付くのか興味もあったので。
事前にフリマサイトで調べてもビンテージ万年筆すぎて、ピンからキリまで。
お店の電話での対応はとても丁寧でしたが、売れるものはないかと少ししつこかったです。
予約時間を決めてもらい、小雨の降る中、出かけていきました。
青いのれんが下がって
いて、「質屋」という感じで入り口から臆してしまいました。
のれんをくぐると、スーツの男の人が出迎えてくれ、早速万年筆を見せました。その時も、「他に売るものはないですか。」と聞かれました。身ぐるみ剥がされそうな勢い。
「きれいに使っていますね。」とか、「細字は高くできると思います。」とか言われ、私の期待はどんどん高まっていきます。
なにせ、父の使っていた万年筆ですから。
「父のものなんです。」と言うと、「今は、ボールペンが主流ですからね。」という返事。そこは、「大切なものなんですね。」と共感してほしかったのが私の気持ち。
「がんばらせていただきます。」と何度か言われ、万年筆とともに奥へ。
その間、分厚い「こんなものが売れますよ」というファイルを読んでいました。興味を引いたのが、外国銭。私は、コインを集める趣味もあるのです。
15分ほどして、先ほどの方が戻ってこられました。
「いろいろ売れるんですね。外国のお金も売れるんですね。」と言うと、銀貨などは売れるそう。
結論から言うと、プラチナ万年筆は1500円でした。
たった1500円?と言うのが正直な感想。
「万年筆として買い取らせていただきます。」と言われました。
もう一声!500円アップで2000円!と言いたかったけれど、1500円のショックで言葉が出ず。
万年筆として買い取るのと、ペン先のホワイトゴールドとして買うのと、違いがあるのかも聞きたかったのですが、人見知りして声が出ず。
結局、現金をもらって帰ってきました。
書けなかった万年筆を1500円で買ってもらえたのなら、ありがたいのでしょうか。

思ったこと。
全体的に、向こうのペースでした。もっと話をして打ち解けて、少しはこちらのペースに持って行くべきでした。
それから、思い入れのある品は、もう買取業者には売らない。
個人物販で価格を付けた方が、自分でも納得できるな、と思いました。
こういう由来があるんですよ、というのも説明できるし。
無理なお願いですが大事なものを手放すので、買取業者の人にはそこに寄り添って欲しいと思いました。「寄り添うふり」でもいいので。そうすると、納得して、物とお別れできると思いました。
あの万年筆、どうやっても書けなかったので手放したものの、思い出は大事に取っておこうと思います。
そして、どうしてその値段になったのか、説明をしっかりしてほしいです。
市場にあふれている、とか、需要がない、とか、マイナスのことでもいいので知りたいです。(聞かなかった私が悪いんですけどね。)何の説明もなく、この値段、と言われても、どういう価値でそうなったのかがわからないのです。

外国コインも銀貨も持っているけれど、お金が欲しくて集めているわけではないので、絶対に買取業者には売らないと決めました。
私のコイン好きは、父からの影響なのですが、以前こんなことを言っていました。
「記念コインはお金のためじゃなく、この年に家族がこんなだったなぁ、と思い出すためだよ。」
つくば万博のコインとか、ふるさとの県の記念コインとか、父は集めています。万博には行かなかったけれど、父が万博のコインを買ったことは覚えています。私はまだ小さな子どもでした。
私は、外国のコインを集めています。
「この国、楽しかったな。」とか、「こんな年季の入った紙幣を使っているのね。(マカオ)」とか、「年代によってエリザベス女王の顔が違う」とか「アメリカのこの州、行ったなぁ、また行きたいなぁ。」そういう楽しみ方をしています。
でも、買取業者に持って行ったら機械的に「これはOK、これは価値なし」と分別されるんだろうなと思いました。

今日、YouTubeを見ていたら、ペン先を売る動画があって、1年前のものでしたが価格を計算したら、確かに昨日もらった金額と同じくらいでした。
少し心の荷が下りました。父に申し訳ないと思っていたので。
業者で売ると、そんなものなのかな。。。
買取業者の人に、どんな基準でどんな思いで買っているのか、インタビューしてみたくなりました。
買うときには、その物の裏の歴史とか、少しは考えるのでしょうか。
昨日いただいた名刺には、裏に自己紹介が書いてあり、好きなブランド:ROLEX 趣味:車 好きな食べ物:お寿司 でした。
まさに、この仕事に、向いていると思いました。私とは違う世界に生きている、宇宙人みたいな感じがしました。
それから、ひとつずつ売るより、まとめてどーんと売った方が、お値段が付くみたいです。
反省点がいろいろあるので、今後に生かそうと思います。


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