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【キミのラプソディー】へ出会えた"奇跡"に感謝を。限界関係性オタク魂の歌詞考察

想いは想いは もっと溢れてく
気づいて答えて ボクのココロに
止まらないとめどない こんなに好きなキモチ なんと呼ぼう
oh my girl 想いが そっと溢れてく
まっすぐ見つめて キミのココロに
ありがとう伝えたい 本当に好きなヒトに 出逢えたんだ
キミのラプソディー

キミのラプソディー/Mashumairesh!!

分かるか? 【oh my girl】という歌詞の美しさが。分かるであろうな。今やもうましゅましゅアニメから何年という話だ。

【キミのラプソディー】それは言わずと知れた神の曲である。かのアニメ【SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!】のEDでもある。

私はましゅましゅからSHOW BY ROCK!!に入り無印へ逆行していったタイプの人種である。だから最初は気が付かなった。
どれほど【キミのラプソディー】という曲が王道でありながらシリーズとして異色であるかということを。

アニメを見ただけの私はショバロシリーズの歴史や重みを語れるほどシリーズに明るくはない。だが【キミのラプソディー】については別だ。即ちそれは過去作だとか必要な事前知識がいらないことを意味している。
ましゅましゅアニメの6話まででこの話は十全に楽しめる。力の本質はここに宿る。そこまでに積み重ねられた重みがあるわけではない、ぽっきり1クールの半分だ。そこまでで人は狂える。【キミのラプソディー】という大いなる力の前に狂う。

もう何年も前のアニメだからをこそ話をする必要がある。真なる力はここに書き記さなければならない。
さあ始めるぞ、ここがまっしろなスタートライン。

作詞 マシマヒメコ

なによりもまず、大前提の話をしなければならない。この曲の作詞はマシマヒメコであるということを。その意味を、重みを、力を。

作詞マシマヒメコ概念はオタクの幻覚ではない、リアルだ。

このようにしっかりと明記されている。

この事実によりこの曲の歌詞考察は非常にやりやすい。限界関係性オタクの歌詞考察入門にぴったりである。
なぜならば根底にこれらはヒメコの主観である、という事実がそもそも存在しているので考察をしやすい。この曲の歌詞は誰から誰へと〜といったスタートの部分を向こうが用意してくれているわけだ。
これらの前提、そして本編中の言動を加味すれば考察は容易だ。歌詞もシンプルでストレートなので基本は書いてあるままを吸えばそれだけで大いなる満足感と力を得られる。

だからここからが私の戦場だ。上辺をなぞるだけの戦いではない。いつだって言っている、大事なのは「関係性」であると。

2人の「奇跡」

公式サイトのイントロダクションを見るがいい。

見えるか【奇跡、出会えたかも!?】という言葉が。この意味が分かるな。そうだ【キミのラプソディー】の二番に繋がる部分があるな。

2人は2人はきっと巡り合う
決まっていたって そう思えるの
出逢えた奇跡が 日常を彩ってきらめき出す

その通りだ。2人の出会いは「奇跡」である。その解釈は公式だ。運命の出会いでも必然の出会いでもない。「奇跡」なのだ。
出会うべくして出会ったのでも、導かれたわけでもない。2人の間では「出逢えたことが奇跡」である。
即ち、これまでの生涯で「こんなことが起こるはずがない」と思っていたことが起きたということだ。それが奇跡だ。お互いにとって出会いはそれだけの重みを持っている。

ヒメコのくそでかい感情だけではない、ほわんも同じベクトルで同じ想いを抱いているのだ。それを同じ1つの「奇跡」という言葉から見て取ることができる。
2人は同じベクトルで同じ想いを抱いている。だがお互いが向けている感情のベクトルは違う。この関係性にこそ神威は宿る。

では2人の感情のベクトルとは何であろうか。その答えは【ヒロメネス】と【キミのラプソディー】にある。

ヒーローとmy girl

【ヒロメネス】はヒーローネームをもじった言葉である。

最初に答えを言うがここで言われるヒーローの名前とはヒメコのことだ。
「ヒーローネーム」をもじって「ヒロメネス」これと同じ構図を我々は知っている。
そう、マシマフレッシュからましゅまいれっしゅ、これだ。この構図を当てはめることで答えは自然と浮き上がる。ヒーローの名前はマシマヒメコである。
ましゅましゅというグループ単位で見てヒメコはバンドを完成させた存在だ。更にほわんからすれば上京して頼れる存在のなかった中で手を差し伸べてくれた存在だ。だからヒーローという観点が当てはめられている。

ヒロメネスは一緒に夢を追いたい、歩いて行きたいという観点の歌詞が際立ち、全体的に憧れが強く出ている。

対してキミのラプソディーはもっと狭い世界の話となっている。ここにこそヒメコが作詞をしているという設定の神威が宿る。
あくまでも「キミ」に出会えて世界が変わった。こんなにも好きな人に出会えたことはなかった。そういった視点が全面に出ている。

