蚊取り線香のCMで想い出す「夏の夜の夢」
梅雨真っ盛りの昨今。蚊取り線香のCMが流れ出し、今年も夏が近づいてきたんだなぁと感じている。
私の夏のイメージは、蚊取り線香と蚊帳(かや)だ。
みなさんは、蚊帳をご存じだろうか?
横浜育ちの私の家にはもちろん昭和であっても蚊帳はなかったし、蚊帳を使っている家は多分無かっただろう。
そんな私がなぜ蚊帳を思い出すのかと言うと、田舎で使っていたからだ。
私の両親は大分県出身。
両親が共働きだったこともあって、小学生の夏休みは毎年田舎で過ごしていた。いや、あずけられていたといって良いだろう。
田舎の夜、私をワクワクさせたのが蚊帳だった。
父方の実家は田んぼの真ん中にあった。
お隣さんまでの距離は、田んぼを挟んでいるので離れている。
夜は真っ暗だけど月明かりと星が美しい。
聴こえるのはカエルの合唱くらいだ。
夜にはきまってばぁちゃんとおいちゃんが蚊帳を張ってくれる。
蚊帳張りがはじまると、私だけが子犬のようにグルグル回りながらはしゃいでいた。蚊帳が当たり前で慣れている従妹にはいつも笑われていた。
ただの蚊帳。されど蚊帳だ。
蚊帳の中はせんべい布団が敷かれていたけど、私の気分は童話のお姫様。
お姫様とは思えないはしゃぎっぷりに、結果叱られうなだれて寝るのだが、それでも毎日夜が楽しみだった。
夏休みが終わり、横浜に戻って友達にひと夏の想い出・蚊帳自慢をするのも楽しみだった。
さすがにもう田舎でも蚊帳は使っていない。
当時はエアコンがなくて扇風機だったけど、もうそんな時代じゃないしね。
古き良き日本の夏。
扇風機にスイカやかき氷。そして打ち水。
それだけで暑さをしのげた夏はひと昔前。
大分の夏はさらに厳しく、そして横浜の夏は当時の大分を超える暑さだ。
もしかして、これからの感染症予防として蚊帳が見直される時がくるかも知れない。それはそれで、ちょっと楽しみだったりする。
パラレルキャリアをもつフリーランス助産師です。歩くパワースポットと呼ばれるくらい幸運体質な私が、妊娠/出産/子育て/女性の健康/の情報発信と日々のくらしのよしなごとをエッセイでつづっています。サポートしていただけたら最高にうれしいです!