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観光地がアップグレードするための3つのポイント

こんにちは。Kiwi PR合同会社の植田聡子です。

年末まで出張で飛び回っておりました。
「インバウンドが増えましたね〜」「もっとたくさん富裕層を呼んでください!」
とおっしゃるエリアの方々が増えています。次々とパンフレットや地元の名産をアピールをいただくこともあり、熱量を感じます。

一方で、いくつも地方を回ってみると「ここは難しいな・・・」「ここ頑張ればうまくいくのに」という観光地の特徴も見えてきました。

1 食べるところがない

そんな出張先で「お昼ごはんどこかいいところないですか」「少し休みたいので、カフェや喫茶店などありますか」と聞くと、一気にエリアの差が明らかになります。

◼️うまくいく観光地

  • ここは地元の名産XXが食べられます

  • あそこは地元で人気のイタリアンで、XXが美味しいです。予約なしでも入れますよ

  • このカフェは早めに売り切れるので電話しましょうか

◼️難しい観光地

  • 平日はほとんどのお店やってないんですよね・・・

  • 喫茶店ありますけど、何時までやってるかな(15時までで行けず)

  • 居酒屋が何軒かありますが、お昼はないんですよね・・・

それでも、そのエリアの方は「ここにはこんな体験ができる」「これが特徴だ」と熱く語ります。

何度も言います。人は2−3時間も何かを体験したら休みたくなるんです。
休ませない旅なんて、あり得ないんです。

滞在時間を長くする工夫をもっとしないと、伝統や歴史だけのために人は観光をしません。宿、食事、あって、ようやくエクスペリエンスです。

2 似たような景色、似たような地方

古民家再生によるカフェや宿泊施設、農業体験など、どの地方でも既視感を覚えます。同じようなことをやっていて、コモディティ化しているということをもっと地元が認識していくこと。

わざわざ足を運んでまで、どんな価値が提供できるかを、提供側がもっと自覚しないといけません。再生した古民家だから行きたいという目的にせず、その場所を訪れたい魅力を磨いて、宿泊先として古民家に泊まれるという一連のストーリーに仕立てる必要があります。

どこも同じような古民家ステイだけでは、なかなか魅力は向上しないなぁと思っていた頃、ものすごく素敵な古民家を発見しましたので、ご紹介します。これは
明らかにいい事例!

◼️飛騨高山の古民家「谷屋」

谷屋は国の重要文化財である日下部民藝館に隣接した、1日1組の宿です。宿泊客は日下部民藝館へも自由に出入りが可能、夕刻以降は同館を貸し切り、プライベートラウンジとして利用できるプレミアム感。

飛騨の家具はモダンさも感じさせる
中庭の手入れも行き届いている


心地よい二階のベッドルーム

高山の木材をふんだんに使った内装、インテリア。

そして、秋の高山祭(10月9〜10日)には、ここ谷屋の茶室は「御旅所(おたびしょ)」として、お酒やお供物が置かれ、神様がおやすみになる場所となるのだそうです。

谷屋の茶室

お祭り時期に観光客が行くと、普通は沿道からの観覧を楽しむのが一般的ですが、谷屋の宿泊客は自分たちが一棟貸で泊まる宿がお祭りの重要なスポットとなるので、お祭りの風情を深く味わうことができるはず。

3 過去の成功体験に引きずられている

朝ドラや大河ドラマの誘致に躍起になる自治体も多く、経済効果も非常に大きくなります。しかし、その効果は3年と持ちません。

◼️放送直後の経済効果は大きい

大河ドラマを活用した観光振興についての一考察(2014 中村忠司)

一番大きい「龍馬伝」の高知県の経済効果が535億円。
令和5年度の高知県庁の当初予算が4,785億円。県予算の1割強を
ドラマで稼げるわけですから、当てにしたい気持ちはわからなくもない・・・

https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/110401/files/2014021401683/r5tousyoyosan.pdf

◼️ドラマの効果は一過性

その後、いつまでもそのドラマのロケ地であることを売りにしていても、人の記憶、時代の変化はもっと速いスピードで移り変わっていきます。ドラマの効果は「一過性」だと受け止めて、新しい策を打つことが必要です。

5年、10年前の「ここがロケ地だった」という色褪せた看板を見ることがあります。そのドラマを見た人、内容を覚えている人にしか刺さらない可能性もあります。もちろん、BSでの再放送などもあるので、そのタイミングに合わせてうまく組み立てるのはいいのですが、放置されたままの状況でそこばかりアピールされても、残念ながらそこまでストーリーも思い出せない・・・ドラマのよほどのファンでない限り、やりっぱなしならない方がマシです。

まとめ

観光資源が少ない観光地が工夫しながら魅力を発信していくのは非常に重要なのですが、少なくとも精神的価値より身体的価値をまず整えないと元も子もないのです。

これは立教大学名誉教授の安島博幸先生から教えていただいたのですが、観光地の精神的価値は1回限りの訪問で目減りするものがほとんどです。一方、観光地の身体的価値は長続きし、リピートする傾向があります。

https://www.100year-life.ens.titech.ac.jp/members/report/223/

三重県にあるVISONというホテルをご存知でしょうか?観光地としては伊勢志摩に比べ圧倒的に知名度は低いものの、食を切り口にしたスタンス、ウェルネスツーリズムなど、何もなかったエリアを「圧倒的に行きたいエリア」に昇華させた成功事例と言えます。

  • 「食」は旅の重要なコンテンツ。

  • 他のエリアと比較して何がどう違うか、を徹底的に尖らせる。

  • 過去の栄光は活用しながら、常に先を見据えた魅力を打ち出す。








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