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【出るなら母乳で育てたい】あなたができる簡単で効果的なこと

母乳って、出産したらすぐに出るって思っていませんか?

今は、情報があふれているので、すぐには出ないんだよってことは割と認知されているのだけれど、いざ母乳!となった時、まさか自分が!?こんなに大変なの!?と苦戦される場合があります。あなたに母乳で育てたい思いが少しでもあるのなら、苦戦しないように先手を打ちましょう。

これから出産を迎える方、そして現在母乳でお悩みのお母さんが少しでもラクになったら・・・そんな願いで、簡単だけど効果的な先手の打ち方をご紹介します。

自分の乳房をお手入れしておこう

母乳育児を推進している病院などでは、出産前から乳房状態をチェックして、産後の母乳育児がスムーズにいくようにお手入れのアドバイスを継続的に行っています。

一般的に、乳房に関しては出産後という考え方が多いので、妊娠中からの継続ケアがなくとも心配はありません。

私自身も、積極的に乳房ケアをすすめてはいません。それには理由があります。乳房(特に乳頭)を刺激するとお腹が張りやすくなるから。お腹が張って痛みがあれば、早産になりかねないからです。

※ 切迫早産とは早産となる危険性が高いと考えられる状態、つまり早産の一歩手前の状態のことをいいます。子宮収縮(お腹のはりや痛み)が規則的かつ頻回におこり、子宮の出口(子宮口)が開き、赤ちゃんが出てきそうな状態のことです。破水が先に起きたり、同時に起きたりすることもあります。(日本産婦人科学会より抜粋)

ですが、ちょっとしたお手入れは、しておいて損はありません。

① ブラジャーをノンワイヤーやブラトップにする
② 肩回しストレッチで肩甲骨を動かす
③ 自分の乳頭のカタチをチェックする
④ 入浴後、乳頭にオイルを塗布する

これだけで十分です。

ね、簡単でしょう?それでは解説していきましょう。


<①と②のお手入れ>

母乳は血液から作られます。乳房周囲や肩甲骨周囲の血液循環を良くしておくと、産後、母乳製造工場がスムーズに稼働したり、100%ではありませんが乳腺炎などのトラブルを防いでくれます。

<③のお手入れ>

乳房が小さいからといって心配することはありません。乳頭のカタチの方がむしろ大切。乳頭のカタチは人それぞれ。凸でも短かったり、大きかったりと色々です。

凹の陥没乳頭は、やわらかくマッサージすれば凸する場合がほとんどです。まずは自分の乳頭のカタチを知っておきましょう。妊娠37週に入るまでは①~④のお手入れを続けてください。特に④が大切になります。

その先のケアは助産師にご相談ください。

<④のお手入れ>

1日1回、入浴後に乳頭へオイルを塗布し皮膚をやわかくしておきましょう。乳頭が硬いと、赤ちゃんが吸いづらいことがあります。

オイルはホホバやスクワラン、アプリコット、馬油などのナチュラルなものがおススメ。私的にはお値段が少し張りますが、産後も乳頭保護として使え、皮膚軟化作用のあるピュアレーンやランシノーをおススメしています。(アカチャンホンポやベビザらス、Amazonなどで購入できます)


お手入れは、妊娠20週以降いわゆる「安定期」に入ったら積極的にはじめ、出産まで続けましょう。お腹が張りやすい方でも帝王切開予定の方でも大丈夫です。習慣化すれば苦痛ではありませんよ。


母乳について知っておこう

赤ちゃんを出産したら、母乳がすぐに出るわけではないことは、先にもお話したようにご存じですよね。これは、ホルモンのはたらきによるものなのですが、ちょっぴり難しいのでイメージでお伝えしたいと思います。

赤ちゃんを出産し、胎盤が出た瞬間に母乳製造工場のスイッチが入ります。そして赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激で、製造ラインが稼働すると思ってください。赤ちゃんの吸う刺激が、製造ラインを動かすエネルギーになります。

新しい母乳製造工場は、安定的に母乳を製造することができません。そのため、せっせと赤ちゃんに製造ラインを動かしてもらわないと供給まで至らないのです。製造ラインを動かすには、授乳姿勢や吸わせ方、赤ちゃんのやる気が必要になります。