「ヒーローネーム」と「キミ」という二人称の違いと「憧れ」と「好き」の対比。これにより2人の向けている矢印の意味合いがどのようなものか自ずと輪郭が見える。

だからこそ6話のタイトルは「ヒロメネス」でなくてはならないのだ。タイトルが「ヒロメネス」でEDが「キミのラプソディー」で初めて力を発揮する。どちらかだけでは独りよがりになってしまう。
"ヒーローネームは誰の名前か"を示唆するやり取りがあって初めて【キミのラプソディー】はその真髄を発揮する。マシマフレッシュのやり取りがあるからこの力は脳に染み渡るのだ。

更に踏み込めば【本当に好きなヒト】と【ヒーローネーム】が対になっていることが分かるだろう。互いが互いに人生を変えた存在である、だがその捉え方でこれほどまで違いが出ているのだ。

ヒメコにとっては生まれて初めてのこんなにも好きになれた人。ほわんにとってヒメコは憧れを抱く自分(あるいは自分たち)にとってのヒーロー。
これのどちらがよりでかい感情かを決めることはできない、だがどちらが重いと感じるかでそいつの性癖は見て取れる。

どちらもお互いに救ってもらった側である、ことが共通点となる。感情のベクトルは違うが同じ道で同じ方向を向いている。そしてお互いに互いを恩人だと思っている。

だからこそ【キミのラプソディー】は染み渡るのだ。分かるか、そうだ。【oh my girl】これである、この世界の真理というものは。
直前までの【想いが】にかかっているのも美しい、だがそれ以上にここにきて【my girl】という二人称の登場に私は震えを納めることができない。
【キミのラプソディー】というタイトルからも分かる通り、ずっと二人称「キミ」できていたのがラスサビで【my girl】に変化するのはあまりにも止まらない止めどない想いが溢れすぎている。
不特定多数の誰かではない【my girl】だ。今まで裏切られたりなんやりといってみんなと距離を詰めようとしなかったヒメコの過去を想えばこの言葉の重みを読み取ることは容易だ。

【ヒロメネス】のような救ってくれた、助けてくれた、そういったヒーローらしさが孕む側面ではない。
理解してくれた、一緒にいたいと言ってくれた。もうちょっと近づきたい、触れてみたい、そういった心の歩み寄りにフィーチャーしている。
だからこそ【キミのラプソディー】の真髄は【my girl】なのだ。この溢れるくそでか感情の奔流がここにある。特別の証明はこの一言だけで事足りる。この言葉選びのセンスと理解度はあまりにも光っていると言わざるを得ない。

スキだからできるんだよ

冒頭で話をしたシリーズとして異色だと言う話。それは前作までの主役バンドであるプラズマジカとの対比の話でもある。即ち「スキ」に対する解釈と認知である。
同じくEDという立ち位置の【Have a nice MUSIC!!】においてスキという言葉は「音楽に対する想い」として使用されている。それが【キミのラプソディー】においては「好きな人」という表現で使用されている。

この対比から作品そのものの方向性、ひいてはましゅましゅがいかに現代のオタクに刺さる特効を引っ提げてやってきたかが分かる。
それでも好きの力が原動力になっていたり、仲間と音楽をやる楽しさとそんな時間の尊さといったシリーズとしての根幹となる部分にブレがないのは理解っているの一言。
だからこそ【スキだからできるんだよ】という歌詞は同じ言葉でもプラズマにはプラズマなりの解釈が、ましゅましゅにはましゅましゅなりの解釈ができる力あるフレーズに成っている。

また今回の趣旨とは少しズレるがこのED映像、ルフユから見た3人の背中にも特筆しなければならない。

ドラムという全員の姿が見えるポジションから見える3人がどれだけ輝いているか、そんなルフユの心象をこの1シーンだけであまりにも強く見て取ることができる。
それでいてほのかに背中が少し遠いのがまた力を増している。特別に憧れるその心を的確に最低限の描写だけで表現しておりこれは王道であるが故に確実にしなければならない話であった。

だからこそ私は唱えなければならない。ましゅまいれっしゅ!!が、【キミのラプソディー】がいかに力あるかをだ。
シリーズとしてがらっと方向性の違う異色さを出していようとも、続編のSTARS!!でましゅましゅ達も当然のようにいつものショバロアニメに戻ったとしてもだ。

純然たる力、そして的確なニーズを突くアンテナの高さで覇を唱えたましゅましゅの力を。バトルもギスもない、ショバロとして異色だがその溢れる力だけでこっちを黙らせるその力を。止まらないとめどないこんなに好きなキモチなんと呼ぼう。

だがそれよりもなによりも、私は感謝している。かような力ある曲が生まれたことに。シリーズらしくなくとも本質はブレず力を叩き出すその姿に。だから

【ありがとう 伝えたい】

ただ、それだけ。

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