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アート的価値の付け方

芸術作品は極めて不合理に価値が変動していく。100年前にはほとんどの人が見向きもしなかった鶏の絵が、100年後には日本にとどまらず、パリなどでも連日3時間待ちという人気を博すことがある。

同じものなのにも関わらず、その作品の外部が変動したためにそのものの価値が変わるという何とも不思議な世界、それがアートの世界である。

そうなると、「自分自身では世界という大きな環境を変えることができないので、結局アートというのは今までの実績と運だけに左右されてしまうのか」という疑問が生まれてくる。

もちろん、そんなことはなく、いびつなアートの世界の中にも価値を高めるために行われているシンプルな譲渡手段がある。

それが、歴史と紐づけるということである。言い換えると、文脈に接続させるということである。

歴史に紐付けない作品はシンプルに「今できたばかりの作品」となり、それが今後一大ブームの火付け役にでもならない限り、なかなかその作品の価値は上がっていかない。

しかし、歴史に紐付けると、今できたばかりの作品が「今まで人類が紡いできた長い文化の中の一部(先端)」になることができ、自分の作品に先人たちが積み上げてきた文化の価値が乗ることになる。

具体的な例としては、オタクや江戸時代の大衆文化(春画など)と接続させた村上隆さんや、どこか日本的な着物の雰囲気と接続させたYohji Yamamotoさんが挙げられる。

彼らは丁寧に自国の価値を組み上げることによって、外国の方には真似できない聖域を作り、自分の希少価値を上げてきた。勿論、技術やその他の色々な要素があってだが、やはり歴史と紐づいているからこそ、価値が何倍にも高まっている。

先人が気づいた価値を自分の作品に上乗せする。アート的な価値の付け方はきっとこれから戦争的に奪い合っていくことになる。

1997年の日本生まれ。