最初はお母さんも赤ちゃんも製造ラインを上手に動かすことができないけれど、経験を積み重ねることで順調に動かせるようになります。

製造ラインが順調に稼働するには3~5日以上かかるので、あせらずにコツコツと授乳という経験を積み重ねてください。


母乳の出が良くなるには

母乳に不可欠なのはお母さんの栄養です。1日3食、しっかりとバランス良く食べること。これがベースです。水分も1.5ℓ以上を目安に摂ってくださいね。(コーヒーやお茶は水分に入りませんよ)

冷えも良くありません。カラダを冷やさないように靴下を履いてください。できればレッグウォーマーも。そして肩甲骨を動かすストレッチを続けましょう。

そして一番大切なのは「休息」カラダを休めることです。慣れない授乳や赤ちゃんのお世話。入院中は、色々なことを覚えなければいけないので、指導・指導・指導の嵐。なかなか休めないものです。完全母児同室でなければ、出産直後はがっつりと睡眠をとることをおススメします。子育ては、はじまったらノンストップ。出産の疲労をリセットしてからでも決して遅くはありません。母児同室の方は、夜間の頻回授乳に備え、日中赤ちゃんと同じタイミングで睡眠をとるようにしましょう。

頻回授乳も母乳の出を良くしますが、疲労の回復も同じように影響します。


母乳の出が悪いかな?と感じる様であれば、ハーブティーがおススメです。有名どころではラズベリーリーフティー。とても飲みやすく、私も大好きなハーブティーです。(月経困難症の女性にもおすすめです)

中医学では「補」の食材をすすめています。私も産後のお母さんに、「鶏肉食べてね」とお伝えしています。鶏肉や棗を使ったスープ、サムゲタンが一石二鳥。ショウガやネギを入れたら栄養満点。本格的に作る必要はなく、手羽先・中・元などで、ただ煮込んじゃえばOKです。(これならご主人も作ってもらえますよ)


おわりに

産科の入院期間は経膣分娩だと平均4~5日、帝王切開分娩だと平均6~7日。できれば入院期間中に、母乳育児を軌道に乗せたいと思われますが、母乳の出かたには個人差があり、ゆっくりスピードの場合は間に合わないことが多々あります。(製造工場の話を思い出してください)

母乳やミルクについては、助産師の間でも様々な考え方を持っています。もちろん完全母乳が赤ちゃんにとって良いことは間違いありません。けれどそれによってお母さんが、追い詰められてストレスを感じるようなら、私はこだわりなんか捨ててしまったほうが良いと思っています。

母乳にこだわりすぎて、赤ちゃんの栄養が足りなくなる方が深刻です。栄養が足りないと、赤ちゃんは省エネモードになり、おっぱいを吸うチカラも弱まります。そうなると、十分に母乳を飲みとれないうちに寝てしまうという悪循環になります。

なので、あせりは禁物。軌道に乗るまではミルクと混合で・・・と長い目でみることをおススメしています。赤ちゃんは大きくなれば母乳を飲みとるチカラが必ず付きます。


退院してから1ヶ月間の育児サポートは出産した病院になります。乳腺炎などのトラブルは、地域の助産院や出張開業助産師でも受けることができるので、前もってご自宅近くの助産院を調べておくと安心です。日本助産師会のHPでも各都道府県の助産師会へアクセスできるので調べることができます。

公益財団法人 日本助産師会

ちょっとした相談は、オンライン相談などもあります。(私もお受けしています)お子さんのことなどは、こちらのサイトもおススメです。

教えて!ドクター

教えて!ドクターは、スマートフォンアプリもあるので、ダウンロードしておくと便利です。


いかがでしたか?母乳の悩みは尽きませんが、ひとりで悩まず、身近なサポーターに相談してくださいね。笑顔で育児!応援しています!



パラレルキャリアをもつフリーランス助産師です。歩くパワースポットと呼ばれるくらい幸運体質な私が、妊娠/出産/子育て/女性の健康/の情報発信と日々のくらしのよしなごとをエッセイでつづっています。サポートしていただけたら最高にうれしいです!